喰付くっつ)” の例文
敬太郎の方で須永の評判でも持ち出そうものなら、いつまででもその問題のあと喰付くっついて来て、容易に話頭を改めないのが例になっていた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「怖ろしいことでしたね。何しろ、あの時に釣瓶つるべへ肉がパックリと喰付くっついた有様は、眼の前に物のたたりを見るようで、ゾッとしてしまいました」
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「空っぽうじゃないんだもの。丁度ころ柿ののようなもので、理窟がうちから白く吹き出すだけなんだ。外部そとから喰付くっつけた砂糖とは違うさ」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
もし間違いなく彼らの影を踏んであとから喰付くっついて行こうとするなら、どうしても一足先へ出て、相手に気のつかない物陰か何かで、待ち合せるよりほかに仕方がないと考えた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そうして多能な彼の手によってきざまれた、胴から下のない蛇の首が、何物かを呑もうとして呑まず、吐こうとして吐かず、いつまでも竹の棒の先に、口をいたまま喰付くっついているとする。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)