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大溝
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おほどぶ
ふりがな文庫
“
大溝
(
おほどぶ
)” の例文
……
川
(
かは
)
も
此
(
こ
)
の
邊
(
あたり
)
は
最
(
も
)
う
大溝
(
おほどぶ
)
で、
泥
(
どろ
)
が
高
(
たか
)
く、
水
(
みづ
)
が
細
(
ほそ
)
い。
剩
(
あまつさ
)
へ、
棒切
(
ぼうぎれ
)
、
竹
(
たけ
)
の
皮
(
かは
)
などが、ぐしや/\と
支
(
つか
)
へて、
空屋
(
あきや
)
の
前
(
まへ
)
は
殊更
(
ことさら
)
に
其
(
そ
)
の
流
(
ながれ
)
も
淀
(
よど
)
む。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
僕は小学時代にも「
大溝
(
おほどぶ
)
」の側を通る度にこの
叔父
(
をぢ
)
の話を思ひ出した。叔父は「御維新」以前には
新刀無念流
(
しんたうむねんりう
)
の
剣客
(
けんかく
)
だつた。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
廓
(
くるわ
)
はそのぐるりを
大溝
(
おほどぶ
)
で囲つてゐました。この溝にハネバシがあつたわけで、ぼくの今日の見聞はa—b—c—dと歩いたのです。dはおとりさまです。
吉原ハネ橋考
(新字旧仮名)
/
木村荘八
(著)
右
(
みぎ
)
に
左
(
ひだり
)
に
追
(
お
)
ひかけては
大溝
(
おほどぶ
)
の
中
(
なか
)
へ
蹴落
(
けおと
)
して
一人
(
ひとり
)
から/\と
高笑
(
たかわら
)
ひ、
聞
(
き
)
く
者
(
もの
)
なくて
天上
(
てんじやう
)
のお
月
(
つき
)
さま
宛
(
さ
)
も
皓々
(
こう/\
)
と
照
(
てら
)
し
給
(
たま
)
ふを
寒
(
さぶ
)
いといふ
事
(
こと
)
知
(
し
)
らぬ
身
(
み
)
なれば
唯
(
たゞ
)
こゝちよく
爽
(
さはや
)
かにて
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
大溝
(
おほどぶ
)
の水撒く夏に入りにけり
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
▼ もっと見る
一町
(
いつちやう
)
ばかり、
麹町
(
かうぢまち
)
の
電車通
(
でんしやどほ
)
りの
方
(
はう
)
へ
寄
(
よ
)
つた
立派
(
りつぱ
)
な
角邸
(
かどやしき
)
を
横町
(
よこちやう
)
へ
曲
(
まが
)
ると、
其處
(
そこ
)
の
大溝
(
おほどぶ
)
では、くわツ、くわツ、ころ/\ころ/\と
唄
(
うた
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
最後に僕の知つてゐる頃には年とつた
猫背
(
ねこぜ
)
の測量技師だつた。「
大溝
(
おほどぶ
)
」は
今日
(
こんにち
)
の
本所
(
ほんじよ
)
にはない。叔父も
亦
(
また
)
大正の
末年
(
ばつねん
)
に
食道癌
(
しよくだうがん
)
を病んで死んでしまつた。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ころ/\と轉げると右に左に追ひかけては
大溝
(
おほどぶ
)
の中へ蹴落して一人から/\と高笑ひ、聞く者なくて天上のお月さまさも
皓々
(
かう/\
)
と照し給ふを
寒
(
さぶ
)
いと言ふ事知らぬ身なれば只こゝちよく
爽
(
さわやか
)
にて
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
電車
(
でんしや
)
を
赤十字病院下
(
せきじふじびやうゐんした
)
で
下
(
お
)
りて、
向
(
むか
)
うへ
大溝
(
おほどぶ
)
について、
岬
(
みさき
)
なりに
路
(
みち
)
を
畝
(
うね
)
つて、あれから
病院
(
びやうゐん
)
へ
行
(
ゆ
)
くのに
坂
(
さか
)
がある。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
おまけに又その道の突き当たりはお竹倉の
大溝
(
おほどぶ
)
だつた。南京藻の浮かんだ大溝はいつも悪臭を放つてゐた。彼は勿論かう言ふ町々に憂鬱を感ぜずにはゐられなかつた。
大導寺信輔の半生:―或精神的風景画―
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ころころと転げると右に左に追ひかけては
大溝
(
おほどぶ
)
の中へ蹴落して一人からからの高笑ひ、聞く者なくて天上のお月さまさも
皓々
(
こうこう
)
と照し
給
(
たま
)
ふを寒いと言ふ事知らぬ身なれば
只
(
ただ
)
ここちよく
爽
(
さわやか
)
にて
わかれ道
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
しかし僕の小学時代にはまだ「
大溝
(
おほどぶ
)
」に囲まれた、
雑木林
(
ざふきばやし
)
や竹藪の多い封建時代の「お竹倉」だつた。「大溝」とはその名の示す通り、少くとも一間半あまりの
溝
(
どぶ
)
のことである。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
大
常用漢字
小1
部首:⼤
3画
溝
常用漢字
中学
部首:⽔
13画
“大溝”で始まる語句
大溝渠