關所せきしよ)” の例文
新字:関所
やがて、合方あひかたもなしに、落人おちうどは、すぐ横町よこちやう有島家ありしまけはひつた。たゞでとほ關所せきしよではないけれど、下六同町内しもろくどうちやうないだから大目おほめく。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つとむる者の心得は萬事かくの如し此事我々のうへにある時は自然しぜん面倒めんだうなりとて他人ひとの物にても錠前ぢやうまへたゝあけよなど云事なしとも云難いひがたかりにも錠前ぢやうまへを破るは關所せきしよ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
こめつ可笑をかしく面白おもしろものがたりながらしづみがちなるしゆ心根こゝろねいぢらしくも氣遣きづかはしくはなれぬまもりにこれもひとつの關所せきしよなり如何いかにしてかえらるべき如何いかにしてかのがるべきおたかかみとりあげず化粧けしやうもせずよそほひしむかし紅白粉べにおしろい
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
出立なし夫より鰍澤かぢかさわの御關所せきしよへ掛るが路順みちじゆんなり都て甲州は二重ふたへの御關所あり土地は御代官ごだいくわんの支配ゆゑ御關所手形を願ふべきなれども日數ひかずも掛るにより御關所をば拔道ぬけみち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しての肩縫かたぬひあげ可愛かはいらしき人品ひとがらなりおたかさま御覽ごらんなされ老人としよりなきいへらちのなさあにあにとてをとここと家内うちのことはとんと棄物すてもの私一人わたしひとりつもふもほんにほこりだらけで御座ございますとわらひていざな座蒲團ざぶとんうへおかまひあそばすなとしづごゑにおたかうやむやのむね關所せきしよたれに打明うちあけん相手あひてもなし朋友ともだちむつまじきもあれどそれは
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
連て天下の御關所せきしよを廻りみちせし事不屆ふとゞきなりととがめれば文藏夫婦は是を聞て仰天ぎやうてんなし兩手を地に突何卒御見のがし下されよと詫けれ共惡漢わるもの共は勿々なか/\聞入ず大切なる御關所何と存じ拔道ぬけみち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)