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山中
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さんちう
山中江の
浦にて
晝食、
古代そつくりの
建場ながら、
酒の
佳なる
事驚くばかり、
斑鯛?の
煮肴、
蛤の
汁、
舌をたゝいて
味ふに
堪へたり。
今は
實に
非常の
塲合である、
非常の
塲合には
非常の
决心を
要するので、
若し
躊躇して
居れば、
吾等一同はみす/\
知る
人も
無き
此山中の
三十
里彼方なる
櫻木大佐の
許に
報ぜんがため、
涙を
揮つて
猛犬稻妻をば、
此恐ろしき
山中に
使者せしむる
事となつた。
……しかし
無理もない。こんな
事を
言つたのは
恰も
箱根の
山中で、
丁ど
丑三と
言ふ
時刻であつた。
亞尼は、
今は、
眞如の
月影清き、ウルピノ
山中の
草の
庵に、
罪もけがれもなく、
此世を
送つて
居る
事でせうが、あの
惡むべき
息子の
海賊は、
矢張印度洋の
浪を
枕に
幸に
風が
無く、
雪路に
譬ひ
山中でも、
然までには
寒くない、
踏みしめるに
力の
入るだけ、
却つて
汗するばかりであつたが、
裾も
袂も
硬ばるやうに、ぞつと
寒さが
身に
迫ると、
山々の
影がさして