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夢路
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ゆめぢ
と
問返すうちにも、
一層、
妙な
夢路を
辿る
心持のしたのは、
其の
差配と
云ふのは、こゝに三
軒、
鼎に
成つて、
例の
柳の
樹を
境に、
同じくたゞ
垣一重隔つるのみ。
お
峯は
此出來事も
何として
耳に
入るべき、
犯したる
罪の
恐ろしさに、
我れか、
人か、
先刻の
仕業はと
今更夢路を
辿りて、おもへば
此事あらはれずして
濟むべきや
見る人
懵然として醉へるが如く、
布衣に立烏帽子せる
若殿原は、あはれ
何處の
誰が
女子ぞ、
花薫り月霞む宵の
手枕に、君が
夢路に入らん人こそ世にも果報なる人なれなど
十日あまりの月は峯にかくれて、
木のくれやみのあやなきに、
夢路にやすらふが如し。
君こふる夢のたましひ
行かへり、
夢路をだにもわれに教へよ
『ハレルヤ』と、奥にはにほふ
讃頌の
幽けき
夢路。
隙間もる
風おともなく
身に
迫りくる
寒さもすさまじ、
來し
方行く
末おもひに
忘れて
夢路をたどるやうなりしが、
何ものぞ
佛にその
空虚なる
胸にひゞきたると
覺しく