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勝手元
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かつてもと
店は二
間間口の二
階作り、
軒には
御神燈さげて
盛り
鹽景氣よく、
空壜か
何か
知らず、
銘酒あまた
棚の
上にならべて
帳塲めきたる
處もみゆ、
勝手元には七
輪を
煽く
音折々に
騷がしく
後に——
丸山福山町に、はじめて
一葉女史を
訪ねた
歸り
際に、
襟つき、
銀杏返し、
前垂掛と
云ふ
姿に、
部屋を
送られて
出ると、
勝手元から、
島田の十八九、
色白で、
脊のすらりとした
私が
戻りましたからは
御心配なくお
就蓐下されと
洒然といひて
隣の
妻を
歸しやり、
一人淋しく
洋燈の
光りに
烟草を
吸ひて、
忌々しき
土産の
折は
鼠も
喰べよとこぐ
繩のまゝ
勝手元に
投出し
見る
目に
見なば
美男とも
言ふべきにや、
鼻筋とほり
眼もと
鈍からず、
豐頬の
柔和顏なる
敏、
流石に
學問のつけたる
品位は、
庭男に
成りても
身を
放れず、
吾助吾助と
勝手元に
姦ましき
評判は