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寡婦
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かふ
ふりがな文庫
“
寡婦
(
かふ
)” の例文
乙女の愛の芽生えから結婚、出産、最後に
寡婦
(
かふ
)
の淋しさまで八曲に歌ったもので、その純粋な愛情と美しい悩みは人を揺り動かす。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
それら
寡婦
(
かふ
)
のうち衣食に窮するままに、辺境守備兵の妻となり、あるいは彼らを
華客
(
とくい
)
とする
娼婦
(
しょうふ
)
となり果てた者が少なくない。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
一週に二回数人の知人が、その
寡婦
(
かふ
)
の炉のまわりに集まることになっていて、そこに純粋な王党派の
客間
(
サロン
)
をこしらえていた。皆お茶を飲んだ。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
当市の監獄には、大阪のそれと
異
(
こと
)
なりて、女囚中無学無識の者多く、女監取締りの如きも大概は看守の
寡婦
(
かふ
)
などが
糊口
(
ここう
)
の勤めとなせるなりき。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
身寄りのすくない、
寡婦
(
かふ
)
の母の手には育てられたが、彼の性格としては、大勢がすきだった。大勢で
賑
(
にぎや
)
かによく働きよく笑える家庭が理想だった。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
古
(
いにしえ
)
の女帝にも御独身の方が多く、女流の文学者にも
寡婦
(
かふ
)
となって後に名を揚げ、また未婚で終った人たちも少くない。
女子の独立自営
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
寡婦
(
かふ
)
として彼を育て上げた彼の母、彼の姉、彼の二兄、家族の者は皆彼が海軍を見捨つることに反対した。唯一人
満腔
(
まんこう
)
の同情を彼に寄せた人があった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
それは彼がその家の寝ている主婦を思い出すからであった。生島はその四十を過ぎた
寡婦
(
かふ
)
である「
小母
(
おば
)
さん」となんの愛情もない身体の関係を続けていた。
ある崖上の感情
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
いろいろと
躊躇
(
ちゅうちょ
)
しています。王子はしきりとおせきになります。しかたなく
胸
(
むね
)
のあたりの一
枚
(
まい
)
をめくり起こしてそれを
首尾
(
しゅび
)
よく
寡婦
(
かふ
)
の窓から投げこみました。
燕と王子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
小金を持った未亡人や
寡婦
(
かふ
)
に結婚を申込み、大量殺人による資産の蓄積という、骨の折れる事業に挺身するようになったのは、大戦勃発直後のことであった。
青髯二百八十三人の妻
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そして、いつもより長く食卓に
坐
(
すわ
)
り、いつもより盛んに食ったり飲んだりして、元気を出そうとした。しかし、
寡婦
(
かふ
)
になった花嫁の立場がいちばん
憐
(
あわ
)
れだった。
幽霊花婿:ある旅人の話
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
ともかくも二人の子供を立派に育て上げた堅実な
寡婦
(
かふ
)
、——それだけが私の本来の姿で、そのほかの姿
楡の家
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
寡婦
(
かふ
)
! ……美貌! ……うら若い身の上! ……自分の妻となる前に、幾人、いやいや幾十人、この女を射落とそうと、六波羅武士や北面の武士が、
狙
(
ねら
)
い、
口説
(
くど
)
き
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
たとえばそれは母が子を愛するようなものである。余の知っているある一人の
寡婦
(
かふ
)
はただ一人の男の子の放蕩を苦にしながらもどうしてもそれを棄て去ることが出来ぬ。
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
何とも理由づけられない災難に逢ったのち、男の子三人抱えた
寡婦
(
かふ
)
として自分を発見した皆三の母親のおふみは、はじめて世の中の寂しいことや責任の重いことを覚った。
蝙蝠
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
老宰相は伜の
寡婦
(
かふ
)
のいる
内房
(
ないぼう
)
の
西房
(
せいぼう
)
へ入って往った。寡婦の夫人は
愛嬌
(
あいきょう
)
を湛えて
舅
(
しゅうと
)
を迎えた。
悪僧
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
コンコード(またルムフォードとも呼ぶ)から教師に呼ばれたのが十九歳の時で、風采が美しかったが、金持のロルフ大佐の
寡婦
(
かふ
)
と結婚した。このとき夫人は三十三歳である。
ファラデーの伝:電気学の泰斗
(新字新仮名)
/
愛知敬一
(著)
自分が世を去ったあとで
寡婦
(
かふ
)
として暮らすばかりも気の毒であるに、衣食に不足のことがあるようでは、なんとも天に対し妻に対し妻の家族に対して申し訳がないと思えばこそ
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
産期の近い玉目トキに、
寡婦
(
かふ
)
になった高倉の母を附き添わしたのは家中の意志であり彼女の意志でもある。トキ女にとっては、生れて来る児は愛する夫の肉体につながっていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
たとえば
木綿
(
もめん
)
が農村に入って、麻の衣類にかわっていった時代の様子、村に住する
寡婦
(
かふ
)
の生計が、農具の改良によって激変を受けたこと、いわゆる
後家
(
ごけ
)
泣かせという
稲扱器
(
いねこきき
)
の普及
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そしてF君を連れて、
立見
(
たちみ
)
と云う宿屋へ往かせた。立見と云うのは小倉停車場に近い宿屋で、私がこの土地に
著
(
つ
)
いた時泊った家である。主人は四十を越した
寡婦
(
かふ
)
で、
狆
(
ちん
)
を可哀がっている。
二人の友
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
はじらいを。君は、僕に
惚
(
ほ
)
れているのだ。どうかね。ゆるすなんて、美しい
寡婦
(
かふ
)
のようなことを言いなさんな。僕は、君が僕に献身的に奉仕しなければもう船橋の大本教に行かぬつもりだ。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
たしかに、噴水の水はそれを物語っているにちがいありません。打寄せる
岸辺
(
きしべ
)
の波はそれを歌っているにちがいありません。海のおもてには、しばしば
霧
(
きり
)
がたちこめます。それは
寡婦
(
かふ
)
のベールです。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
僕がきのう金をやったのは、まさに
轢死者
(
れきししゃ
)
の
寡婦
(
かふ
)
だったのです。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
ジャン・ヴァルジャンに残ったものは、七人の男女の子供をかかえ
寡婦
(
かふ
)
になっているずっと年上の姉だけだった。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
先帝の
遺誡
(
いかい
)
にそむくまいと、自己を神格的なものに持ちささえている
寡婦
(
かふ
)
のつよい一心が、その姿までを、氷の中の花みたいに、きびしいものに作っていた。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
きくと、新しい墓は、ある貧しい
寡婦
(
かふ
)
の一人息子のためのものだということだった。
寡婦とその子
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
手稲
(
ていね
)
藻巌
(
もいわ
)
の山波を西に負って、豊平川を東にめぐらして、大きな原野の片隅に、その市街は植民地の首府というよりも、むしろ気づかれのした若い
寡婦
(
かふ
)
のようにしだらなく丸寝している。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
若い
寡婦
(
かふ
)
になったイザベルは再びミュゾットの館に引き取られた。やがてそのうちに彼女の前に二人の求婚者が現われた。そしてその二人は決闘して、お互いに刺し合って二人とも死んでしまった。
雉子日記
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
寡婦
(
かふ
)
の淋しさを終るまで——、なんというすばらしい表現であろう。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
私の生家の近くに、貧しい
嫁姑
(
よめしゅうと
)
の二段の
寡婦
(
かふ
)
が住んでいた。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そして彼とともに「
鯉
(
こい
)
の肉料理」の秘法もわからなくなってしまった。けれども
寡婦
(
かふ
)
はとやかく店を続けていた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
けれど、衆臣の動揺は、この一
寡婦
(
かふ
)
と年少の天子に、しょせん、大きな頼みはかけられなかった。時に、それを励ましたのは、公卿でなく、吉野ノ
執行
(
しぎょう
)
、
吉水院
(
きっすいいん
)
ノ法印
宗信
(
そうしん
)
で
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一人の年
老
(
と
)
った
寡婦
(
かふ
)
がせっせと
針仕事
(
はりしごと
)
をしているだろう、あの人はたよりのない身で毎日ほねをおって賃仕事をしているのだがたのむ人が少いので時々は御飯も食べないでいるのがここから見える。
燕と王子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
寡婦
(
かふ
)
や小児を排除するの傾向を示しつつあったのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
彼らは貧民や
寡婦
(
かふ
)
や孤児などには、人より三日前から牧場の草を刈ることを許しています。その家が
壊
(
こわ
)
れる時は無料で建ててやります。それゆえその地方は神に恵まれているのです。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
気づかれのした若い
寡婦
(
かふ
)
ははじめて深い眠りに落ちた。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
リボンの上にジャムがある——道の上に血がある。後家をめとる——絞首される。あたかも首吊り台の縄はすべての被絞首者の
寡婦
(
かふ
)
であるかのようだ。盗人の頭は二つの名前をもっている。
死刑囚最後の日
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
法律から作られた三人の
寡婦
(
かふ
)
だ。
死刑囚最後の日
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
“寡婦”の意味
《名詞》
寡 婦(かふ、やもめ)
夫と死別または離婚して再婚していない女性。
(出典:Wiktionary)
寡
常用漢字
中学
部首:⼧
14画
婦
常用漢字
小5
部首:⼥
11画
“寡婦”で始まる語句
寡婦暮
寡婦様
寡婦鶏
寡婦殉死