トップ
>
僭上
>
せんじょう
ふりがな文庫
“
僭上
(
せんじょう
)” の例文
大
(
おおき
)
な
蝦蟆
(
がま
)
とでもあろう事か、革鞄の吐出した第一幕が、旅行案内ばかりでは
桟敷
(
さじき
)
で飲むような気はしない、が
蓋
(
けだ
)
しそれは
僭上
(
せんじょう
)
の沙汰で。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
金持の連中もまた、
儲
(
もう
)
けたい奴は盛んに儲け、儲けた上に莫大の配当をしました。そうして、大ビラで
贅沢
(
ぜいたく
)
や
僭上
(
せんじょう
)
の限りを尽しました。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「王平の奴、遂におれの指図に従わんな。
凱旋
(
がいせん
)
の後は、丞相の前へ出で、彼の
僭上
(
せんじょう
)
と軍律にそむくの罪をきっと問わねばならん」
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
頼長はそれをひと目見て、彼女の
僭上
(
せんじょう
)
を責めるよりも、こうした
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しい姿にいでたたせた兄忠通の非常識に対して十二分の
憤懣
(
いきどおり
)
を感じた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「伊勢屋新六の増長は目に余りましたよ。町人の
奢
(
おご
)
り
僭上
(
せんじょう
)
は、いずれおとがめものですが、伊勢新は悪く
悧巧
(
りこう
)
で、なかなか尻尾を出しません」
銭形平次捕物控:069 金の鯉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
「なまいきなことを云ってはいけない」保馬が云った、「客がいるのに奢るということがあるか、
僭上
(
せんじょう
)
というものだぞ」
いしが奢る
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
僭上
(
せんじょう
)
至極の沙汰に存ぜられまするが、某、思いまするに、幕府は最早、諸大名に対し、その勢力を失墜しておりまする。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
自分の怪しう物狂おしいこの一篇の放言がもしやそれと似たような役に立つこともあれば、それによって幾分か
僭上
(
せんじょう
)
の罪が償われることもあろうかと思った次第である。
徒然草の鑑賞
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
今でもすでに万遍なく
擦
(
す
)
り切れて、
竪横
(
たてよこ
)
の筋は明かに読まれるくらいだから、毛布と称するのはもはや
僭上
(
せんじょう
)
の沙汰であって、毛の字は
省
(
はぶ
)
いて単にットとでも申すのが適当である。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
(微笑)
伴天連
(
ばてれん
)
のあなたを疑うのは、
盗人
(
ぬすびと
)
のわたしには
僭上
(
せんじょう
)
でしょう。しかしこの約束を守らなければ、(突然
真面目
(
まじめ
)
に)「いんへるの」の猛火に焼かれずとも、
現世
(
げんぜ
)
に
罰
(
ばち
)
が
下
(
くだ
)
る筈です。
報恩記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「よしや、
直筆
(
じきひつ
)
なるにもせよ、一老中のご意見で、法をうごかすなどという例はない。もってのほかな
僭上
(
せんじょう
)
というものであろう」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「黒餡の安菓子……子供だまし。……詩歌にお客分の、黄菊白菊に対しては、
聊
(
いささ
)
か
僭上
(
せんじょう
)
かも知れぬのでありますな。」
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「王国なんて、ずいぶん
僭上
(
せんじょう
)
な呼び方かも知れませんが、
不破
(
ふわ
)
の関守さんが、冗談におつけになったんですから、お気になさらないでお聞き下さい」
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
申上げるのは
僭上
(
せんじょう
)
ではございますけれど、お父うえ
安房守
(
あわのかみ
)
さまの御心底はいかがでありましょうか、世のありさまを
日本婦道記:忍緒
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
いつの代にも絶えない金持の
僭上
(
せんじょう
)
から、自分も一度は鷹が飼ってみたいと望んでいることを、辰蔵はかねて知っていたので、とうとう吉見をそそのかして
半七捕物帳:15 鷹のゆくえ
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
本人は
大通
(
だいつう
)
中の大通のような心持でいるのですが、金持の独りっ子らしく育っている上に、人の意見の口を
塞
(
ふさ
)
ぐ程度に才智が廻るので、番頭達も、親類方も、その
僭上
(
せんじょう
)
ぶりを苦々しく思いながら
銭形平次捕物控:054 麝香の匂い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ゆめ、さような
僭上
(
せんじょう
)
ではございません。ただこの
御戦
(
みいくさ
)
を、いかにせば、
勝目
(
かちめ
)
としうるか、それのみにござりますれど」
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
泰平には余り使いどころのない役だったが、それが
却
(
かえ
)
って「側近の衛士」という虚名と結び着いて、傍若無人、横着
僭上
(
せんじょう
)
、高慢
不遜
(
ふそん
)
の気風を
唆
(
そそ
)
るようになり
評釈勘忍記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
台所の
豪傑儕
(
ごうけつばら
)
、
座敷方
(
ざしきがた
)
の
僭上
(
せんじょう
)
、
栄耀栄華
(
えようえいが
)
に
憤
(
いきどおり
)
を発し、しゃ討て、
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
小褄
(
こづま
)
の前を
奪取
(
ばいと
)
れとて、
竈
(
かまど
)
将軍が
押取
(
おっと
)
った
柄杓
(
ひしゃく
)
の采配、火吹竹の貝を吹いて、鍋釜の鎧武者が
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
わたしはもう
疾
(
と
)
うの昔に、人の主人たる地位をのがれた、同時にただ一人の人をも家来とし、奴隷とするような
僭上
(
せんじょう
)
を捨てた、わたしを殿様呼ばわりするは、それは昔からの口癖が
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ふたつには袁紹が帝位をのぞむ
僭上
(
せんじょう
)
を懲らし、すべて彼らが企むところの野心を未然に粉砕してお目にかけまする
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれどもまた、よくよく考え直してみると、そう思うのはむしろ
僭上
(
せんじょう
)
だという気がした。祝言の夜の寝所で、あの方がわたくしに与えたものは愛でもなさけでもなかった。
やぶからし
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「何を——この
忘八者
(
くるわもの
)
めが、武士に向って
僭上
(
せんじょう
)
至極!」
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
僭上
(
せんじょう
)
だよ、無礼だよ、罰当り!
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
第一かれらが槍術をやるのからして
僭上
(
せんじょう
)
だ、ちょっと槍の持方でも覚えると、もういっぱしの武士にでもなり兼ねない
面
(
つら
)
つきで、肩を怒らしてのしまわる、雑草は端から刈るべきだ
足軽奉公
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「およしなされ、また
要
(
い
)
らざる
僭上
(
せんじょう
)
沙汰と、
後
(
あと
)
になって殿のお叱りをうけまするぞ」
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「勅命をもうけず、早々、途上において戦端をひらき、
僭上
(
せんじょう
)
の罪かろからずと、ひそかに
恐懼
(
きょうく
)
しておりましたのに、もったいない御諚をたまわり、臣は身のおくところも存じませぬ」
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『できるからする』という気持がゆるしがたい
僭上
(
せんじょう
)
だということに気づきました。
日本婦道記:尾花川
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
けれどよくよく考えてみると、長谷川、前田などの傅役のほかに、秀吉も幼君の
輔佐
(
ほさ
)
たるべしとは、昼の会議でみなが衆判の下に認めていたことである。
僭上
(
せんじょう
)
なり——とは
咎
(
とが
)
められない。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わたくしはいま「むらた」の離れでこれを書いているが、初めて寮へ火をつけたときのような、張り詰めた気持はなく、むしろ恥ずかしさと、自分が
僭上
(
せんじょう
)
だった、というおもいで苦しんでいる。
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
自分の父の
黄琬
(
こうえん
)
は、むかし
李傕
(
りかく
)
郭汜
(
かくし
)
が乱をなした時、禁門を守護して果てた忠臣です。その忠臣の子がいまは、心にもなく、
僭上
(
せんじょう
)
な
奸賊
(
かんぞく
)
の権門に屈して、その禄を
食
(
は
)
んでいるとは実になさけない。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
、独断にて取りきめるなど、
僭上
(
せんじょう
)
至極。立ち帰って、筑前に左様申せ
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「だまれっ、陪臣の身をもって、あまりと申せば、
僭上
(
せんじょう
)
な」
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
僭
漢検1級
部首:⼈
14画
上
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
“僭上”で始まる語句
僭上者
僭上傲慢
僭上沙汰