“塗師(ぬし)” の例文
「山上の仁王門にご修理がございますので、そこに泊りこみで働いている塗師(ぬし)、瓦師(かわらし)、仏師(ぶっし)などの職人方へ売りにいきますんで」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
政吉はまず差し当りの儲(もう)けを見て行くという意見で、たとえば私が下職の方の塗師(ぬし)の上手(じょうず)の方へやろうというのでも、政吉は安手の方の塗師重(ぬしじゅう)で済まして、手間を省こうという遣り口。
塗師(ぬし)、錺(かざり)職人、磨師(みがきし)、石工(いしく)なども二十五人一組の定めであった。むろん一同は山へ上がったが最後、頭(かしら)だったものは町小屋、諸職人は下小屋(したこや)に寝とまりして、竣工(しゅんこう)まで下山を許さないのです。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
絵画、漆器に関しては彼らの尽くした莫大(ばくだい)の貢献についていうのはほとんど贅言(ぜいげん)と思われる。絵画の一大派はその源を、茶人であり同時にまた塗師(ぬし)、陶器師として有名な本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)に発している。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心、岡倉覚三(著)
塗師(ぬし)屋久左衛門の家に宿す。気候前日のごとし。行程七里半余。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
大工の木曾ノ掾(じょう)、蒔絵(まきえ)の遠江ノ介、塗師(ぬし)の源五郎。いや居るわ居るわ……鼓打(つづみう)ちの桐作やら仮面(めん)打ちの道白(どうはく)までが……。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから、仏師塗師(ぬし)、仏師錺師(かざりし)等いずれも分業者である。
塗師(ぬし) 推朱(すいしゅ)平十郎
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
外には鍛冶のふいごや鎚音(つちおと)もしていた。床場(ゆかば)の内では、弓の弦師(つるし)、具足の修理、くさずりの縫工(ほうこう)、研師(とぎし)、塗師(ぬし)、革裁(かわた)ち、柄巻(つかま)き、あらゆる部門の職人が見える。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
附属物の彫金(ちょうきん)、染革(そめかわ)、塗師(ぬし)、かざり師、糸縒(いとより)などの諸職のなかで、元成は、下絵描きをやっていた。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
塗師(ぬし)の店だった。往来に向かっている店がそのまま仕事場になっている。刀の鞘塗(さやぬり)が主で、茶器家具などは、頼まれれば、しないこともないといったふうな主(あるじ)で、その主はまた
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おいおい、鍍金師(ときんや)、仕事は中止だ。塗師(ぬし)も彫師も糸縒(いとより)も染革仕事も、一さい合財(がっさい)、この間の註文仕事は、みな見合せだよ。……すばらしい景気どころか、大騒動が来ちまったんだ」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だがその町中で、しきりと今を楽しんでいるような繁昌(はんじょう)を示しているのは鎧師(よろいし)とか、塗師(ぬし)とか、染屋とか、鍛冶(かじ)とか、馬具屋とかいう類の軍需品(ぐんじゅひん)をうけ負(お)っている工商の家々だった。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「先へ行く路銀も失くなったんだろう。賭場(とば)をのぞいちゃ、金をゆすッて、ああして、酒ばかり食らってやがる。——まさか、左官や塗師(ぬし)の手伝いもできず、侍もああなっちゃお仕舞だな」
無宿人国記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今にも戦争が始まる、織田軍が侵入してくると、昼ながら堺の殷賑(いんしん)もまるで墓場のようにさびれているのに、塗師(ぬし)の亭主だけは、きょうも漆桶(うるしおけ)と共に、ぽつねんと、薄暗い店に坐っている。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
東勝寺の楽殿(がくでん)の楽器を持ってきて、高時の陣座のうしろに、一(ひ)ト屯(たむろ)を作っていた諸職の雑人(ぞうにん)——あの笛師、太鼓打ち、仏師、鋳物師(いものし)、塗師(ぬし)、仮面(めん)打ち、染革師などの工匠(たくみ)や遊芸人たちだった。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いやいや堺の塗師(ぬし)で、杉本新左衛門という剽気(ひょうげ)た男でおざる。刀の塗り鞘(ざや)をよう致すので、人呼んで、そろり鞘(ざや)といい、いつか、それが姓のようになって、曾呂利(そろり)新左衛門と、みなが申しおる」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
堺の南之荘(みなみのしょう)の辻に、塗師(ぬし)宗祐(そうゆう)というものがおります。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
塗師(ぬし)の曾呂利(そろり)
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)