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姉御
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あねご
ふりがな文庫
“
姉御
(
あねご
)” の例文
立合の手合はもとより、世擦れて、人馴れて、この榎の下を物ともせぬ、弁舌の
爽
(
さわやか
)
な、見るから下っ腹に毛のない
姉御
(
あねご
)
も驚いて目を
睜
(
みは
)
った。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
石尊様詣りのついでに箱根へ寄って来しものが
姉御
(
あねご
)
へ
御土産
(
おみや
)
とくれたらしき寄木細工の
小繊麗
(
こぎよう
)
なる
煙草箱
(
たばこばこ
)
を、右の手に持った
鼈甲管
(
べっこうらお
)
の
煙管
(
きせる
)
で引き寄せ
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
作「金エなくったって、向でもって小遣も
己
(
おれ
)
に呉れて、何うもハア新吉さんなら命までも入れ上げる積りだよ、と
姉御
(
あねご
)
が云ってるから、行って逢ってお
遣
(
や
)
りなせえよ」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
葉子が出て行く時には
一人
(
ひとり
)
として葉子に
雑言
(
ぞうごん
)
をなげつけるものがいなかった。それから水夫らはだれいうとなしに葉子の事を「
姉御
(
あねご
)
姉御」と呼んでうわさするようになった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
見世物の熊娘にひきつけられた
体
(
てい
)
で、くしまきに、
唐桟
(
とうざん
)
の
半纏
(
はんてん
)
で、
咽喉
(
のど
)
に静脈をふくらませて、真赤になって
口上
(
こうじょう
)
を
喋
(
しゃべ
)
っている、汚い
姉御
(
あねご
)
の弁舌に、じっと聞き惚れているんだ。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
殺す心の
其方
(
そな
)
さんも
情
(
なさ
)
け
無
(
ない
)
ぞや恨めしやと
勃然
(
むつく
)
と立てば三次は驚きヤア/\
姉御
(
あねご
)
此私
(
このわし
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
綾子が一室に
籠
(
こも
)
りてより、三日目の夕まぐれ、勝手口の腰障子をぬっと開けて、
面
(
つら
)
出す男、「
姉御
(
あねご
)
、姉御。」と二人
連
(
づれ
)
。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼らは葉子を下級船員のいわゆる「
姉御
(
あねご
)
」扱いにしていた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
三人
寄
(
よれ
)
ど
文珠
(
もんじゆ
)
さへ授けぬ
奸智
(
かんち
)
の
智慧袋
(
ちゑぶくろ
)
はたいた
底
(
そこ
)
の
破
(
やぶ
)
れかぶれ
爲術
(
せんすべ
)
盡
(
つき
)
し
荒仕事
(
あらしごと
)
娘に
逢
(
あは
)
すと悦ばせて
誘引
(
おびき
)
出すは斯々と忽ち
極
(
きま
)
る惡計に
獻
(
さし
)
つ
酬
(
さゝ
)
れつ飮みながらとは云ふものゝ
此
(
こ
)
の
幕
(
まく
)
は餘り
感心
(
かんしん
)
せぬ事成れば
姉御
(
あねご
)
と己と
鬮
(
くじ
)
にせんと
紙縷
(
こより
)
捻
(
ひね
)
つて差出せばお定は引て
莞爾
(
につこり
)
笑
(
わら
)
ひ
矢張
(
やつぱり
)
兄貴
(
あにき
)
が當り鬮と云はれて三次は
天窓
(
あたま
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
仲の町でもこの大一座は目に立つ処へ、
浅間
(
あさま
)
、
端近
(
はしぢか
)
、
戸外
(
おもて
)
へ人立ちは、嬉しがらないのを知って、
家
(
うち
)
の
姉御
(
あねご
)
が気を着けて、
簾
(
すだれ
)
という処を、幕にした。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「屠犬児を
引張
(
ひっぱ
)
るなあ、どこの犬だい、ずうずうしい。」首を
捻
(
ひね
)
りて、「ほい、じゃむこう。
姉御
(
あねご
)
はどうした。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「知れねえと
謂
(
い
)
えばどうもいまだに知れねえ。」「何が。」「この木賃宿の
所有主
(
もちぬし
)
がよ。」「やっぱり
姉御
(
あねご
)
が持ってるのだろう、
御庇
(
おかげ
)
でこちとらは屋根代いらずだ。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「いいえ、お前さん、何だか
一通
(
ひととおり
)
じゃあないようだ、
人殺
(
ひとごろし
)
もしかねない様子じゃあないか。」さすがの
姉御
(
あねご
)
も
洞中
(
ほらなか
)
の
闇
(
やみ
)
に処して
轟々
(
ごうごう
)
たる音の
凄
(
すさま
)
じさに、奥へ導かれるのを
逡巡
(
しりごみ
)
して言ったが
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
蝶吉に
肱鉄砲
(
ひじ
)
を食ッて、
鳶頭
(
かしら
)
に懐中の駒下駄を焼かれた上、人の
妓
(
こども
)
を食おうとする、獅子身中の虫だとあって、内の
姉御
(
あねご
)
に御勘気を
蒙
(
こうむ
)
ったのを、
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
で
詑
(
わび
)
を入れて、以来きっと心得まするで
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(はあ、おはなの……)なんてな、
此家
(
ここ
)
の
姉御
(
あねご
)
が
早合点
(
はやがってん
)
で……
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“姉御”の意味
《名詞》
姉に対する敬語。
親分、兄貴分の妻。または女親分。
(出典:Wiktionary)
姉
常用漢字
小2
部首:⼥
8画
御
常用漢字
中学
部首:⼻
12画
“姉御”で始まる語句
姉御前