“そばだ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
41.6%
29.6%
16.0%
聳立2.9%
2.1%
側立1.6%
1.6%
1.2%
峙立0.8%
0.4%
屹立0.4%
岨立0.4%
敧立0.4%
0.4%
欹立0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
仏教者はそれほどに光彩を放たなかったが、今までの基教的伝統・因襲に飽きたらず居たものは、喜んで仏教に耳をそばだてたのである。
釈宗演師を語る (新字新仮名) / 鈴木大拙(著)
高田の下男銀平は、下枝を捜しいださんとて、西へ東へ彷徨さまよいつ。ちまた風説うわさに耳をそばだて、道く人にもそれとはなく問試むれど手懸り無し。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
秋の末近く寒い雨の降る夜などに、細い声を立てて渡り鳥の群が空を行くのを、あれがガアラッパだと耳をそばだてて聴く者もあった。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
誰がどこで幾らで売ったか、いつ、どこへ、幾らで買いに来たか、という噂について、日夜耳を聳立そばだてている農民に、こんな東京の話は聞かされたものではない。
西八條の御宴より歸りみちなるさむらひ一群二群ひとむれふたむれ、舞の評など樂げにたれはゞからず罵り合ひて、果は高笑ひして打ち興ずるを、件の侍は折々耳そばだて、時にひややかに打笑うちゑさま、仔細ありげなり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
他の二人も老人らしくつこらしい打扮だが、一人の褐色かっしょく土耳古帽子トルコぼうしに黒いきぬ総糸ふさいとが長くれているのはちょっと人目を側立そばだたせたし、また他の一人の鍔無つばなしの平たい毛織帽子に
野道 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
同じような疑問を抱きながら、しばらく、羅門も東儀も耳をそばだてていると、やがて、そこの部屋のふすまがあいた。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
病理的な情熱の破船状態だと云います。その時は、必ず極端に倫理的なものが、まるで軍馬のように耳をそばだてながら身を起してくる——と申されます。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
……見る見るうちに水は減り周囲の岸が高く峙立そばだち、湖底が徐々に露出あらわれて来た。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
身をそばだてゝの句、颯爽さっそうよろこし。そのすえ
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
身をそばだてゝ 雲衢くものちまたに入る
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
前の日に掃除に來た時二人は屹立そばだつた恐ろしい斷崖を見上げて氣臆きおくれがし、近くの眞砂町の崖崩れに壓し潰された老人夫婦の無慘むごたらしい死と思ひ合はせて、心はむやみに暗くなつた。
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
大きな湖水とは云われなかったが、しかし周囲一里はあろうか、水清く波穏かに、岸には樹木が鬱蒼うっそうと茂り、諸所に奇岩奇石が岨立そばだち、また小さな入江さえあった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
新宿の方角からは、電車の響がうなるように伝わって来る。丁度、彼が寂しい田舎いなかに居た頃、山の上を通る汽車の音を聞いたように、耳を敧立そばだてて町の電車の響を聞いた。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
天の成せる麗質と相俟って往来の人々の眼をそばだて別ても若い女などは立ち止まって見たり振り返って眺めたり去り難い様子を見せるのでした。
天草四郎の妖術 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
船の面柁おもかぢの方の背後うしろに、今まで船の浮んでゐた、別な海の世界が、高くなつて欹立そばだつてゐるのでございます。
うづしほ (新字旧仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)