地震じしん)” の例文
おおきな地震じしんだ!」といって、あちらからおかあさんがけてきて、片手かたてによっちゃん、片手かたてにみいちゃんをだいてしました。
時計とよっちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
地震じしんや」「地震や」同時に声が出て、蝶子は襖につかまったことは掴まったが、いきなり腰をかし、キャッと叫んですわり込んでしまった。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
だれがなんといったって、世界中せかいじゅうでおれの威勢いせいにかなうものはあるまい。おれが一声ひとこえうなれば、十ほういえ地震じしんこって、鍋釜なべかまのこらずひびがいってしまう。
物のいわれ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「ちかごろは噴火ふんかもありませんし、地震じしんもありませんし、どうも空は青い一方ですな。」
私のあらわした文学論はその記念というよりもむしろ失敗の亡骸なきがらです。しかも畸形児きけいじの亡骸です。あるいは立派に建設されないうちに地震じしんたおされた未成市街の廃墟はいきょのようなものです。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
たして、真夜中まよなかのこと、ぶつかるかぜのために、いえがぐらぐらと地震じしんのようにれるのでした。かぜ東南とうなんから、きつけるのでした。
台風の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
だんだん地震じしんしずまった時分じぶん、みんなはめいめいのうちへはいりました。よっちゃんもうちへはいってうちさまてびっくりしました。
時計とよっちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
地震じしんのありました、すぐあとのことであります。まちには、こめや、まめや、むぎなどがなくなりました。それで、人々ひとびとは、あらそって、すこしでものこっているのをおうとしました。
ごみだらけの豆 (新字新仮名) / 小川未明(著)
下界げかいは、戦争せんそうがあったり、地震じしんがあったり、海嘯つなみがあったり、また饑饉ききんがありまして、人間にんげんいく万人まんにんとなくんでいます。けれど、まだなかなかほろびるようなことはありません。
消えた美しい不思議なにじ (新字新仮名) / 小川未明(著)
地震じしんがあるのではなかろうか?」と、一は、こんなうわささえしたものがあった。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
とりは、ものにかんじやすいというから、今夜こんやわったことがあるのかもしれない。あるいは地震じしんでもな……をつけましょう。」と、先生せんせいは、しきりにさわとりながらいいました。
あほう鳥の鳴く日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それは、いいひとさ。けれど、大風おおかぜいたり、地震じしんがあったりしたら、このいえは、がけがくずれてひっくりかえるかもしれん。そうすれば、ぼくたち安心あんしんして、ほんならうこともできないだろう。
薬売りの少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)