近来きんらい)” の例文
旧字:近來
要するに東京が日々攻め寄せる。以前聞かなかった工場こうばの汽笛なぞが、近来きんらい明け方の夢を驚かす様になった。村人もては居られぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
御米およね近来きんらいきんの字はどう書いたっけね」と尋ねた。細君は別にあきれた様子もなく、若い女に特有なけたたましい笑声も立てず
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
近来きんらい澱粉でんぷん製造の会社が設立せられ、この球根を集めくだきそれを製しているが、白色無毒な良好澱粉が製出せられ、食用にきょうせられる。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
近来きんらい日本という国を、わが国ユー・エス・エーにとってすこぶる強大なる敵なりという宣伝を始めたが、国民大衆にはあまり消化されていない。
諜報中継局 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そも/\ちゞみとなふるは近来きんらいの事にて、むかしは此国にてもぬのとのみいへり。布はにてる物の総名そうみやうなればなるべし。
主人は花前が近来きんらい変化へんかのありのままをかたったのち、今後こんごあるいは意外いがい回復かいふくをみるかもしれぬと注意した。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
かえるを食べ始めたのもフランス人だと聞いた。食用蛙は近来きんらい日本でも養殖されるが、本場のフランスにおいてさえまだなかなか普遍ふへん的な食物とはなっていないようだ。
異国食餌抄 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
そののことです。このあたりには近来きんらいなかったような暴風あらしき、なみくるったのであります。
黒い旗物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
奥州筋おうしうすぢ近来きんらい凶作きようさく此寺このてら大破たいはおよび、住持ぢうじとなりても食物しよくもつとぼしければそう不住すまず明寺あきでらとなり、本尊ほんぞんだに何方いづかた取納とりおさめしにやてらにはえず、には草深くさふかく、まこと狐梟こけうのすみかといふもあまりあり。
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
近来きんらい汎米人以外のいかなる外国人も、入国を許可しませんから従って、どんなに大仕掛けの戦備ができているか、あまり外へは、れないのです。
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それで近来きんらい主人は、ある場合ばあいにどなることはどなっても、きょうのようにしりをむすばぬことがおおいのだ。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
唐土もろこしこれ火井くわせいといふ。近来きんらい此地獄谷に家を作り、地火ちくわを以てわかし、きやくまちよくさしむ、夏秋のはじめまでは遊客いうかく多し。此火井他国にはきかず、たゞ越後に多し。
氏は近来きんらい女の中でもことに日本の芸者およびそうした趣味の女を嫌うようです。
唯将軍と余の間に一のえんを作ったに過ぎぬ。乃木将軍夫妻程死花しにばないた人々は近来きんらい絶無ぜつむと云ってよい。大将夫妻は実に日本全国民の崇拝すうはい愛慕あいぼまととなった。乃木文学は一時に山をなして出た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
唐土もろこしこれ火井くわせいといふ。近来きんらい此地獄谷に家を作り、地火ちくわを以てわかし、きやくまちよくさしむ、夏秋のはじめまでは遊客いうかく多し。此火井他国にはきかず、たゞ越後に多し。
おわりに氏の近来きんらい逸話いつわを伝えます。