一聲いつせい)” の例文
新字:一声
車上しやじやうひと目早めばやみとめて、オヽ此處こゝなり此處こゝ一寸ちよつとにはか指圖さしづ一聲いつせいいさましく引入ひきいれるくるま門口かどぐちろす梶棒かぢぼうともにホツト一息ひといきうちには女共をんなども口々くち/″\らつしやいまし。
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
武村兵曹たけむらへいそう、おまへ鬼神きじんゆうがあればとて、あの澤山たくさん猛獸まうじうたゝかつてなにになる。』と矢庭やにわかれ肩先かたさきつかんでうしろ引戻ひきもどした。此時このとき猛犬稻妻まうけんいなづまは、一聲いつせいするどうなつて立上たちあがつた。
復音ふくおん一聲いつせい、たとへば、弓をもて、二つのいとを彈き鳴らしたるヸオロンの如く歌ひ出づ。
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
「隱せよ」と叫ぶ一聲いつせい兒等こらはただ
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
『それツ。』と一聲いつせい吾等われら周章狼狽あわてふためい鐵檻てつおりくるまなか逃込にげこんだが、危機一髮きゝいつぱつ最後さいご逃込にげこんだ武村兵曹たけむらへいそうはまだその半身はんしん車外しやぐわいにあるのに、ほとんど同時どうじ飛付とびついて雄獅子をじゝのために
……若葉はそよぎ、一聲いつせいほのかに、さゞめき低く、物音ものおとして……
カンタタ (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
きばらして此方こなたにらんでつたが、それもわづかのあひだで、獅子しゝ百獸ひやくじうわうばるゝほどあつて、きわめて猛勇まうゆうなる動物どうぶつで、此時このとき一聲いつせいたかさけんで、三頭さんとう四頭しとうたてがみらして鐵車てつしや飛掛とびかゝつてた。