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ひとりむすこ
ふりがな文庫
“
一人息子
(
ひとりむすこ
)” の例文
私の故郷の町にいた竹という
乞食
(
こじき
)
は、実家が相当な暮しをしている農家の
一人息子
(
ひとりむすこ
)
でありながら、家を飛び出して乞食をしている。
秋と漫歩
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
と
挨拶
(
あいさつ
)
してまだ何かいいたそうであった。両親を失ってからこの叔母夫婦と、六歳になる白痴の
一人息子
(
ひとりむすこ
)
とが移って来て同居する事になったのだ。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
その青年の名は、小川新太郎といって、日本海に面した或る港町の、宿屋の
一人息子
(
ひとりむすこ
)
だという事を、私は知っていた。
母
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
昔
(
むかし
)
の
友
(
とも
)
といふ
中
(
うち
)
にもこれは
忘
(
わす
)
られぬ
由縁
(
ゆかり
)
のある
人
(
ひと
)
、
小川町
(
をがはまち
)
の
高坂
(
かうさか
)
とて
小奇麗
(
こぎれい
)
な
烟草屋
(
たばこや
)
の
一人息子
(
ひとりむすこ
)
、
今
(
いま
)
は
此樣
(
このやう
)
に
色
(
いろ
)
も
黒
(
くろ
)
く
見
(
み
)
られぬ
男
(
をとこ
)
になつては
居
(
ゐ
)
れども
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
かつみさんといって、あの甥の
達者
(
たっしゃ
)
な時分には親しくした人だ。あの甥は
土屋
(
つちや
)
という家に
嫁
(
とつ
)
いだ私の実の姉の
一人息子
(
ひとりむすこ
)
にあたっていて、年も私とは三つしか違わなかった。
分配
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
零落
(
れいらく
)
した
女親
(
をんなおや
)
がこの世の楽しみと
云
(
い
)
ふのは
全
(
まつた
)
く
此
(
こ
)
の
一人息子
(
ひとりむすこ
)
長吉
(
ちやうきち
)
の
出世
(
しゆつせ
)
を見やうと
云
(
い
)
ふ事ばかりで、商人はいつ失敗するか
分
(
わか
)
らないと
云
(
い
)
ふ経験から、お
豊
(
とよ
)
は三度の
飯
(
めし
)
を二度にしても
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
一人息子
(
ひとりむすこ
)
を失った母親は一時はほとんど
生
(
い
)
きがいもないようにまで思ったが、しかしそう悔んで嘆いてばかりもいられなかった。かれらは老いてもなお
独
(
ひと
)
り働いて食わなければならなかった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
伝吉は
信州
(
しんしゅう
)
水内郡
(
みのちごおり
)
笹山
(
ささやま
)
村の百姓の
一人息子
(
ひとりむすこ
)
である。伝吉の父は伝三と云い、「酒を好み、
博奕
(
ばくち
)
を好み、
喧嘩
(
けんか
)
口論を好」んだと云うから、まず
一村
(
いっそん
)
の人々にはならずもの扱いをされていたらしい。
伝吉の敵打ち
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
安之助
(
やすのすけ
)
は
叔父
(
をぢ
)
の
一人息子
(
ひとりむすこ
)
で、
此夏
(
このなつ
)
大學
(
だいがく
)
を
出
(
で
)
た
許
(
ばかり
)
の
青年
(
せいねん
)
である。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
一通の手紙は
木曾
(
きそ
)
から江戸を回って来たものだ。
馬籠
(
まごめ
)
の方にいる
伏見屋金兵衛
(
ふしみやきんべえ
)
からのめずらしい消息だ。最愛の
一人息子
(
ひとりむすこ
)
、
鶴松
(
つるまつ
)
の死がその中に報じてある。鶴松も弱かった子だ。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
お
豊
(
とよ
)
は花見どころの
騒
(
さわ
)
ぎではない。もう
何
(
どう
)
していゝのか分らない。望みをかけた
一人息子
(
ひとりむすこ
)
の
長吉
(
ちやうきち
)
は試験に落第してしまつたばかりか、もう学校へは
行
(
ゆ
)
きたくない、学問はいやだと
云
(
い
)
ひ出した。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
一人息子
(
ひとりむすこ
)
のために、悪魔を払いたまえ! と心に念じながら……。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
これが
所夫
(
をつと
)
と
仰
(
あふ
)
がれぬべく
定
(
さだ
)
まりたるは
天下
(
てんか
)
の
果報
(
くわはう
)
の
一人
(
ひとり
)
じめ
前生
(
ぜんしやう
)
の
功徳
(
くどく
)
いか
許
(
ばか
)
り
積
(
つ
)
みたるにかと
世
(
よ
)
にも
人
(
ひと
)
にも
羨
(
うらや
)
まるゝはさしなみの
隣町
(
となりまち
)
に
同商中
(
どうしやうちゆう
)
の
老舖
(
しにせ
)
と
知
(
し
)
られし
松澤儀右衞門
(
まつざはぎゑもん
)
が
一人息子
(
ひとりむすこ
)
に
芳之助
(
よしのすけ
)
と
呼
(
よ
)
ばるゝ
優男
(
やさをとこ
)
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
息
常用漢字
小3
部首:⼼
10画
子
常用漢字
小1
部首:⼦
3画
“一人息”で始まる語句
一人息女