問屋とひや)” の例文
入給いれたまひては如何いかゞもつとも外に男の子も御在おはさぬ事ゆゑ熊殿くまどの年のふけぬうちに聟養子むこやうしをなし持參ぢさん金子きんすを以て山方やまがた問屋とひやかり償却つぐなひくらし方もを付て身上しんしやう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
この頃の日盛りに近所の問屋とひや荷役にやくに来る馬子まごが、荷馬にうまをその夫人の住居すまゐの格子戸に繋いでおく事がよくある。
魚屋の藤六とうろくさんは、びんばふでした。毎日、朝はやく、問屋とひやへ行つて、お魚を一円だけ買ひ出します。そして、それを売つて、五十銭づつ、まうけるのです。
源八栗 (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)
頬白ほゝじろ山雀やまがら雲雀ひばりなどが、ばら/\になつてうたつてるから、綺麗きれい着物きもの問屋とひやむすめだの、金満家かねもち隠居いんきよだの、ひさごこしげたり、はなえだをかついだりして千鳥足ちどりあしとほるのがある
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
とうさんはお前達まへたちのやうに、竹馬たけうまつてあぞまはることもきでした。ゆきにはことにそれがたのしみでした。大黒屋だいこくやてつさん、問屋とひやの三らうさんなどゝといふ近所きんじよ子供こどもが、竹馬たけうまで一しよになるお友達ともだちでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
彦兵衞は又餘り勝手過かつてすぎはなしなり其爲そのため貴樣請人に非ずや殊に此節我等も金子不手廻ふてまはりにて問屋とひや勘定かんぢやうとゞこほり不自由なせば一兩日のうちに勘定致さるべしもなき時は向うより出入にされては迷惑めいわく致すにより貴樣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
受取に到りて駿すん府町の問屋とひやなる常陸ひたち屋佐兵衞と云者の方へ泊りし所佐兵衞がせがれに佐五郎といふものありて歳も同じ頃なれば心やすく致しけるに佐五郎思ふにはかく懇意こんいには致せども文藏事は餘りに手堅てがたく何時も金錢を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)