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一心
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いっしん
ふりがな文庫
“
一心
(
いっしん
)” の例文
子家鴨
(
こあひる
)
はみんなが
連
(
つ
)
れだって、
空
(
そら
)
高
(
たか
)
くだんだんと
昇
(
のぼ
)
って
行
(
い
)
くのを
一心
(
いっしん
)
に
見
(
み
)
ているうち、
奇妙
(
きみょう
)
な
心持
(
こころもち
)
で
胸
(
むね
)
がいっぱいになってきました。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
東に迷い、南に迷い、
彼女
(
かれ
)
は実に幾時間を費したか知らぬが、人の
一心
(
いっしん
)
は怖しいもので、
何
(
ど
)
うやら
斯
(
こ
)
うやら
彼
(
か
)
の
難所
(
なんじょ
)
を
乗切
(
のりき
)
ったらしい。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
といって、ある日そっと
娘
(
むすめ
)
の
後
(
あと
)
から
一間
(
ひとま
)
に
入
(
はい
)
って
行
(
い
)
きました。そして
娘
(
むすめ
)
が
一心
(
いっしん
)
に
鏡
(
かがみ
)
の中に
見入
(
みい
)
っているうしろから、
出
(
だ
)
し
抜
(
ぬ
)
けに
松山鏡
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
そのとき女は前に置かれた新聞紙を
一心
(
いっしん
)
になってみつめていたが、ちょっとの間その表情が動いたかと思うと、ますます烈しい凝視をつづけた。
香爐を盗む
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
しかし、法師は、寺男のことばをききいれるどころか、ますます
一心
(
いっしん
)
に、ますます高らかな声で、
吟
(
ぎん
)
じつづけています。
壇ノ浦の鬼火
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
▼ もっと見る
人の噂もせず世間話も何もない人のようです。こういう人が
一心
(
いっしん
)
になってお金をためると、おそろしいものです。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
私、その猫に、
一心
(
いっしん
)
に祈った。そして、
金目銀目
(
きんめぎんめ
)
の猫、見つかった。それで、私、なお祈った。無事に
蒙古
(
もうこ
)
へ帰られるかどうか、赤土で猫を作って、
占
(
うらな
)
いした。
金の目銀の目
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
じゃ、
私
(
わたし
)
の顔が見えるかいと
一心
(
いっしん
)
に聞くと、見えるかいって、そら、そこに、写ってるじゃありませんかと、にこりと笑って見せた。自分は黙って、顔を枕から離した。
夢十夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
というのが、
手
(
て
)
にとるように
聞
(
き
)
こえるので、
坊
(
ぼう
)
さんはもういよいよ
絶体絶命
(
ぜったいぜつめい
)
とかくごをきめて、
一心
(
いっしん
)
にお
経
(
きょう
)
を
唱
(
とな
)
えながら、
走
(
はし
)
れるだけ
走
(
はし
)
って行きました。
安達が原
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
が、林太郎はおっかさんに会いたい
一心
(
いっしん
)
から、もうあぶないことも
恐
(
こわ
)
いことも忘れてしまったのでした。
あたまでっかち
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
それから
一心
(
いっしん
)
に、笛をふきはじめました。なんともいえないうるわしい
音
(
ね
)
がひびきわたりました。エキモスはもうなにもかもわすれて、むちゅうにふきつづけました。
銀の笛と金の毛皮
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
門口
(
かどぐち
)
に柳のある新しい二階家からは三味線が聞えて、水に添う低い
小家
(
こいえ
)
の
格子戸外
(
こうしどそと
)
には
裸体
(
はだか
)
の亭主が涼みに出はじめた。長吉はもう来る時分であろうと思って
一心
(
いっしん
)
に橋向うを眺めた。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
もう
外
(
そと
)
はまっ
暗
(
くら
)
になっていましたが、おばあさんは
欲
(
よく
)
ばった
一心
(
いっしん
)
でむちゃくちゃにつえをつき
立
(
た
)
てながら
舌切りすずめ
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
「ひょっとしたら、おっかさんに会いたい
一心
(
いっしん
)
で、
土浦
(
つちうら
)
までいったかもしれないぞ。」
あたまでっかち
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
お
妃
(
きさき
)
はじめおそばの人たちが
心配
(
しんぱい
)
しますと、
高麗
(
こま
)
の
国
(
くに
)
から
来
(
き
)
た
恵慈
(
えじ
)
という
坊
(
ぼう
)
さんが、これは
三昧
(
さんまい
)
の
定
(
じょう
)
に
入
(
い
)
るといって、
一心
(
いっしん
)
に
仏
(
ほとけ
)
を
祈
(
いの
)
っておいでになるのだろうから
夢殿
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
するとこれはまた
意外
(
いがい
)
のことに、法師がただひとり、
安徳天皇
(
あんとくてんのう
)
のみささぎの前にたん
座
(
ざ
)
して、われを忘れたように、
一心
(
いっしん
)
ふらんに、びわを
弾
(
だん
)
じ、
壇
(
だん
)
ノ
浦
(
うら
)
合戦
(
かっせん
)
の
曲
(
きょく
)
を
吟
(
ぎん
)
じているのでありました。
壇ノ浦の鬼火
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
“一心”の意味
《名詞》
一 心(いっしん)
複数の人の心が一致すること。
一つの物事に心を集中すること。
(出典:Wiktionary)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
心
常用漢字
小2
部首:⼼
4画
“一心”で始まる語句
一心不乱
一心不亂
一心太助
一心欲見仏
一心専念弥陀名号