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閑却
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かんきゃく
ふりがな文庫
“
閑却
(
かんきゃく
)” の例文
むしろ、主人が帰るとロオラはみんなから
閑却
(
かんきゃく
)
されるのでしょう。そうしてロオラは主人に馴れるひまもなく、また好まないのです。
オカアサン
(新字新仮名)
/
佐藤春夫
(著)
俊助は黙って
頷
(
うなず
)
いたまま、しばらく
閑却
(
かんきゃく
)
されていた
埃及煙草
(
エジプトたばこ
)
へ火をつけた。それから始めてのびのびと
椅子
(
いす
)
の背に頭を
靠
(
もた
)
せながら
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
けれども一文芸院を設けて
優
(
ゆう
)
にその目的が達せられるように思うならば、あたかも果樹の栽培者が、肝心の
土壌
(
どじょう
)
を問題外に
閑却
(
かんきゃく
)
しながら
文芸委員は何をするか
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今日における我々日本の青年の
思索
(
しさく
)
的生活の半面——
閑却
(
かんきゃく
)
されている半面を比較的
明瞭
(
めいりょう
)
に指摘した点において、注意に
値
(
あたい
)
するものであった。
時代閉塞の現状:(強権、純粋自然主義の最後および明日の考察)
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
寺田さんはそういう現象のうちにも常に
閑却
(
かんきゃく
)
された重大な問題を見出していった。が更にいっそう具体的な日常の現実は人間の現象である。
寺田寅彦
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
▼ もっと見る
閑却
(
かんきゃく
)
されていた七兵衛はここで紙包をポンと突き返して、呼びかけた声がズンと鋭かったので、切髪の女はひょいと振返って七兵衛を見ます。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その不忠節は、前代
義輝
(
よしてる
)
将軍も同様であったが、わけても当今
至尊
(
しそん
)
につかえまつる念がうすく、幕臣どもみな王事を
閑却
(
かんきゃく
)
しているふうがある。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これを実際に行わないで、文字そのものを美術的に
弄
(
もてあそ
)
んで、儒教の精神そのものは
頓
(
とん
)
と
閑却
(
かんきゃく
)
されるようになったのである。
日支親善策如何:――我輩の日支親善論
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
柳は桜と共に春来ればこきまぜて都の錦を
織成
(
おりな
)
すもの故、
市中
(
しちゅう
)
の樹木を愛するもの決してこれを
閑却
(
かんきゃく
)
する訳には
行
(
ゆ
)
くまい。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
だが、我々は河の流れというものを
閑却
(
かんきゃく
)
してはいなかったであろうか。大川はUの上部から下部に向って流れているのだ。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
われわれは少年諸君にあたえられた、この教訓を
閑却
(
かんきゃく
)
してはなりません、わたくしはいま世界平和の天使として、少年連盟を
礼賛
(
らいさん
)
したいと思います
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
仮
(
か
)
りに機械に
喩
(
たと
)
えると
此
(
こ
)
の機械は、一個所、非常に精鋭な部分があり、あとは使用を
閑却
(
かんきゃく
)
されていると言って
宜
(
よ
)
い。
かの女の朝
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
この場合において、
閑却
(
かんきゃく
)
された幼児の欲望が本能が、ひとりでにほしいままなるものになってしまうわけである。
たましいの教育
(新字新仮名)
/
羽仁もと子
(著)
何ほど便利だか知れないぜ。僕はこの事を天下の西洋料理屋へ勧告したい。西洋料理屋はともかくも
素人
(
しろうと
)
の
家
(
うち
)
で西洋料理を出す時に何を
苦
(
くるし
)
んで箸を
閑却
(
かんきゃく
)
するか。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
二人はそれぎり大井を
閑却
(
かんきゃく
)
して、
嵐山
(
あらしやま
)
の桜はまだ早かろうの、
瀬戸内
(
せとうち
)
の汽船は面白かろうのと、春めいた旅の話へ乗り換えてしまった。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
選に
洩
(
も
)
れたる他は全く一般から
閑却
(
かんきゃく
)
されるの結果として、
厭
(
いと
)
うべき弊害の続出せん事を余は切に憂うるものである。
博士問題の成行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
与八は
只管
(
ひたすら
)
に、自分のみが悪いことをしたと
恐懼
(
きょうく
)
して、行燈の下へ持って来て、ひねくってみましたが、その時まで
閑却
(
かんきゃく
)
されていたのは絵馬の
面
(
おもて
)
です。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
これを一方から云うと、誰も知っている様な極く極くあからさまな場所は、犯罪などの真剣な場合には、却って
閑却
(
かんきゃく
)
され気附かれぬものだということになります。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
もっと卒直にいえば、諸君は諸君の詩に関する知識の日に日に進むとともに、その知識の上にある偶像を
拵
(
こしら
)
え上げて、現在の日本を了解することを
閑却
(
かんきゃく
)
しつつあるようなことはないか。
弓町より
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
筑前と自身とを、対等に
視
(
み
)
られることさえ、不愉快この上もないのである。いわんやその者のたまたまあげた
一殊勲
(
いちしゅくん
)
によって、数十年来の織田家における元老的地位を
閑却
(
かんきゃく
)
されて堪るかと思う。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこで、米友をとりまいていた連中も、米友を振捨てて走り出したから、全然
閑却
(
かんきゃく
)
されてしまった米友。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
私
(
わたくし
)
を驚かせたハンケチ付きの古い
麦藁帽子
(
むぎわらぼうし
)
が自然と
閑却
(
かんきゃく
)
されるようになった。私は黒い
煤
(
すす
)
けた棚の上に
載
(
の
)
っているその帽子を
眺
(
なが
)
めるたびに、父に対して気の毒な思いをした。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
目的物を発見した嬉しまぎれに、或は
閑却
(
かんきゃく
)
されたのではなかろうか。
一枚の切符
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
全く史家にも
閑却
(
かんきゃく
)
されているからである。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
軒先を通る人は、帽も
衣装
(
いしょう
)
もはっきり物色する事ができた。けれども広い寒さを照らすには余りに弱過ぎた。夜は
戸
(
と
)
ごとの
瓦斯
(
ガス
)
と電灯を
閑却
(
かんきゃく
)
して、依然として暗く大きく見えた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
火鉢の灰なんてことは、誰しも
閑却
(
かんきゃく
)
し易いものだ。
灰神楽
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
閑
常用漢字
中学
部首:⾨
12画
却
常用漢字
中学
部首:⼙
7画
“閑”で始まる語句
閑
閑人
閑暇
閑寂
閑静
閑雅
閑話休題
閑古鳥
閑散
閑居