ぺん)” の例文
もう一ぺん、町の名を勘定するさ。それで足りなければまた秋の日をかんかんさせるさ。それでもおっつかなければまた甘干しの渋柿を
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「下宿屋のまづいめしを一日に十ぺん食つたら物足りる様になるか考へて見ろ」といきなり警句でもつて三四郎をどやしつけた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「なあに、馴れていますから——それに毎日は越しません。三日みっかに一ぺん、ことによると四日目よっかめくらいになります」
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
つぎ日曜にちえうになると、宗助そうすけれいとほり一しうに一ぺん樂寐らくねむさぼつたため、午前ひるまへ半日はんにちをとう/\くうつぶして仕舞しまつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
正直な者が生涯しょうがいに一ぺん万引を働いてもうたがいを掛ける知人もないし、冗談じょうだんを商売にする男が十年に半日真面目まじめな事件をかつぎ込んでも誰も相手にするものはない。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
こんな問答もんだふ最初さいしよつきに一二へんぐらゐかへしてゐたが、のちには二月ふたつきに一ぺんになり、三月みつきに一ぺんになり、とう/\
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
其所そこはつい聴いて来るのを忘れたよ。もっともあのぺん姉さんの見舞かたがた行った時にゃ、比田が相変らず留守だったので、つい会う事が出来なかったのさ。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
せつが一ぺん古榎ふるえのきになった事がありやす、ところへ源兵衛村の作蔵さくぞうと云う若いしゅが首をくくりに来やした……」
琴のそら音 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
向後こうごもし主人が気狂きちがいについて考える事があるとすれば、もう一ぺん出直して頭から考え始めなければならぬ。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
けれども宗助そうすけくたびに、御米およねかなら挨拶あいさつるとはかぎらなかつた。三べんに一ぺんぐらゐかほせないで、はじめてのときやうに、ひつそりとなりのへやしのんでゐることもあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「電車に乗つて、東京を十五六ぺん乗りまはしてゐるうちにはおのづから物足りる様になるさ」と云ふ。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
だから私も突っねたのさ。今時分そんな事を持ち出すのは、まるで自分の殺した子供を、もう一ぺん生かしてくれって、御寺様へ頼みに行くようなものだから御止およしなさいって。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
柔術の怪しいものは、どうか自分より弱い奴に、ただの一ぺんでいいから出逢って見たい、素人しろうとでも構わないからげて見たいと至極危険な了見をいだいて町内をあるくのもこれがためである。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「四日に一ぺんでも御免だ」
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)