“ぬし”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヌシ
語句割合
91.4%
塗師4.3%
1.5%
主人0.6%
漆師0.6%
貴様0.3%
主體0.3%
棲主0.3%
0.3%
魔主0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
と、ぬしのない血まみれなその小舟がしおに乗って流されてゆくそばに、ぽかりと、西瓜すいかのような物が浮いた。ふたつの人間の頭である。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
政吉はまず差し当りのもうけを見て行くという意見で、たとえば私が下職の方の塗師ぬし上手じょうずの方へやろうというのでも、政吉は安手の方の塗師重ぬしじゅうで済まして、手間を省こうという遣り口。
「シップの——おぬしらの部落ではなかろうか、開墾の火でもあろうか、よくご精の出ることだ、——うらやましいことだ」
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
谷の主人ぬし。——鬼王丸の本体である。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
絶えて人の住むことなきを、此の男のきのふここに入りて、ややして帰りしをあやしとて、此の一九一漆師ぬしをぢがまうされしといふに、一九二さもあれ、よく見きはめて殿に申さんとて
『道楽はイクラしても構わん。貴様ぬしが儲けて貴様ぬしが遊ぶ事じゃケニ文句は云わんが、赤の他人でも親類になる……見ず知らずの他人の娘でも蹴倒けたおす金の威光だけは見覚えておけよ』
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
アトは丸山にて貴様の狃除なじみをば喜ばしょうと思うに、要らん事に全快ようなったりして俺達をば非道ひどい眼に合わせる。捕らぬ狸の皮算用。夜中三天のコッケコーコーたあ貴様ぬしが事タイ。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ほとんど闇黒やみ全體ぜんたいつゝまれてつたが、わたくし一念いちねんとゞいて幾分いくぶ神經しんけいするどくなつたためか、それともひとみやうや闇黒あんこくれたためか、わたくしからうじてその燈光ひかり主體ぬしみと途端とたん
かつ隧道トンネル穿うがちしとき工夫こうふ鶴觜つるはし爆裂彈ばくれつだん殘虐ざんぎやくかゝつた、よわ棲主ぬしたちのまぼろしならずや。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ぬし正宗まさむね、わしアび刀、ぬしは切れても、わしア切れエ——ぬ」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
先ごろ、世間のうわさでは、お上人様が、大沢の池に棲んでいる恐ろしい魔主ぬしを、念仏の功力くりきでお払いくだされたとかで——えらい噂でございます。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)