令嬢れいじょう)” の例文
旧字:令孃
「アネモネにしましょうね、いまきかかったばかりなのですもの。」と、三にん令嬢れいじょうなかのいちばん年上としうえのがいいました。
花と人の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
部屋のまん中には、椅子いすの上に公爵令嬢れいじょうち上がって、男の帽子ぼうしを眼の前にささげている。椅子のまわりには、五人の男がひしめき合っている。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
十九歳をかしら令嬢れいじょうが四人、女中が十八人、事務員が二人の全く女ばかりの大世帯で、男と云えば風呂きのじいさんと末のぼっちゃんだけだと云う事であった。
魚の序文 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
ただし大阪は今日でも婚礼こんれい家柄いえがらや資産や格式などを云々うんぬんすること東京以上であり元来町人の見識の高い土地であるから封建ほうけんの世の風習は思いやられる従って旧家の令嬢れいじょうとしての衿恃きょうじ
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
と銀太夫君が師匠ししょう令嬢れいじょう美代子みよこさんに訊いた。
心のアンテナ (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
ぜいたくなようすをしていました三にん令嬢れいじょうは、みせさきにって、そこにあるいろいろなはなうえに、きよらかなりこうそうなうつしていました。
花と人の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それに引替えジナイーダは、すこぶるツンと、ほとんど傲慢ごうまんなほどに構えて、あっぱれ公爵令嬢れいじょうであった。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
行きずりにう町の女、令嬢れいじょう、芸者、女優、———などに、あわい好奇心を感じたこともないではないが、いつでも彼の眼に止まる相手は、写真で見る母のおもかげにどこか共通な感じのある顔のぬしであった。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ある、りっぱな紳士しんし令嬢れいじょうをつれて、この庭園ていえんへはいってきました。そして、やがておなじように、しんぱくのまえって、主人しゅじんからはなしをきかされていました。
しんぱくの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
うちへ来ると、彼女はたちまち、令嬢れいじょう——つまり公爵こうしゃく令嬢に、早変りしてしまうし、こっちでも彼女を敬遠していた。わたしは、母に見破られるのがこわかったのだ。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
郊外こうがいに移し令嬢れいじょうたちもまたスポーツに親しんで野外の空気や日光にれるから以前のような深窓の佳人かじん式箱入娘はいなくなってしまったが現在でも市中に住んでいる子供たちは一般に体格が繊弱せんじゃくで顔の色などもがいして青白い田舎いなか育ちの少年少女とは皮膚ひふえ方が違う良く云えば垢抜あかぬけがしているが悪く云えば病的である。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
あたりのかたづけがすむと、一人ひとり令嬢れいじょうは、アネモネのそばへやってきました、そして、つくづくとはなをながめていましたが、やがてうつくしいかおはなちかづけました。
花と人の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこへ、一人ひとり紳士しんしが、令嬢れいじょうをつれてとおりかかりました。この紳士しんしごろから、この動物園どうぶつえんおとこっているとみえまして、にっこりとわらって、かお見合みあわせると
白いくま (新字新仮名) / 小川未明(著)
そればかりでなく、品物しなもの使つかみちがまたんでいた。というのは、金持かねもちのおくさまや、令嬢れいじょうがたがるためであって、ただそうしたおしゃれのひとたちの虚栄心きょえいしん満足まんぞくさせるに役立やくだつだけだった。
心の芽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
紳士しんし令嬢れいじょうは、おもわずわらいました。
白いくま (新字新仮名) / 小川未明(著)