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酒盃
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さかずき
ふりがな文庫
“
酒盃
(
さかずき
)” の例文
尤
(
もっと
)
もそれは柳橋にすむようになって、昼も
酒盃
(
さかずき
)
をもっていられるようになった、ずっと晩年のことではあるが——
旧聞日本橋:13 お墓のすげかえ
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
見れば、細工場の片隅には、戸板をおいてそれへ皿、
瓶
(
かめ
)
、
酒盃
(
さかずき
)
、水入れのような雑器に、安い値をつけて、
清水詣
(
きよみずもう
)
での往来の者に傍ら売っているのである。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こういう時には酒がなくてはならぬと思って、台所を探し廻ったが、
女世帯
(
おんなじょたい
)
の事とて
酒盃
(
さかずき
)
一
(
ひと
)
ツ見当らない。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
酒盃
(
さかずき
)
の用意は、整った。勝平は吹き
荒
(
すさ
)
ぶ暴風雨の音に、耳を傾けながら、チビリ/\と
盃
(
さかずき
)
を重ねていた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
一夜淀文に強て
酒盃
(
さかずき
)
を受けたぐらいでは、遊びはまだ嘗めるほどにも到らないが、それでも自分にはどこか面白い所が有たかして、貞之進はその翌日も出懸けたくなったが
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
▼ もっと見る
長羅の細まった憂鬱な眼は、踊りを
外
(
はず
)
れて森の方を眺めていた。君長は
空虚
(
から
)
の
酒盃
(
さかずき
)
を持ったまま、忙しそうに踊りの中へ眼を走らせながら、再び一人の婦人を指差していった。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
一松斎も雪之丞も
酒盃
(
さかずき
)
を傾け始めると、もう今までの道場での事件などには、何も触れなかった。言わば、
浮世話
(
うきよばなし
)
と言ったような、極めて
暢
(
の
)
びやかな会話が、続くだけだった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
おこうが、あり合わせの物に、燗をつけて出すと、久住は、惣平次と
酒盃
(
さかずき
)
をかわしながら、その、風のうなりに耳を傾けて、暗夜の海上——帆音を思い出すような眼つきをした。
釘抜藤吉捕物覚書:12 悲願百両
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そこで、そのお
妃
(
きさき
)
が、
酒盃
(
さかずき
)
をお取りになり、立ち寄り捧げて、お歌いになつた歌
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
関
(
かま
)
うことはない
大胡坐
(
おおあぐら
)
で楽にいてくれ、とおずおずし居るを無理に坐に
居
(
す
)
え、やがて膳部も
具備
(
そなわ
)
りし後、さてあらためて飲み干したる
酒盃
(
さかずき
)
とって源太は
擬
(
さ
)
し、
沈黙
(
だんまり
)
で居る十兵衛に
対
(
むか
)
い、十兵衛
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
東京にいても居酒屋や
屋台店
(
やたいみせ
)
へ飛込んで
八
(
はっ
)
さん
熊
(
くま
)
さんと
列
(
なら
)
んで
醤油樽
(
しょうゆだる
)
に腰を掛けて
酒盃
(
さかずき
)
の
献酬
(
とりやり
)
をしたりして、人間の美くしい天真はお化粧をして
綾羅
(
りょうら
)
に包まれてる高等社会には決して現われないで
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
明
(
みょう
)
夕景に
何卒
(
なにとぞ
)
吾が隠れ家へ御出で下さればお別れの
酒盃
(
さかずき
)
を頂いて、臓腑を洗い清めて山を
下
(
くだ
)
りたい、坊主になった姿を見て貴方喜んで下さい、我等もお顔を見て
発
(
た
)
ちたいと云ったら、
侠客
(
おとこ
)
じゃなア
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
酔ってはいたが、その顔には、一本気な
真面目
(
まじめ
)
さが、アリ/\と動いていた。こうした心の告白をするために、
故意
(
わざ
)
と
酒盃
(
さかずき
)
を重ねているようにさえ、瑠璃子に思われた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「さあ、
会得
(
えとく
)
したら、
彼方
(
あちら
)
の
室
(
へや
)
にて、そなた持参の銘酒の
酒盃
(
さかずき
)
を上げよう。まいれ」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
戻
(
もど
)
り
路
(
じ
)
は
角
(
かど
)
の
歌川
(
うたがわ
)
へ
軾
(
かじ
)
を着けさせ俊雄が受けたる
酒盃
(
さかずき
)
を小春に
注
(
つ
)
がせてお
睦
(
むつ
)
まじいと
噯
(
おくび
)
より
易
(
やす
)
い世辞この手とこの手とこう合わせて
相生
(
あいおい
)
の松ソレと突きやったる
出雲殿
(
いずもどの
)
の代理心得、間
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
また天皇が長谷の槻の大樹の下においでになつて御酒宴を遊ばされました時に、伊勢の國の三重から出た
采女
(
うねめ
)
が
酒盃
(
さかずき
)
を捧げて獻りました。然るにその槻の大樹の葉が落ちて酒盃に浮びました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
彼は、先刻から酒席の間を、
彼方此方
(
あっちこっち
)
と廻って、酒宴の興を取持っていたが、
漸
(
ようや
)
く
酩酊
(
めいてい
)
したらしい顔に満面の微笑を
湛
(
たた
)
えながら、藤十郎の前に改めて
畏
(
かしこ
)
まると、恐る恐る
酒盃
(
さかずき
)
を前に出した。
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「わしは何分、年を取って、寝つきが悪い身体だ。貴様のような、珍しい身の上の人間から、いろいろ話も聴きたい故、もう少し
喋舌
(
しゃべ
)
って行け。これ、紅丸、その者の
酒盃
(
さかずき
)
を満たしてやれ」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
捧げているりつぱな
酒盃
(
さかずき
)
に
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
酒
常用漢字
小3
部首:⾣
10画
盃
漢検準1級
部首:⽫
9画
“酒”で始まる語句
酒
酒肴
酒場
酒宴
酒代
酒瓶
酒杯
酒精
酒屋
酒樽