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微禄
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びろく
ふりがな文庫
“
微禄
(
びろく
)” の例文
旧字:
微祿
『笑い事ではござらぬ。まだ
微禄
(
びろく
)
だし、何の御奉公
効
(
が
)
いも現しておらぬ故、遠慮申しているが、何ぞの折に、
娶
(
めと
)
ろうと考えておる』
濞かみ浪人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お役を勤めて、ご
恩
(
おん
)
を報じるなどは、栄達を求める
微禄
(
びろく
)
の
輩
(
はい
)
に任せておけばよろしいのだと思うが、ご貴殿のお考えは、どうありましょう
無惨やな
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
四十
親仁
(
おやじ
)
で、これの小僧の時は、まだ
微禄
(
びろく
)
をしません以前の……その婆のとこに下男奉公、
女房
(
かかあ
)
も女中奉公をしたものだそうで。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
微禄
(
びろく
)
なお
鷹匠
(
たかしょう
)
だったのですが、お鷹匠といえばご存じのとおり、鷹を使って、将軍家がお鷹野へおこしになられたみぎり鷹先を勤める役目ですから
右門捕物帖:02 生首の進物
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
思うにこの家は今は
微禄
(
びろく
)
して、昔の
俤
(
おもかげ
)
はないのであろうが、それでも私にはかえってこう云う人柄の方が親しみ
易
(
やす
)
い。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
「友三郎のところは今でこそあんなに
微禄
(
びろく
)
していますが、兎に角代々直参でございましたよ。いくら当世でも家柄ってことを考えなければなりませんわ」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
角力は
御贔負
(
ごひいき
)
さきがペシャンコになってしまっても捨てず、だんだん
微禄
(
びろく
)
はしたが至極平和にくらした。
旧聞日本橋:10 勝川花菊の一生
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
その頃は幕府
瓦解
(
がかい
)
の頃だったから、八万騎をもって誇っていた旗本や、
御家人
(
ごけにん
)
が、一時に
微禄
(
びろく
)
して生活の資に困ったのが、道具なぞを持出して夜店商人になったり
梵雲庵漫録
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
小菊は親たちが
微禄
(
びろく
)
して、本所のさる裏町の長屋に逼塞していた時分、ようよう十二か三で、
安房
(
あわ
)
の
那古
(
なこ
)
に売られ、そこで下地ッ
児
(
こ
)
として踊りや
三味線
(
しゃみせん
)
を仕込まれ
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
はい/\七年
以来
(
このかた
)
微禄
(
びろく
)
しまして、
此様
(
こん
)
な裏長屋に入りまして、
身上
(
しんしょう
)
の事や何かに心配して居りますのも、七年
前
(
まえ
)
に父が東京へ買出しに出ましたぎり、今だに帰りませず
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
今更ことごとしく時勢の非なるを憂いたとて何になろう。天下の事は
微禄
(
びろく
)
な我々風情がとやかく思ったとて何の
足
(
たし
)
にもなろうはずはない。お
上
(
かみ
)
にはそれぞれお歴々の方々がおられるではないか。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「それもその通り、尋常では幸内が拙者に譲る気づかいもなし、拙者もまた、
微禄
(
びろく
)
して、恥かしながらこの刀を譲り受けるだけの金が無い、それ故に少し荒っぽい療治をしてこの刀をぶんどった」
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
歌沢の師匠もやれば俳諧の
点者
(
てんじゃ
)
もやると云う具合に、それからそれへと
微禄
(
びろく
)
して一しきりは三度のものにも事をかく始末だったが、それでも幸に、僅な縁つづきから今ではこの料理屋に引きとられて
老年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
旗本といえば
歴乎
(
れっき
)
と聞えるが、幕臣山岡家は
微禄
(
びろく
)
だし豊かでなかった。庭の草も茫々、障子の
貼代
(
はりか
)
えも年に一度を二年越しに持たせたりしている。
剣の四君子:04 高橋泥舟
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
年月
(
としつき
)
を経っても取りに来ないところから、段々僕も
微禄
(
びろく
)
して此の三千円があれば元の様になれるかと思い、七年経っても取りに来ないからよもや
最
(
も
)
う取りに
来
(
き
)
やアしまいと心得て
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
本年とってようやく二十六歳という水の出花で、まだ駆けだしの同心でこそあったが、親代々の同心でしたから、
微禄
(
びろく
)
ながらもその点からいうとちゃきちゃきのお家がらでありました。
右門捕物帖:01 南蛮幽霊
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
郷里——秋田から
微禄
(
びろく
)
した織物屋の息子ですが、どう間違えたか、弟子になりたい決心で上京して、私を便って、たって大野木宗匠を師に仰ぎたい、素願を貫かしてもらいたい、是非
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
むしろ、最後の日まで残ったこの顔ぶれを見ると、上級の侍よりは、
微禄
(
びろく
)
の組に、真実に生きようとする者が多い。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それから
取付
(
とりつ
)
いてこれだけになったのは存じて居りますし、また助右衞門の
家
(
うち
)
は其の金を失ってから
微禄
(
びろく
)
いたして、今は
裏家住
(
うらやずま
)
いするようになったが、
可愛相
(
かあいそう
)
にと
敵同志
(
かたきどうし
)
でございますが
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
……そこで
一頃
(
ひところ
)
は東京
住居
(
ずまい
)
をしておりましたが、何でも
一旦
(
いったん
)
微禄
(
びろく
)
した家を、
故郷
(
ふるさと
)
に
打
(
ぶ
)
っ
開
(
ぱだ
)
けて、村中の
面
(
つら
)
を見返すと申して、
估券
(
こけん
)
潰
(
つぶ
)
れの古家を買いまして、両三年
前
(
ぜん
)
から、その伜の学士先生の嫁御
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
まだ光秀が時にも主にもめぐまれず、越前の朝倉家に客となって、訪う人もない浪宅に
微禄
(
びろく
)
していた頃、初めて門をたたいて、将来の希望を語りあった人こそ細川藤孝であった。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
が、集まった召使たちは、その脇坂甚内が、まだ
微禄
(
びろく
)
な時代から、水を
担
(
にな
)
い、薪を割って、貧苦の中を
仕
(
つか
)
え通して来た者が、大部分だった。彼らはすでに今朝から主人の苦境を知っていた。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
微禄
(
びろく
)
なので、平常の貧乏は、岡崎にいても、城下で指折りのほうである。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここにいる
微禄
(
びろく
)
の少壮な目付たちは、みな意外な顔をした。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
微
常用漢字
中学
部首:⼻
13画
禄
漢検準1級
部首:⽰
12画
“微”で始まる語句
微笑
微
微塵
微風
微行
微妙
微暗
微酔
微醺
微温