そばだ)” の例文
今日もそこに来て耳をそばだてたが、電車の来たような気勢けはいもないので、同じ歩調ですたすたと歩いていったが、高い線路に突き当たって曲がる角で
少女病 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
同じような疑問を抱きながら、しばらく、羅門も東儀も耳をそばだてていると、やがて、そこの部屋のふすまがあいた。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
われは此すべを善くすれども、かゝる術の常として、むくいなくては演ずべきにあらず。わが此詞は果して座客をして耳をそばだてしめ、人々は爭ひ進みて、願はくはその奇術を見ることを得んと云へり。
お雪は耳をそばだてた。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)