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馬鹿野郎
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ばかやらう
馬鹿野郎、
何をして
居る。まるで
文句が
分らないから、
巖谷が
俥で
駈けつけて、もう
内へ
來てゐるんだ。うつそりめ、
何をして
居る。
それが
厭だから
己の
代りに
彼の
弥吉の
馬鹿野郎を
遣つて、一
度でこり/\するやうにしてやらう。
馬鹿野郎呼はりは
太吉をかこつけに
我れへの
當こすり、
子に
向つて
父親の
讒訴をいふ
女房氣質を
誰れが
教へた、お
力が
鬼なら
手前は
魔王、
商買人のだましは
知れて
居れど
『
解つたか
馬鹿野郎!』と、イワン、デミトリチは
※んで、
拳を
固めて
戸を
敲く。『やい
開けろ!
開けろ!
開けんか! 開けんなら
戸を
打破すぞ!
人非人!
野獸!』
「はあ、
嘘は
言ふまい、
此の
馬鹿野郎。
汝の
爺と、
己は
兄弟分だぞ。これ。」
馬鹿野郎めと
罵りながら
袋をつかんで
裏の
空地へ
投出せば、
紙は
破れて
轉び
出る
菓子の、
竹のあら
垣打こえて
溝の
中に
落込むめり、
源七はむくりと
起きてお
初と一
聲大きくいふに
何か
御用かよ