“コップ”のいろいろな漢字の書き方と例文
ひらがな:こっぷ
語句割合
洋盃41.1%
洋杯14.3%
硝子盃12.5%
硝子杯10.7%
5.4%
高脚3.6%
玻璃盞1.8%
洋盞1.8%
洋酒1.8%
玻璃杯1.8%
1.8%
1.8%
1.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そろそろ酔の廻った叔父は、火熱ほてった顔へ水分を供給する義務を感じた人のように、また洋盃コップを取り上げて麦酒ビールをぐいと飲んだ。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そしてまた一杯飲んだ。そしてはしなくまなこを自分の方へ転じたと思うと、洋杯コップを手にしたまゝ自分の方へ大股おおまたで歩いて来る、其歩武ほぶの気力ある様は以前の様子と全然まるで違うて居た。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「ご病気だった。それだもの、湯ざめをなさると不可いけない。猪口ちょこでなんぞ、硝子盃コップだ、硝子盃。しかし、一口いかがです。」
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
三人の紅茶を一個々々ひとつひとつ硝子杯コップせんじ出した時、柳沢時一郎はそのすっきりとせいの高い、しまった制服の姿をとう椅子いすの大きなのに、無造作に落していった。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「それぢや後ほど。」と云つたまゝ空になつたコップを、右の手で振り廻すやうにしながら、ふら/\丘の麓にある模擬店の方へ行つてしまつた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
金欄手きんらんでの陶器の高脚コップで、酒盛りをしたものと見えて、私の家にも、その幾個いくつかがきていた。
炉に掛けた雪平ゆきひらの牛乳も白い泡を吹いて煮立ちました頃、それを玻璃盞コップに注いで御二階へ持って参りますと、旦那様は御机に倚凭よりかかって例の御調物です。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
奥様の御差図さしずで、葡萄酒を胡燵おこたの側に運びまして、玻璃盞コップがわりには京焼の茶呑茶椀ぢゃわんを上げました。静な上に暖で、それはだまされたような、夢心地のする陽気。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「代さん、あなた役者になれて」と聞いた、代助は何にも云わずに、洋盞コップを姉の前に出した。梅子も黙って葡萄酒の壜を取り上げた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「どうだ、一ぱい遣らないか」と、前にあった葡萄酒ぶどうしゅびんを持って振って見せた。中にはまだ余程這入っていた。梅子は手をたたいて洋盞コップを取り寄せた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
男も一息に、しかし幾らかゆっくり加減にり、不味まずそうに手の甲でくちを拭いて、何か考え事でもするように、洋酒コップの底をいじくりながら
主婦かみさんかしげた大徳利の口を玻璃杯コップに受けて、茶色にいきの立つ酒をなみ/\と注いで貰ひ、立つて飲み乍ら、上目で丑松を眺める橇曳そりひきらしい下等な労働者もあつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「何が可笑をかしいツ」コップ取りなほして松島は打ちも掛からんずる勢
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「それは何でござんすね。」と、叔母はうす橙色オレンジいろのそのコップを遠くからすかして見た。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
これらの二児相憐愛し長者少者にコップより水飲む事を教えた、この少者わずかに四ヶ月この院にあったその間ヒンズー人しばしば来てこれを礼拝し、かくすればその一族狼害を免がると言った。