トップ
>
悉
>
ことごとく
ふりがな文庫
“
悉
(
ことごとく
)” の例文
「梅雨ばれ」と云ひ、「私雨」と云ひ、「雲ちぎれ」と云ひ、
悉
(
ことごとく
)
俗語ならぬはない。しかも一句の
客情
(
かくじやう
)
は無限の寂しみに
溢
(
あふ
)
れてゐる。
芭蕉雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
飛行機、軍艦、自動車、タンク等、戦略、戦術の死命を制する器械は
悉
(
ことごとく
)
重油、軽油を動力とする時代となって来たのであります。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
天下の姑
悉
(
ことごとく
)
皆
(
みな
)
悪婦にあらず、天下の嫁悉皆悪女子にあらざるに、其人柄の良否に論なく其間の概して穏ならざるは、畢竟人の罪に非ず勢の然らしむる所
新女大学
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
その仲間には私の
外
(
ほか
)
にも、私より幾つか年上の、おとなしい少年が
交
(
まじ
)
つてゐた。彼は
其処
(
そこ
)
にゐた少女たちと、
悉
(
ことごとく
)
仲好しの間がらだつた。
点心
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
先
(
ま
)
ず博士の卵を探し出すんだ。博士の卵なんて滅多に居ないようだが、気を付けてみると
虱
(
しらみ
)
の卵と同様、そこいらにイクラでも居るんだ。天下の青年、
悉
(
ことごとく
)
博士の卵ならざるなしと云っていい位なんだ。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
それが氏の論旨を知ったり、時々は氏に生意気な質問なぞも発したりしたのは、
悉
(
ことごとく
)
週報「上海」の主筆西本省三氏のおかげである。
上海游記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
偉大なる芸術家の作品を心読出来た時、僕等は屡その偉大な力に圧倒されて、
爾余
(
じよ
)
の作家は
悉
(
ことごとく
)
有れども無きが如く見えてしまふ。
芸術その他
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
所謂芭蕉の
七部集
(
しちぶしふ
)
なるものも
悉
(
ことごとく
)
門人の著はしたものである。これは芭蕉自身の言葉によれば、
名聞
(
みやうもん
)
を好まぬ為だつたらしい。
芭蕉雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
よし又天下の女人にして
悉
(
ことごとく
)
交合を恐れざること、入浴を恐れざるが如きに至るも、そは少しも娼婦型の女人の増加せる結果と云ふこと能はず。
娼婦美と冒険
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ラ・モットの短篇を読んだのも、ティッチェンズの詩を読んだのも、ジャイルズの議論を読んだのも、
悉
(
ことごとく
)
この間の事である。
上海游記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
故に久保田君の芸術的並びに道徳的態度を
悉
(
ことごとく
)
理解すること能わず。然れども君の小説戯曲に敬意と愛とを有することは必しも人後に落ちざるべし。
久保田万太郎氏
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
されば「さんた・るちや」の前に居並んだ奉教人衆は、風に吹かれる穂麦のやうに、誰からともなく頭を垂れて、
悉
(
ことごとく
)
「ろおれんぞ」のまはりに
跪
(
ひざまづ
)
いた。
奉教人の死
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
董家山
(
とうかざん
)
」の女主人公金蓮、「
轅門斬子
(
えんもんざんし
)
」の女主人公桂英、「
双鎖山
(
そうさざん
)
」の女主人公金定等は
悉
(
ことごとく
)
こう言う女傑である。
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
若し夫れ其大略を知らんと欲せば、「鏡花全集」十五巻の目録、
悉
(
ことごとく
)
載せて此文後に在り。仰ぎ願くは
瀏覧
(
りうらん
)
を賜へ。
「鏡花全集」目録開口
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
六の宮へ行つて見ると、昔あつた
四足
(
よつあし
)
の門も、
檜皮葺
(
ひはだぶ
)
きの寝殿や
対
(
たい
)
も、
悉
(
ことごとく
)
今はなくなつてゐた。その中に唯残つてゐるのは、崩れ残りの
築土
(
ついぢ
)
だけだつた。
六の宮の姫君
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
董家山
(
とうかざん
)
の女主人公金蓮、「
轅門斬子
(
ゑんもんざんし
)
の女主人公
桂英
(
けいえい
)
、「
双鎖山
(
さうさざん
)
」の女主人公金定等は
悉
(
ことごとく
)
かう言ふ女傑である。
侏儒の言葉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この頃
内田百間
(
うちだひやくけん
)
氏の「
冥途
(
めいど
)
」(新小説新年号所載)と云ふ小品を読んだ。「冥途」「
山東京伝
(
さんとうきやうでん
)
」「花火」「
件
(
くだん
)
」「
土手
(
どて
)
」「豹」
等
(
とう
)
、
悉
(
ことごとく
)
夢を書いたものである。
点心
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
猿を先祖とすることはエホバの息吹きのかかつた土、——アダムを先祖とすることよりも、光彩に富んだ信念ではない。しかも今人は
悉
(
ことごとく
)
かう云ふ信念に安んじてゐる。
侏儒の言葉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
猿を先祖とすることはエホバの息吹きのかかった土、——アダムを先祖とすることよりも、光彩に富んだ信念ではない。しかも今人は
悉
(
ことごとく
)
こう云う信念に安んじている。
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかもその食器が
悉
(
ことごとく
)
、べた一面に青い
蓮華
(
れんげ
)
や金の
鳳凰
(
ほうわう
)
を描き立てた、立派な皿小鉢ばかりであつた。
南京の基督
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と云ふ意味は、
倪雲林
(
げいうんりん
)
が石上の松を描く時に、その松の枝を
悉
(
ことごとく
)
途方もなく一方へ伸したとする。
芸術その他
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
悉
(
ことごとく
)
堕落しているではないか? 殊に芸術となった日には、
嘉慶道光
(
かけいどうこう
)
の間以来、一つでも自慢になる作品があるか? しかも国民は老若を問わず、太平楽ばかり唱えている。
長江游記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それはやむを得ない運命でありますが、
苟
(
いやし
)
くも外国人にも窺はれる所は
悉
(
ことごとく
)
看破するだけの気組みを持たなければなりません。支那人は古来「一字の師」と言ふことを言ひます。
文芸鑑賞講座
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この書、篇中の人物風景を
悉
(
ことごとく
)
支那風に描きたる銅版画の揷画数葉あり。その
入窄門図
(
にふさくもんづ
)
の如き、或は入美宮図の如き、長崎絵の紅毛人に及ばざれど、亦一種の
風韻
(
ふうゐん
)
無きに非らず。
骨董羹:―寿陵余子の仮名のもとに筆を執れる戯文―
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
一刀一拝の心もちが入るのは、
仏
(
ほとけ
)
を刻む時ばかりでないと云ふ気がした。名人の仕事に思ひ比べれば、我々の書き残した物なぞは、
悉
(
ことごとく
)
焚焼
(
ふんせう
)
しても惜しくはないと云ふ気がした。
雑筆
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
上
(
かみ
)
は主人の基経から、
下
(
しも
)
は牛飼の童児まで、無意識ながら、
悉
(
ことごとく
)
さう信じて疑ふ者がない。
芋粥
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
旦
(
あした
)
に
呉客
(
ごかく
)
の夫人となり、
暮
(
くれ
)
に
越商
(
ゑつしやう
)
の
小星
(
せうせい
)
となるも、
豈
(
あに
)
悉
(
ことごとく
)
病的なる娼婦型の女人と限る
可
(
べ
)
けんや。この故に僕は娼婦型の婦人の増加せる事実を信ずる能はず。
況
(
いはん
)
や貴問に答ふるをや。
娼婦美と冒険
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
文天祥祠も、
楊椒山
(
ようしょうざん
)
の故宅も、白雲観も、永楽大鐘も、(この大鐘は半ば土中に埋まり、事実上の共同便所に用いられつつあり。)
悉
(
ことごとく
)
中野君の案内を待って一見するを得しものなり。
北京日記抄
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その
外
(
ほか
)
柔道、水泳
等
(
とう
)
も西川と共に
稽古
(
けいこ
)
したり。震災の少し前に西洋より帰り、
舶来
(
はくらい
)
の書を
悉
(
ことごとく
)
焼きたりと言ふ。リアリストと言ふよりもおのづからセンテイメンタリズムを脱せるならん。
学校友だち
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
のみならずその游泳者は
悉
(
ことごとく
)
水を飲んでをり、その又ランナアは一人残らず競技場の土にまみれてゐる。見給へ、世界の名選手さへ大抵は得意の微笑のかげに渋面を隠してゐるではないか?
侏儒の言葉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
世界にありとあらゆる物は、
悉
(
ことごとく
)
蛙の為にあるのだ。神の
御名
(
みな
)
は
讃
(
ほ
)
む
可
(
べ
)
きかな。
蛙
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この画の蓮は花でも葉でも、
悉
(
ことごとく
)
どつしり落ち着いてゐる。殊に蓮の実の如きは、古色を帯びた絹の上に、その実の重さを感ぜしめる程、金属めいた美しさを保つてゐる。
鷺
(
さぎ
)
も
亦
(
また
)
唯の鷺ではない。
支那の画
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかし森の鳥は
悉
(
ことごとく
)
、疑深さうな眼つきを改めなかつた。のみならず一羽の
梟
(
ふくろふ
)
が、「あいつも詐偽師の仲間だぜ。」と云ふと、
一斉
(
いつせい
)
にむらむら
襲
(
おそ
)
ひかかつて、この孔雀をも亦突き殺してしまつた。
翻訳小品
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
給仕は
悉
(
ことごとく
)
支那人だが、隣近所の客の中には、一人も黄色い顔は見えない。
上海游記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
更に
略々
(
ほぼ
)
同時代に成つた「伝記私言数則」は
悉
(
ことごとく
)
このことに及んでゐる。
大久保湖州
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
元
(
げん
)
の
李※
(
りかん
)
、
文湖州
(
ぶんこしう
)
の竹を見る数十
幅
(
ふく
)
、
悉
(
ことごとく
)
意に満たず。
東坡
(
とうば
)
山谷等
(
さんこくら
)
の評を読むも
亦
(
また
)
思ふらく、その交親に
私
(
わたくし
)
するならんと。
偶
(
たまたま
)
友人
王子慶
(
わうしけい
)
と遇ひ、
話次
(
わじ
)
文湖州の竹に及ぶ。子慶
曰
(
いはく
)
、君
未
(
いまだ
)
真蹟を見ざるのみ。
骨董羹:―寿陵余子の仮名のもとに筆を執れる戯文―
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
(しかもわたしの乗った鳳陽丸は
浦口
(
プウカオ
)
を発するのが遅かった為に、こう云う彼の心尽しも
悉
(
ことごとく
)
水泡に帰したのである。)のみならず彼の社宅たる
唐家花園
(
とうかかえん
)
に落ち着いた後も、食事とか着物とか寝具とか
長江游記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
支那に在留する日本人は
悉
(
ことごとく
)
ふんだんに持ち合わせている。
長江游記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
悉
漢検準1級
部首:⼼
11画
“悉”を含む語句
悉皆
知悉
悉達多
悉達
悉知
悉々
悉達太子
悉皆成仏
悉檀
悉多太子
詳悉
悉皆屋
悉曇
草木国土悉皆成仏
竝波悉林
蘇悉地経
瞿摩悉達
衆怨悉退散
衆病悉除
皆悉
...