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鰍
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かじか
ふりがな文庫
“
鰍
(
かじか
)” の例文
その娘の腕まくり、
裾
(
すそ
)
からげで、子供らしい
淡紅色
(
ときいろ
)
の腰巻まで出して、一緒に石の間に隠れている
鰍
(
かじか
)
を追い廻した細い谷川の方へ帰って行った。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
鰍
(
かじか
)
とはやも水温の高低によって味と骨の硬軟に密接な関係を持っている。殊に鰍は水温の低い川に棲むものほど脂肪が濃く、骨がやわらかである。
水と骨
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
松江
(
しょうこう
)
へ行って、道士の
太古庵
(
たいこあん
)
に
仮寓
(
かぐう
)
していた。その時に見たのは、
鰍
(
かじか
)
を切るの術である。
中国怪奇小説集:13 輟耕録(明)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その後の四段に分れた白木の棚の上には、野の
青物
(
あおもの
)
が一段に、山の果実と鳥類とが二段目に、
鮠
(
はえ
)
や
鰍
(
かじか
)
や
鯉
(
こい
)
や
鯰
(
なまず
)
の川の物が三段に、そうして、海の魚と草とは四段の段に並べられた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
みんなで酒と
肴
(
さかな
)
を
拵
(
こしら
)
えて持っていって、酒も手づくりだし、肴も
山女魚
(
やまめ
)
や
鮎
(
あゆ
)
や
鰍
(
かじか
)
なんかの煮浸しとか、茸とか
自然薯
(
じねんじょ
)
とか、野菜の煮たのぐらいで、そこらのちょっとした旦那なんかでも
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
「
銛
(
もり
)
に似て、鐵の尖きが三つか四つに別れて、魚を突く道具ですよ。川でも海でも使ひ、時には
鯰
(
なまず
)
も
鰻
(
うなぎ
)
も取るが。もとは、岩川の石を起して、底を拔いた
桶
(
をけ
)
を眼鏡にして、
鰍
(
かじか
)
や
岩魚
(
いはな
)
を突くんで」
銭形平次捕物控:318 敵の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
このほど、最上川の支流小国川の岸辺から湧く瀬見温泉へ旅したとき、宿で
鰍
(
かじか
)
の丸煮を
肴
(
さかな
)
に出してくれた。
姫柚子の讃
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
漆
(
うるし
)
の
葉
(
は
)
を
大
(
おほ
)
きくしたやうなあの
胡桃
(
くるみ
)
の
葉
(
は
)
の
茂
(
しげ
)
つたところは、
鰍
(
かじか
)
の
在所
(
ありか
)
を
知
(
し
)
らせるやうなものでした。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
気温はいつもより低いが、ずっと晴天つづきで、白石川の
鰍
(
かじか
)
も肥えた。
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
『今晩は何にいたしやせう。』と
主婦
(
かみさん
)
は炉の鍵に大鍋を懸け乍ら尋ねた。『
油汁
(
けんちん
)
なら出来やすが、其ぢやいけやせんか。河で捕れた
鰍
(
かじか
)
もごはす。鰍でも上げやせうかなあ。』
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
笛吹川は甲武信岳の方から、釜無川は甲斐駒の方から、峡中を流れて
鰍
(
かじか
)
沢で合し、俄然大河の相を具現して
湲
(
えん
)
に移り
潺
(
せん
)
に変わり、とうとうの響きを打って東海道岩淵で海へ注ぎ込む。
香魚の讃
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
白石川にのぼって来る、
鮎
(
あゆ
)
や、
山女魚
(
やまめ
)
や、
鰍
(
かじか
)
のことを話した。
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
父
(
とう
)
さんの
兄弟
(
きやうだい
)
の
中
(
なか
)
に三つ
年
(
とし
)
の
上
(
うへ
)
な
友伯父
(
ともをぢ
)
さんといふ
人
(
ひと
)
がありました。この
友伯父
(
ともをぢ
)
さんに、
隣家
(
となり
)
の
大黒屋
(
だいこくや
)
の
鐵
(
てつ
)
さん——この
人達
(
ひとたち
)
について、
父
(
とう
)
さんもよく
鰍
(
かじか
)
すくひと
出掛
(
でか
)
けました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
水を渡る
蜥蜴
(
とかげ
)
も食う。殊に、
鰍
(
かじか
)
は大好物のようである。山村の子供が、岩魚釣りの置き鈎の餌には、鰍を胴中から半分に切って、鈎先にさしている。活きている蛙にも、岩魚は飛びつく。
石を食う
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
「
鰍
(
かじか
)
やあ、鰍を買いなさらんか、鰍やあ」
日本婦道記:糸車
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
兄弟は
鰍
(
かじか
)
の居そうな石の間を見立てまして、胡桃の木のかげに腰を掛けて釣りました。
二人の兄弟
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
鱒と共に、推賞に値するものに、利根川の
鰍
(
かじか
)
がある。鰍は、親族同胞数多く、九州から中国地方へかけただけでも四十種類以上あるから、日本全国調べたなら随分数多い種類に達するであろう。
魔味洗心
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
そこへ私はお牧から借りた
笊
(
ざる
)
を持つて行つて
鰍
(
かじか
)
をすくつたことも有ります。お文さんも腕まくり、裾からげで、子供らしい
淡紅色
(
ときいろ
)
の腰卷まで出して、石の間に隱れて居る鰍を追ひました。
幼き日:(ある婦人に与ふる手紙)
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
笛吹川と釜無川は
鰍
(
かじか
)
沢で合して富士川となり、
俄然
(
がぜん
)
大河の相を備えて岩に砕け、
滔々
(
とうとう
)
の響きを天に鳴らして東海道岩淵まで奔下し太平洋へ注いでいるが、その途中の山から出てくる幾筋もの支流では
雪代山女魚
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
極く
幼少
(
おさな
)
い時の記憶が彼の胸に浮んで来た。彼は自分もまた髪を長くし、手造りにした
藁
(
わら
)
の草履を穿いていたような田舎の少年であったことを思出した。河へ
抄
(
すく
)
いに行った
鰍
(
かじか
)
を思出した。
岩石の間
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
冬の美味といわれるもののうち
鰍
(
かじか
)
の右に出るものはなかろう。
冬の鰍
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
何故
(
なぜ
)
かといひますに、
胡桃
(
くるみ
)
の
生
(
は
)
えて
居
(
ゐ
)
るところへ
行
(
い
)
つて
見
(
み
)
ますと、きまりでその
邊
(
へん
)
には
水
(
みづ
)
が
流
(
なが
)
れて
居
(
ゐ
)
ましたから。
父
(
とう
)
さん
達
(
たち
)
は
笊
(
ざる
)
を
持
(
も
)
つて
行
(
ゆ
)
きまして、
石
(
いし
)
の
間
(
あひだ
)
に
隱
(
かく
)
れて
居
(
ゐ
)
る
鰍
(
かじか
)
を
追
(
お
)
ひました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
鰍
(
かじか
)
の骨と肉も、水温と密接の関係を持つ。
香魚と水質
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
“鰍(カジカ(魚))”の解説
カジキ
カジカ(鰍、杜父魚、鮖、学名: Cottus pollux)は、スズキ目カジカ科に属する魚。日本の固有種で、北海道南部以南の日本各地に分布する。地方によっては、ハゼ科の魚とともにゴリ、ドンコと呼ばれることもある。アイヌ語ではナヌウェンと呼ばれ、「醜い顔」を意味する。体色は淡褐色から暗褐色まで、地域変異に富んでいる。
(出典:Wikipedia)
鰍
漢検準1級
部首:⿂
20画
“鰍”を含む語句
鰍澤
鰍沢
身延鰍沢
鰍瀬川