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頓智
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とんち
ふりがな文庫
“
頓智
(
とんち
)” の例文
身振りや言葉や逆説的な
頓智
(
とんち
)
や
滑稽
(
こっけい
)
な気分などを振りまいて、自分を消費しなければならなかった。そして
道化歌劇
(
オペラ・ブッファ
)
を演じていた。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
どこの級にも、
頓智
(
とんち
)
があってたいへん口が軽く、気の利いたことを言っては皆を笑わせることの好きな
愚
(
おろか
)
な生徒が一人や二人はあるものです。
大きな蝙蝠傘
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
「お父さん、それ
頓智
(
とんち
)
の問題じゃないのですか。ほんとうに火がもえなくても、ただ口さきの頓智でうまく答えればいいのじゃないのですか」
智恵の一太郎
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
まるで竹童の手から
狐火
(
きつねび
)
がふりだされるようだったが、いつもの
頓智
(
とんち
)
に
似
(
に
)
ず、蛾次郎がふところにある
水性
(
すいせい
)
のふせぎ
独楽
(
ごま
)
に気がつかず、ただ
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし、ここでは、
一休
(
いっきゅう
)
さんの
頓智
(
とんち
)
を、こどもたちにもおもしろくて、ためになる、ということにおきかえて
書
(
か
)
きました。
先生と父兄の皆さまへ
(新字新仮名)
/
五十公野清一
(著)
▼ もっと見る
「いつも、馬鹿ばつか云つて、みんなを笑はしてゐさしたつけが、ほんに、あんな
頓智
(
とんち
)
のいゝ人つてあつたもんでねえ。」
野の哄笑
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
出し且又
咄
(
はな
)
しの内に立せ
間敷
(
まじく
)
其爲
(
そのため
)
に
朋輩
(
ほうばい
)
を頼み置きたりお
咄
(
はな
)
しあらば心靜かに咄し給へと
最
(
いと
)
發明
(
はつめい
)
なる働に傳吉は其
頓智
(
とんち
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
余は
今日
(
こんにち
)
の新聞紙雑誌等に見るポンチ
画
(
え
)
に比すれば、浮世絵師が滑稽
頓智
(
とんち
)
の妙と観察の機敏なるに驚かずんばあらず。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
一旦
(
いったん
)
帰京
(
かえっ
)
て二度目にまた
丁度
(
ちょうど
)
行き
着
(
つき
)
たる田原が
聞
(
きい
)
て
狼狽
(
ろうばい
)
し、
吾
(
わが
)
書捨
(
かきすて
)
て室香に
紀念
(
かたみ
)
と
遺
(
のこ
)
せし歌、多分そなたが
知
(
しっ
)
て居るならんと手紙の末に
書
(
かき
)
し
頓智
(
とんち
)
に
釣
(
つ
)
り
出
(
いだ
)
し
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
の如き巧拙は異なれどもその意匠の総て諧謔に傾き
頓智
(
とんち
)
による処
尽
(
ことごと
)
く相似たり。以て
全豹
(
ぜんぴょう
)
を
推
(
お
)
すべし。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
しかるに上述のごとき諸例あるを見れば、猴類が
頓智
(
とんち
)
に富みその境涯に迎合する力大なるを知るべし。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
何とかして二人を引離す
頓智
(
とんち
)
はないものかと考えたが、
咄嗟
(
とっさ
)
のこととて
巧
(
うま
)
い
術策
(
すべ
)
が浮かんでこない。
恐しき通夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかものべつに彼一流の奇妙な言葉を使うのだったが、それは永年の
頓智
(
とんち
)
修行によって編み出されたもので、明らかにもう久しい前から習慣になりきっているらしかった。
イオーヌィチ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
これは江戸役人の
頓智
(
とんち
)
で、死物狂いの囚人を残らず
召捕
(
めしと
)
ろうと致しますと、どんな騒動を
仕出来
(
しでか
)
すかも知れませぬ故、一時其の場を治めるために
態
(
わざ
)
と文治
一人
(
いちにん
)
を引立てたのでございます。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼女は面白いほど率直で、おかしな
頓智
(
とんち
)
に富んでいた。二人はあたりの人々にお構いなしで、笑いながら声高く感想を語り合った。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ば助け
遣
(
つかは
)
さんコリヤ十兵衞と
呼
(
よば
)
れし時十兵衞は始終の樣子を聞て大岡殿の
頓智
(
とんち
)
に
舌
(
した
)
を
卷
(
まき
)
實
(
まこと
)
に恐れ入て
冷汗
(
ひやあせ
)
を流し居たりしゆゑ急に答へも
出
(
いで
)
ず平伏するを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
だが、旅の男は、なかなか
頓智
(
とんち
)
のある人で、うまい方法を考えついた。彼は、その辺に落ちていた木の枝を拾って、それを刀になぞらえ、色々な
恰好
(
かっこう
)
をして見せた。
目羅博士の不思議な犯罪
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
唯ゴンクウルが何らの道徳的判断を下さず純然たる芸術的興味に
基
(
もとづ
)
き自由に完全にこれを観察しなほかかる場合には往々浮世絵師の喜んでなす
突飛
(
とっぴ
)
なる
滑稽
(
こっけい
)
頓智
(
とんち
)
の
妙
(
みょう
)
を能く了解したる事
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
一休
(
いっきゅう
)
さんの
頓智
(
とんち
)
というものは、まるで、とぎすました
刄
(
やいば
)
のような、
鋭
(
するど
)
さで、もし、
一休
(
いっきゅう
)
さんが、
仏門
(
ぶつもん
)
に
入
(
はい
)
って
徳
(
とく
)
をみがいたのでなければ、
大分
(
だいぶ
)
危険
(
きけん
)
なようにさえおもわれるところもあるくらいです。
先生と父兄の皆さまへ
(新字新仮名)
/
五十公野清一
(著)
早速の
頓智
(
とんち
)
で馬に群衆中より帽に十字を帯びた一人を選んで低頭
跪拝
(
きはい
)
せしめ、魔使ならこんな真似をせぬはずと説いて免れたという、その前後馬が芸をして魔物と疑われ火刑を受けた例少なからぬ。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
其方
寺
(
てら
)
へ
葬
(
はうむ
)
りし趣きなるが右は
當時
(
たうじ
)
無縁
(
むえん
)
なるか又は
印
(
しるし
)
の
石塔
(
せきたふ
)
にても
建
(
たて
)
ありやと尋けるに此祐然
素
(
もと
)
より
頓智
(
とんち
)
才辨
(
さいべん
)
の者故參候
若君
(
わかぎみ
)
澤の井の
石塔
(
せきたふ
)
は御座候も
香花
(
かうげ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
近所のおばさんなんかは、一太郎君を「
頓智
(
とんち
)
がうまい」といってほめましたが、一太郎君の智恵はただの頓智ではなくて、何でもすじみちを立てて、よく考えてみるという智恵なのです。
智恵の一太郎
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
“頓智”の意味
《名詞》
臨機応変に出る知恵。機知。
(出典:Wiktionary)
頓
常用漢字
中学
部首:⾴
13画
智
漢検準1級
部首:⽇
12画
“頓智”で始まる語句
頓智家
頓智問答