あし)” の例文
うたってしまうと、とりはまたんできました。みぎあしにはくさりち、ひだりつめくつって、水車小舎すいしゃごやほうんできました。
と、あしげて、十九日、いよいよ大坂を出発せんと、意を決した前夜、またも火のつくような凶報きょうほうが、紀州方面から入った。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふくろ(がく)はからだ一尺いつしやくもあり、暗褐色あんかつしよく羽毛うもうあしまでかぶつてゐます。はね非常ひじようやはらかですからぶときにおとがしません。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
それに、いま始めて判りましたが、どう考えたって、この図紋の形は、六本あしを二つ合わせたようで、夷岐戸島にいた、人魚の尾鰭のようじゃありませんか。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
彼はあしの先に力を入れて畳を踏みつけた。そうして阿賀妻の前まで歩いて来た。彼はぴたりと坐った。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
あるいは、珊瑚さんごひょうあしか鳥の足、脳や肺臓や腸、それからあらゆる種類の排泄物を思わされる。
あしの先が痛くなったのを我慢して、漸く向う側に着くと急いで跡を追駆ける。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
「朝廷之滅亡、挙趾可待」[朝廷の滅亡、あしを挙げて待つべし]である。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
焼けた砂の上で息も絶え絶えに跳ねまわっているその息苦しさ。セツナサ……その苦しみをヤッと通り越したと思うと今度は、山のような歩竜イグアノドンあしの下になる。飛竜プラテノドンの翼に跳ね飛ばされる。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その音がし始めると、信子は仕事の手を止めて二階へ上り、抜き足差し足で明り障子へめた硝子ガラスに近づいて行った。歩くのじゃなしに、そろえたあしで跳ねながら、四五匹の雀が餌をつついていた。
雪後 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
砂に小さなあしあとをつけて
智恵子抄 (新字旧仮名) / 高村光太郎(著)
わが 小児のあし
わがひとに与ふる哀歌 (新字旧仮名) / 伊東静雄(著)
うたってしまうと、とりはねひろげて、みぎあしには、くさりち、ひだりつめには、くつち、くびのまわりには、石臼いしうすをはめて、おとうさんのうちほうんできました。
側面はとれてしまい、藺草いぐさのあいだに平べったい底が形ばかり残っていた。しかしその原型は、血管まで見える、何かのけだものの朽ちた大きなあしうらのように、輪郭がはっきりしていた。
あしの先で土を
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
それをくと、とりりてて、みぎあし黄金きんくさり受取うけとり、金工かざりやのすぐまえとまって、うたいました。