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呷
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あふ
ふりがな文庫
“
呷
(
あふ
)” の例文
娘の留守に
自棄酒
(
やけざけ
)
を
呷
(
あふ
)
つた金五郎が、夜中にフラフラとお六を殺したくならないものでもあるまい——と、
斯
(
か
)
う萬七親分は言ふんだ
銭形平次捕物控:120 六軒長屋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
湯村は酔うた頭を前後にフラ/\させながら、「女の云ふ事情なんて
的
(
あて
)
になるものか。」と、でも思出しては手酌でガブ/\
呷
(
あふ
)
つて居る。
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
毎夜
棄鉢
(
すてばち
)
な酒ばかり
呷
(
あふ
)
つてゐる十八の娘、ヱロの交渉となると、何時もオ・ケで進んで一手に引受けることにしてゐる北海道産れの女、等々。
のらもの
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
かう言つて、お文は少しも肴に手を付けずに、また四五杯飲んだ、果てはコツプを取り寄せて、それに注がせて
呷
(
あふ
)
つた。
鱧の皮
(新字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
注
(
つ
)
げば又
呷
(
あふ
)
りて、その余せるを男に差せば、受けて納めて、手を
把
(
と
)
りて、顔見合せて、
抱緊
(
だきし
)
めて、惜めばいよいよ尽せぬ
名残
(
なごり
)
を、いかにせばやと
思惑
(
おもひまど
)
へる互の心は
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
「……」彼は、空腹に酒を
呷
(
あふ
)
つた時のやうにカツと顔のほてるのを感じた。彼は漸く口を動かして
或る五月の朝の話
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
曰
(
いわ
)
く、丁晋公臨終前半月、
已
(
すで
)
に
食
(
くら
)
はず、
但
(
ただ
)
香を
焚
(
た
)
いて
危坐
(
きざ
)
し、黙して仏経を
誦
(
じゆ
)
す、沈香の
煎湯
(
せんたう
)
を以て
時々
(
じゞ
)
少許
(
せうきよ
)
を
呷
(
あふ
)
る、神識乱れず、衣冠を正し、
奄然
(
えんぜん
)
として化し去ると。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
たゞし
人目
(
ひとめ
)
がある。
大道
(
だいだう
)
へ
持出
(
もちだ
)
して、
一杯
(
いつぱい
)
でもあるまいから、
土間
(
どま
)
へ
入
(
はひ
)
つて、
框
(
かまち
)
に
堆
(
うづたか
)
く
崩
(
くづ
)
れつんだ
壁土
(
かべつち
)
の
中
(
なか
)
に、あれを
見
(
み
)
よ、
蕈
(
きのこ
)
の
生
(
は
)
えたやうな
瓶
(
びん
)
から、
逃腰
(
にげごし
)
で、
茶碗
(
ちやわん
)
で
呷
(
あふ
)
つた。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
彼は飲みつけない強い酒を
呷
(
あふ
)
つて、それでやう/\不定な睡眠をとることにしてゐる。
哀しき父
(新字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
溜つた酒代の貸前が入つて上機嫌の爺さんが盆に載せて出したコップの冷酒を一氣に
呷
(
あふ
)
つたZ・K氏は、「さあ、片つ端から、おれにかゝつて來い」と、尻をまくつて痩脛を出した。
足相撲
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
『アノ人は面白い人でして、得意な論題でも見つかると、屹度先づ給仕を酒買にやるんです。冷酒を
呷
(
あふ
)
りながら論文を書くなんか、アノ
温厚
(
おとなし
)
い人格に比して怎やら奇蹟の感があるですな。』
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
その
慘憺
(
さんたん
)
たる有樣を眺めて、多之助の女房だつた、妖艶無比のお若は、部屋一パイに飛散る血を、滿山の花とでも思つたか、
雛毛氈
(
ひなまうせん
)
を敷いて、冷酒を
呷
(
あふ
)
り乍ら
銭形平次捕物控:305 美しき獲物
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
白鹿
(
はくしか
)
」と銘のある大樽の呑口から茶漬茶碗に一杯注いだ
冷酒
(
ひやざけ
)
をグツと
呷
(
あふ
)
ることもある。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
酒
(
さけ
)
は
熱燗
(
あつかん
)
のぐい
呷
(
あふ
)
り、
雲助
(
くもすけ
)
の
風
(
ふう
)
に
似
(
に
)
て、
茶
(
ちや
)
は
番茶
(
ばんちや
)
のがぶ
飮
(
の
)
み。
料理
(
れうり
)
の
食
(
た
)
べ
方
(
かた
)
を
心得
(
こゝろえ
)
ず。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
聞くも苦しと、男は一息に湯呑の
半
(
なかば
)
を
呷
(
あふ
)
りて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
我も酒など
呷
(
あふ
)
らむと思へる日より
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
これも只の酒をしたゝかに
呷
(
あふ
)
つて
艪
(
ろ
)
を押す手も覺束なくなつた船頭の直助と二人、
纜
(
もや
)
つた船の
舳
(
へさき
)
と
艫
(
とも
)
に別れて、水を渡つて來る凉しい風に醉を吹かれて居たのです。
銭形平次捕物控:004 呪ひの銀簪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
松五郎は湯呑の冷酒をガブりと
呷
(
あふ
)
ると、中腰になつて喜兵衞を睨み据ゑます。
銭形平次捕物控:057 死の矢文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
植木屋の辰五郎の家は、新堀江町寄りの
裏店
(
うらだな
)
で、平次が行つた時は、まだ女房のお瀧の死骸もそのまゝ、辰五郎は死んだ女房の床の前に、大
胡坐
(
あぐら
)
を掻いて茶碗酒を
呷
(
あふ
)
つてゐるところでした。
銭形平次捕物控:211 遠眼鏡の殿様
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
相變らず佛樣の前に大
胡坐
(
あぐら
)
で、茶碗酒を
呷
(
あふ
)
つてゐる辰五郎です。
銭形平次捕物控:211 遠眼鏡の殿様
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
八五郎は手酌で二三杯續け樣に
呷
(
あふ
)
つてをります。
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
湯呑で一杯
呷
(
あふ
)
つて斯んな憎い口をきくのです。
銭形平次捕物控:201 凉み船
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お茶に
紛
(
まぎ
)
らせた湯呑の冷酒を
呷
(
あふ
)
つて居ります。
銭形平次捕物控:057 死の矢文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
呷
漢検1級
部首:⼝
8画
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呷飲
呷切
呷々
呷上