“たにがわ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
渓川41.6%
谷川22.5%
谿河10.1%
渓河9.0%
谿川7.9%
渓流4.5%
溪川1.1%
谷河1.1%
谿1.1%
豁川1.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
時節が時節ですから、紅葉は無論見られませんでしたが、渓川たにがわがあって、山があって、山の行き当りに滝があって、大変好い所でした。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
こうして、毎日まいにちおなじような谷川たにがわおといていなければなりません。先刻せんこくでしたか、こまどりさんのうたきましたが、いつも、よいこえですね。
美しく生まれたばかりに (新字新仮名) / 小川未明(著)
お山の下の恐しい、あの谿河たにがわを渡りました。村方むらかたに、知るべのものがありまして、其処そこから通いましたのでございます。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
渓河たにがわ沿いの道を離れ、低い山の背や尾根をめぐって——笠置かさぎ街道とよんでいる細道を果てなく駈けて行くのだった。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
猟師に追詰められた兎かなんぞのように、山裾の谿川たにがわの岸の草原に跪坐しゃがんでいる、彼女の姿の発見されたのは、それから大分たってからであった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
不図ふとがついてると、下方したながるる渓流たにがわ上手かみては十けんあまりの懸崕けんがいになってり、そこにはばさが二三けんぐらいのおおきな瀑布たきが、ゴーッとばかりすさまじいおとてて
都なまりの住民 その翌十三日大変大きな坂を二ヵ所ばかりえて岩石の突兀とっこつとしてそびえて居る山の麓に宿り、その翌日はその突兀たる岩石の間を流れて居る溪川たにがわに沿うて東南に行くこと三里
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
それは真夏まなつ時分じぶんちがって、幾分いくぶんよわく、またあつさもひどくかんじなかったけれど、ふか谷河たにがわへだててあちらのいわをも日光にっこうらしていたのであります。
大根とダイヤモンドの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるいは山を谿たにがわに沿いあるいは吹き通しの涼しき酒亭に御馳走を食べたなどと書いてあるのを見ると、いくらか自分も暑さを忘れると同時にまたそのうらやましさはいうまでもない。
徒歩旅行を読む (新字新仮名) / 正岡子規(著)
手の長い猿共さるどもが山から山へ、森から森へ遊びあるいて、ある豁川たにがわにくると、何十匹の猿が手をつないで樹の枝からブラ下り、だんだん大きく揺れながら、むこうの崖にとびついて
こんにゃく売り (新字新仮名) / 徳永直(著)