ヒト)” の例文
所謂「クワンヒト」である為には、自分の奉仕する神社の経済状態を知らない様では、実際曠職と言はねばならぬ。
神道の史的価値 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
牛肉ギウニクヒトケルヤ開化之薬舗カイクワノヤクホニシテシカシテ文明ブンメイ良剤リヤウザイナリ」と言ひ、京橋に建てられた煉瓦石れんぐわせきの家を見ては
虫干 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
超人チョウジンケル小心ショウシン恐々キョウキョウヒトワライナガラ厳粛ゲンシュクノコトヲカタレ、ト秀抜真珠シュウバツシンジュ哲人テツジンサケンデ自責ジセキ狂死キョウシシタ。
創生記 (新字新仮名) / 太宰治(著)
ねこ、(中略)人家ジンカチヒサキケモノヒトトコロナリ。温柔ヲンジウニシテヤスク、マタネズミトラフレバフ。シカレドモ竊盗セツタウセイアリ。カタチトラ二尺ニシヤクラズ。(下略げりやく
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
名ニシオフ宇治ノ山辺ヤマベノ坂口ニ、御屋形オヤカタヲ立、ココニテ一献進上。花沢ノ古城、コレハ昔、小笠原肥前ガタテ籠リシ折、武田信玄、コノ城ヘ取懸トリカカリ、ヒト数多アマタ討タセ、勝利ヲ失ヒシ城也。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
即「ヒト」と「神の嫁」とは、別殊の人となるのである。かうした風の生じる以前の社会には、常世神の「一夜配偶ヒトヨヅマ」の風が行はれてゐたものと思ふ事が出来る。
膝が、肱が、徐ろに埋れてゐた感覺をとり戻して來るらしく、ヒトの頭に響いて居るもの——。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
膝が、肱が、徐ろに埋れてゐた感覺をとり戻して來るらしく、ヒトの頭に響いて居るもの——。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
ヒザが、ヒヂが、オモムろに埋れてゐた感覚をとり戻して来るらしく、ヒトの頭に響いて居るもの——。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
たゞヒトの考へから言へば、苦しい現實のひき續きではあつたのだが、姫にとつては、心驚く事ばかりであつた。一つ/\變つた事に逢ふ度に、「何も知らぬ身であつた」、と姫の心の底の聲が揚つた。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)