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ひいきめ
ふりがな文庫
“
贔屓目
(
ひいきめ
)” の例文
純一は日本での
en
(
アン
)
miniature
(
ミニアチュウル
)
自然主義運動を回顧して、どんなに
贔屓目
(
ひいきめ
)
に見ても、さ程
難有
(
ありがた
)
くもないように思った。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
これも翻訳不可能論に関係があるが、
贔屓目
(
ひいきめ
)
に見ても翻訳は版画である。原作の細い筆づかひ、色彩、気分などは紹介しがたい。
翻訳製造株式会社
(新字旧仮名)
/
戸川秋骨
(著)
日本左衛門が
揶揄
(
やゆ
)
するとおり、かれが戸田流の必死な防ぎも無益か、どう
贔屓目
(
ひいきめ
)
に見ましても金吾の一命、ここにあやうしと見えました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これに
懲
(
こ
)
りてその後は鏡に照したる事もなけれど、三年の間には幾多の変遷を経たれば定めて荒れまさりたらんを、
贔屓目
(
ひいきめ
)
は妙なものにて
明治卅三年十月十五日記事
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
どう
贔屓目
(
ひいきめ
)
に見ても人の注意を惹かずに済むとは考えられないのであったが、幸子も口には出さないで、夫が何を考えているのか
大凡
(
おおよ
)
そ察していた。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
斯く
豪宕
(
ごうとう
)
なる景観は、金峰山にも見られぬ程である、或は霧の間からのみ眺めた私の
贔屓目
(
ひいきめ
)
かも知れぬとは思うが。
思い出す儘に
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
どう
贔屓目
(
ひいきめ
)
に見ようとしても、黒船の雄姿に比ぶる和船は、巨人と
侏儒
(
こびと
)
との相違である。いかに軽蔑しようとしても、眼前を圧する輪郭は争われない。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
秋が深いにしても、朝の光の中に
鬱陶
(
うっとう
)
しく
頬冠
(
ほおかむ
)
り、
唐桟
(
とうざん
)
を
端折
(
はしょ
)
って、右の拳で弥蔵をきめた恰好は、どう
贔屓目
(
ひいきめ
)
に見ても、あまり結構な風俗ではありません。
銭形平次捕物控:008 鈴を慕う女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
一日一日と立つに連れて
贔屓目
(
ひいきめ
)
で見て居るお関にも重三の足りないのが目に余って来るので、自分の夫
お久美さんと其の周囲
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
どう
贔屓目
(
ひいきめ
)
に見ても彼を美男とは云えない。非常な
醜男
(
ぶおとこ
)
ではなかったけれど決して美しくはなかった。
夢の殺人
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
我々のとはまるで違う楽器と音楽とを持つ日本人が、これ程のことをなし得るという驚く可き事実が、我々をして彼等の演奏を、どうしても
贔屓目
(
ひいきめ
)
で見るようにして了う。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
凡
(
すべ
)
て女の声帯は細いのに呂昇のは男と同じ程度に大きく、咽喉もよく発達してゐるが、
扁桃腺
(
へんたうせん
)
が非常に
肥
(
ふと
)
つて、どんなに
贔屓目
(
ひいきめ
)
に見ても
健全
(
ぢやうぶ
)
な咽喉とは言ひ兼ねたさうだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
極く
贔屓目
(
ひいきめ
)
に見ても、三代相恩の旗本八万騎のだらしのないのに反して、三多摩の土豪出身でありながら、幕府の為に死力を
竭
(
つく
)
したのは偉い、と云ふ評がせい/″\である。
大衆維新史読本:07 池田屋襲撃
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
眼尻が少し
下
(
さが
)
って、口をあんとあいたところは、
贔屓目
(
ひいきめ
)
にも怜悧な犬ではなかった。然し赤沢君の村は、
他
(
ほか
)
に犬も居なかったので、皆に可愛がられて居ると云うことであった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
同時に自分のばらばらな魂がふらふら不規則に活動する現状を目撃して、自分を他人扱いに観察した
贔屓目
(
ひいきめ
)
なしの真相から割り出して考えると、人間ほど
的
(
あて
)
にならないものはない。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と言って
扇子
(
せんす
)
をパチ/\させているところは、新太郎君の
贔屓目
(
ひいきめ
)
かも知れないが、
然
(
そ
)
う
怖
(
こわ
)
いガヷナーさんとも見えなかった。母親が気を利かしたのか、手土産はチョコレートだった。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
(所謂ネオ・ロマン主義は日本にも幾多の作品を生んだ。が、先生の戯曲「
生田川
(
いくたがは
)
」ほど完成したものは少かつたであらう。)しかし先生の短歌や俳句は如何に
贔屓目
(
ひいきめ
)
に見るとしても
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
あの強い意志の人の舞台が、こうまで可憐であろうとは、ほんとに見ぬ人には信じられないほどである。それはわたしの
贔屓目
(
ひいきめ
)
がそう言わせるのではない。彼地の最高の劇評家にも認められた。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
真剣な態度でいろいろと骨格
態姿
(
たいし
)
を一々仔細に観察するのでありますから、物を公平に観ることが出来るのですが、少しも
贔屓目
(
ひいきめ
)
を附けず、「種」の方が全く良種であることに
得心
(
とくしん
)
が行きました。
幕末維新懐古談:54 好き狆のモデルを得たはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
薄くて細くて短い眉毛、それと比較して調和のとれた、細くて小さくてショボショボした眼つき、
獅子鼻
(
ししばな
)
ではないが似たような鼻、もうこれだけでも
贔屓目
(
ひいきめ
)
に見ても、美男であるとはいわれない。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それも
贔屓目
(
ひいきめ
)
に見れば愛嬌だった。
浮動する地価
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
河北の袁紹からきた特使とあっては、いかに自国を
贔屓目
(
ひいきめ
)
に見ても、ひけめを抱かずにはいられなかったからである。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
或は時平にも多少その方面の天分があったかも知れず、
満更
(
まんざら
)
これらの婦人たちの
贔屓目
(
ひいきめ
)
ではなかったでもあろうか。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
秋が深いにしても、朝の光の中に
鬱陶
(
うつたう
)
しく頬冠り、
唐棧
(
たうざん
)
を端折つて、左の
拳
(
こぶし
)
で
彌造
(
やざう
)
をきめた恰好は、どう
贔屓目
(
ひいきめ
)
に見ても、あまり結構な風俗ではありません。
銭形平次捕物控:008 鈴を慕う女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
仏様のお引立で極楽に往つたところで、そこで好きな書が書けるか
何
(
ど
)
うか疑はしいし、それに仏様が書を奉納したからといつて、
贔屓目
(
ひいきめ
)
に見てくれるか
何
(
ど
)
うかも判らなかつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
仲平なぞもただ一つの黒い瞳をきらつかせて物を言う顔を見れば、立派な男に見える。これは親の
贔屓目
(
ひいきめ
)
ばかりではあるまい。どうぞあれが人物を識った女をよめにもらってやりたい。
安井夫人
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「
贔屓目
(
ひいきめ
)
もありましょうけれど、あなたが一番有望よ。風采といい態度といい」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
高度表は以上の諸山の中から五十座を選んだものであるが、
能
(
よ
)
く見える山で掲げてないものもあり、絶頂若しくは其一部しか見えぬ者でも、全体を望み得るが如くに
贔屓目
(
ひいきめ
)
に画いたものもある。
望岳都東京
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
ヨセフはどう
贔屓目
(
ひいきめ
)
に見ても、
畢竟
(
ひつきやう
)
余計ものの第一人だつた。
西方の人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
残るはこんがら一人と三人、どう
贔屓目
(
ひいきめ
)
に見ても、早く、新九郎が玄蕃を片づけて、助勢に加わらぬ限りはこの勝負、到底こんがらに勝ち目はない。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
甲
(
よろい
)
を投げ
矛
(
ほこ
)
をすてて、僻地へ敗走してしまうなど、どう
贔屓目
(
ひいきめ
)
に見てもあまり立派な図とは思われぬが
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
家中の者の筆記なので、幾ぶん
贔屓目
(
ひいきめ
)
があるとしても、その
片鱗
(
へんりん
)
は
窺
(
うかが
)
うことができよう。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それに年は若いし、世の儒生と同じように柔弱で、どう
贔屓目
(
ひいきめ
)
に見ても、取り立ててこれという程な秀才とも思われぬから、おそらくは
用
(
もち
)
いてみても、部下の諸将が彼に服すまい。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
贔
漢検1級
部首:⾙
21画
屓
漢検1級
部首:⼫
10画
目
常用漢字
小1
部首:⽬
5画
“贔屓”で始まる語句
贔屓
贔屓眼
贔屓分
贔屓筋
贔屓強
贔屓客
贔屓心
贔屓俳優