子守歌こもりうた)” の例文
自分じぶんがうたってもらった記憶きおくをわずかにこして子守歌こもりうたをうたい、やっとねかしつけ、すこしでもやすらかなれといのったのでした。
雲と子守歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
牝牛めうし小鳥ことりは、どうしてこんなにうつかりしてゐたのでせう。早速さつそく子守歌こもりうたならはなければなりません。ところでだれならつたものでせう。
お母さん達 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
こういう効果はおそらく音響によってのみ得られるべきものである。探偵たんていが来て「可能的悪漢」と話していると、隣室から土人娘の子守歌こもりうたが聞こえる。
映画時代 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
ことに、かれらはすべて、おさない時から子守歌こもりうたにも信玄しんげん威徳いとくをうたったをもっている甲斐かいの少女だ。国はほろびても、その景慕けいぼや愛国の情熱じょうねつは、ちいさなむねえている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
五月蠅うるさいね』とつて公爵夫人こうしやくふじんは、『そんなことかまつてはられない!』そこ夫人ふじんふたゝ其子供そのこどもちゝませはじめました、一しゆ子守歌こもりうたうたひながら、一ふしへるとは其子そのこゆすげて
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
「あなたがたあかちやんがもうぢきうまれるといふのに、子守歌こもりうたならひもしないで、そんな暢氣のんきなことをつていらつしやる。」
お母さん達 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
そして、かぜは、かなしむ母親ははおやわり、はるかなるくにへさまよいゆく、みなしのために、かすれがちなこえで、子守歌こもりうたをうたってきかせるのであります。
雲と子守歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それはちょうど、ハンスやヘンデルがわすれられてしまっても、まだハンスのつくった子守歌こもりうたや、ヘンデル草がのこっているようなものでした。
丘の銅像 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
母親ははおやは、真剣しんけんになって、子守歌こもりうたをうたいはじめるのでした。ははあいからながる、なつかしい、ほそいしらべは、ひか絹糸きぬいとのように、れんとして、れずに、つづくのでした。
雲と子守歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれども、こんなにむづかしい子守歌こもりうたはありません。とてもむづかしくて牝牛めうし小鳥ことりはちつともおぼえられませんでした。それはかういふ子守歌こもりうたでした。
お母さん達 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
そして、めぐみぶかく、こぼれるようにてらす太陽たいようひかりと、さえずるとりこえと、自然しぜんたち、子守歌こもりうたのようにささやくかぜおとより、この平和へいわ世界せかいを、じゃまするものは、なかったのでした。
托児所のある村 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それはちょうど、ハンスの子守歌こもりうたや、ヘンデル草や、ペテロの休日と、同じようなものでした。
丘の銅像 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
まごたちのおもりをしながら、ハンスがつくった子守歌こもりうたをうたっていました。まごたちが「むかしばなし」をせがむと、その老人ろうじんたちは、ハンスの話をして聞かせるのでした。
丘の銅像 (新字新仮名) / 新美南吉(著)