“くっつ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
密着21.7%
附着21.7%
粘着8.7%
喰付6.5%
喰着6.5%
食付4.3%
付着4.3%
私通4.3%
跟随2.2%
付従2.2%
喰附2.2%
密著2.2%
密通2.2%
癒着2.2%
粘著2.2%
結合2.2%
緊着2.2%
食附2.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
玉子焼鍋へ油を敷いておいて今の物を少しずつ中間あいだを離して入れます。あんまり密着くっつけて入れると膨らむ時中でたがいに着いてしまいます。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
多分そのうち七歳ななつになる男のがあったが、それの行為しわざだろうと、ある時その児を紐で、母親に附着くっつけておいたそうだけれども、悪戯いたずらは依然止まぬ。
一寸怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一体合乗俥というはその頃の川柳や都々逸どどいつの無二の材料となったもので、狭い俥に両性がピッタリ粘着くっつき合って一つ膝掛にくるまった容子は余り見っともイイものではなかった。
三十年前の島田沼南 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
「怖ろしいことでしたね。何しろ、あの時に釣瓶つるべへ肉がパックリと喰付くっついた有様は、眼の前に物のたたりを見るようで、ゾッとしてしまいました」
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
松脂まつやにのような手や首の皮膚はだの色、磁器のような白い眼球がんきゅう、上端が鼻の先へ喰着くっつきそうにって居る厚い唇、其処そこから洩れて来る不思議な日本語
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
余は谷村君のうしろいて事務室の裏へ出た。股野も食付くっついて出た。裏は真四角な庭になっている。無論も草も花も見当らない、ただの平たい場所である。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「マァニの草、あたしに惚れたって、お前じゃ駄目よ。そんなに、べたべた付着くっついたって、あたしゃ嫌」
人外魔境:03 天母峰 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
○「わっちア知りやせん、其の宿屋へ女を連れて逃げたんで、其の宿屋が春部とかいう奴が勤めていた屋敷に奉公していて、私通くっついて連れて逃げた女の親里とかいう事で」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私は新らしい編上靴を穿いた足首と、膝頭ひざがしらこわばらせつつ、若林博士の背後に跟随くっついて、鶏頭けいとうの咲いた廊下を引返して行った。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
死ぬが死ぬまでその犯人に跟随くっついて行って、殺す以上の復讐をしてやります
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
した事は生れて初めてだ。荷物の重いばかりでなく、箆棒べらぼう前途さきばかり急いで、途中ろくろく休む事も出来ねえ。どこまでも付従くっついて行ったら生命いのち
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
あの娘だって心配して、あゝ馬鹿/″\しい、何時いつまでも親のそばに喰附くっついてれば生涯うだつはあがらないから、何処どこへか奉公でもするか、んな亭主でも持つ方が
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ほかにまだ七八人もいるが、どれもこれも頭や耳を密著くっつけて乃公の噂をしている。乃公に見られるのを恐れている。往来の人は皆そんな風だ。
狂人日記 (新字新仮名) / 魯迅(著)
私はうちの女中が何処から聞いて来たものか、あの瞽女は目も見えないくせに男と密通くっついて子をはらんだのだと噂しているのを聞いた事がある。
伝通院 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
つまり胸の剣状突起のところで癒着くっついている、右側の一人には、心臓は右に、その他ありとあらゆる臓器が、左側のと反対の位置にあるというのだ。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
此方こちらでお目に懸るとは斯んな嬉しいことはありません、親方のためなら内股膏薬どころじゃア有りません、わたしは按摩膏に成って親方の方へピッタリ粘著くっついて離れませんので
要するにたれの恋でもこれが大切おおぎりだよ、女という動物は三月たつと十人が十人、きて了う、夫婦なら仕方がないから結合くっついている。
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
ああ、何と云うきしむ戸だい! この店にも店自身に緊着くっついてるこの蝶番いのように錆びた鉄っ片れは他にありゃしねえよ、本当にさ。それにまた俺の骨ほど古びた骨はここにもないからね。
平林は、泥まみれになっても、黙って井戸端で洗足して、そのことを口へ出さなかったが、垣根につかまったりして歩くのか、指股に泥をよく食附くっつけていた。
童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)