頬骨ほゝぼね)” の例文
両頬は深く落ちけて、眼は窪み、頬骨ほゝぼねばかりがいやが上に高く、常には外して居る総入歯を、御飯の時などにめて、入歯をして居る者がよくする様に
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
治兵衞は五十を遙かに越した老人ですが、みにくくて精力的で、四角な顎と、細い眼と、高い頬骨ほゝぼねが目立ちます。
四十七八、五十ぐらゐにもりませうか、眉毛まゆげのない、面長おもながな、仇白あだじろかほをんなで、頬骨ほゝぼねすこます。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
運河のほとりの風車。白い雲。夏草。林。少女。犬。てふ。そして終始彼から十メートルとは離れずにせまつて来た智利チリ人のプラザ。頬骨ほゝぼねの出てゐる浮世絵の人物のやうな日本のヤマダ。
亜剌比亜人エルアフイ (新字旧仮名) / 犬養健(著)
其人そのひとだ三十さいらぬわかをとこで、頬骨ほゝぼねひろい、ちひさい、ブルネト、其祖先そのそせん外國人ぐわいこくじんつたかのやうにもえる、かれまちときは、ぜにつたら一もんもなく、ちひさいかばんたゞ一個ひとつ
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
白状に及ぶ程のことなれば總身そうしんにくおち頬骨ほゝぼね高く眼はくぼみ色蒼然あをざめ髯髭ひげ蓬々ぼう/\としたる體彼の俊寛僧都しゆんくわんそうづが鬼界ヶ島のおもかげもかくやとばかり思はれて藤八お節も目も眩み心も消え入る體なりしが漸々やう/\に涙を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
父親てゝおや医者いしやといふのは、頬骨ほゝぼねのとがつたひげへた、見得坊みえばう傲慢がうまん其癖そのくせでもぢや、勿論もちろん田舎ゐなかには苅入かりいれときよくいねはいると、それからわづらう、脂目やにめ赤目あかめ流行目はやりめおほいから
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)