夢路ゆめぢ)” の例文
問返とひかへすうちにも、一層いつそうめう夢路ゆめぢ辿たど心持こゝろもちのしたのは、差配さはいふのは、こゝに三げんかなへつて、れいやなぎさかひに、おなじくたゞかき一重ひとへへだつるのみ。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
みね此出來事このできごとなんとしてみゝるべき、おかしたるつみおそろしさに、れか、ひとか、先刻さつき仕業しわざはと今更いまさら夢路ゆめぢ辿たどりて、おもへば此事このことあらはれずしてむべきや
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
見る人懵然ぼうぜんとして醉へるが如く、布衣ほいに立烏帽子せる若殿原わかとのばらは、あはれ何處いづこ女子むすめぞ、花薫はなかほり月霞む宵の手枕たまくらに、君が夢路ゆめぢに入らん人こそ世にも果報なる人なれなど
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
十日あまりの月は峯にかくれて、のくれやみのあやなきに、夢路ゆめぢにやすらふが如し。
きみこふる夢のたましひゆきかへり、夢路ゆめぢをだにもわれに教へよ
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
『ハレルヤ』と、奥にはにほふ讃頌さんしようかすけき夢路ゆめぢ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
まどろみの夢路ゆめぢめぬ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
われは夢路ゆめぢを越えてけり
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
隙間すきまもるかぜおともなくせまりくるさぶさもすさまじ、かたすゑおもひにわすれて夢路ゆめぢをたどるやうなりしが、なにものぞほとけにその空虚うつろなるむねにひゞきたるとおぼしく
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さてしもゆるけくにほふ夢路ゆめぢ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
われは夢路ゆめぢを越えてけり
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
笛の夢路ゆめぢのものぐるひ
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)