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まえあし
ふりがな文庫
“
前肢
(
まえあし
)” の例文
左の
前肢
(
まえあし
)
を出すときには、左の肩肉がくりくりと動くし、次には右の肩肉がくりくりと動く。脇見などは殆んどしない、なにもかもわかっているのだ。
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
中入り
(
アントラクト
)
がすんで、
穹門
(
アルク
)
から現われた『ヘルキュレス』の横っ腹を見ると、右の
前肢
(
まえあし
)
のところに、誰れの仕業か、黒ペンキで大きな的が書かれてあった。
ノンシャラン道中記:06 乱視の奈翁 ――アルル牛角力の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
皿の底には、空想化された一匹の爬蟲類が
逆立
(
さかだち
)
していて、頭部と
前肢
(
まえあし
)
が台になり、刺の生えた胴体がくの字なりに彎曲して、
後肢
(
あとあし
)
と尾とで皿を支えている。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
と、すばらしく拡大された幼獣のなめらかな黒い頭と
前肢
(
まえあし
)
の
両
(
ふた
)
つの鰭とが幕面の右下から匍いあがって来る。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
それがひとしきり通り過ぎたあとは、ちょっと往来がとだえて、
日向
(
ひなた
)
の白犬が
前肢
(
まえあし
)
をそろえて伸びをした。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
チョコナンと
前肢
(
まえあし
)
をそろえて枕もとにすわりこんでいる玉は、どこからくわえてきたのか、小切れをふたつ……これを早く見てください! といわぬばっかりに
亡霊怪猫屋敷
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「その足跡は一つ一つ互い違いについているが、犬の足跡は、
前肢
(
まえあし
)
の跡を
後肢
(
あとあし
)
が必ず踏んでいるぜ」
銭形平次捕物控:061 雪の足跡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
豚はぴたっと耳を
伏
(
ふ
)
せ、眼を半分だけ閉じて、
前肢
(
まえあし
)
をきくっと曲げながらその勘定をやったのだ。
フランドン農学校の豚
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
鼻で
扉
(
とびら
)
を押し開けて
這入
(
はい
)
って来て、ストーブの
火照
(
ほて
)
りが一番よく当る場所を選んで、人間達の脚と脚の
隙間
(
すきま
)
へ割り込み、
前肢
(
まえあし
)
の上に首を伸ばしてぬくぬくと
蹲踞
(
うずく
)
まった。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
先
(
せん
)
のと、それから「種」のモデルの方が三つです。一つは
起
(
た
)
って
前肢
(
まえあし
)
を挙げている(これは葉茶屋の方のです)。一つは寝転んでいる。一つは駆けて来て
鞠
(
まり
)
に
戯
(
じゃ
)
れている。
幕末維新懐古談:55 四頭の狆を製作したはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
獏は哺乳類のうちの
奇蹄目
(
きていもく
)
で獏科の動物だ。形は
犀
(
さい
)
に似て、全身短毛をもって
掩
(
おお
)
われ、尾は短く、鼻及び上唇は合して短き
象鼻
(
ぞうび
)
の如くサ。
前肢
(
まえあし
)
に四
趾
(
し
)
、後肢に三趾を有す。
獏鸚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
(この龍が、
前肢
(
まえあし
)
につかんでいる菊の花束、それが、マンであることを、お京は知らん)
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
犬はもう
憤怒
(
ふんぬ
)
に熱狂した、いましも赤はその
扁平
(
へんぺい
)
な鼻を地上にたれておおかみのごとき両耳をきっと立てた、かれの
醜悪
(
しゅうあく
)
なる面はますます
獰猛
(
どうもう
)
を加えてその
前肢
(
まえあし
)
を低くしりを高く
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
朝月
(
あさづき
)
は高くいなないて、あと足立ちになり、その
明兵
(
みんぺい
)
を
前肢
(
まえあし
)
の間にだきこもうとする。
三両清兵衛と名馬朝月
(新字新仮名)
/
安藤盛
(著)
年老
(
としと
)
った興行師の一人は、
禿
(
は
)
げた頭を虎の口元へ持って往って、
甜
(
なめ
)
らしたり、
鬚
(
ひげ
)
をひっ張ってみたり、虎の体の下へもぐって往って、
前肢
(
まえあし
)
の間から首を出してみたり、そうかと思うと
虎媛
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
錦蛇
(
にしきへび
)
には違いないが、小さな
前肢
(
まえあし
)
が生えていて、
大蜥蜴
(
おおとかげ
)
のようでもある。しかし、腹部は八戒自身に似てブヨブヨ
膨
(
ふく
)
れており、短い前肢で二、三歩
匍
(
は
)
うと、なんとも言えない
無恰好
(
ぶかっこう
)
さであった。
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
みんなは
交
(
かわ
)
る
交
(
がわ
)
る、
前肢
(
まえあし
)
を一本環の中の方へ出して、今にもかけ出して行きそうにしては、びっくりしたようにまた引っ込めて、とっとっとっとっしずかに走るのでした。
鹿踊りのはじまり
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
馬は
前肢
(
まえあし
)
を駕籠に踏み込み、駕籠といっしょに転倒した。
濛々
(
もうもう
)
と舞い立つ土埃がそれを包んだ。
鵜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
躍るように陽の照る庭さきに、一匹の大きな黒犬が、心得顔に
前肢
(
まえあし
)
をそろえて見ている。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
清兵衛は起きようとすると、朝月は
前肢
(
まえあし
)
を折って、近々と顔をおしつけるようにした。清兵衛は、その首にとりすがった。この光景を見た城兵たちは、
胸
(
むね
)
をしめつけられて声もなかった。
三両清兵衛と名馬朝月
(新字新仮名)
/
安藤盛
(著)
ガベラの花弁のような優しい耳の垂れぐあい、白粉刷毛のようなちっちゃな
前肢
(
まえあし
)
。ふんわりした額の巻毛。ピンとおっ立ったあの可愛らしい尻ッ尾。……ああ、なんという
魅わしさ
(
シャルム
)
でしょう。
葡萄蔓の束
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ここの処へただちょっとお前の
前肢
(
まえあし
)
の
爪印
(
つめいん
)
を、一つ押しておいて貰いたい。それだけのことだ。
フランドン農学校の豚
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
くびじろも立停り、右の
前肢
(
まえあし
)
を半ばあげたまま、じっとこちらを見ていた。
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
気の弱い牛ならば貧血を起こそうという
慓悍
(
ひょうかん
)
無比の猛牛ぞろい、なかにも、マルセーユ代表のヘルキュレスというのは、当年満三歳の血気盛り、相手の
前肢
(
まえあし
)
に角をからみ、とたんにやっ! と
ノンシャラン道中記:06 乱視の奈翁 ――アルル牛角力の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
あいつはふざけたやつだねえ、氷のはじに立ってとぼけた顔をしてじっと海の水を見ているかと思うと俄かに
前肢
(
まえあし
)
で頭をかかえるようにしてね、ざぶんと水の中へ飛び込むんだ。
風野又三郎
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
それからいかにも
退屈
(
たいくつ
)
そうに、わざと大きなあくびをして、両手を頭のうしろに組んで、行ったり来たりやっていた。ところが象が
威勢
(
いせい
)
よく、
前肢
(
まえあし
)
二つつきだして、小屋にあがって来ようとする。
オツベルと象
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
“前肢”の意味
《名詞》
足が四本ある動物の、頭に近いほうの二本の足。まえあし。
昆虫の、頭に近い二本の肢。
(出典:Wiktionary)
“前肢”の解説
前肢(ぜんし、forelimb, fore-leg)とは、
昆虫の前胸についている脚のこと。
脊椎動物の有対肢のうち前のほうのもの(頭部寄りのもの)。
(出典:Wikipedia)
前
常用漢字
小2
部首:⼑
9画
肢
常用漢字
中学
部首:⾁
8画
“前”で始まる語句
前
前後
前途
前方
前垂
前刻
前様
前栽
前屈
前掛