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蒲団
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ぶとん
ふりがな文庫
“
蒲団
(
ぶとん
)” の例文
旧字:
蒲團
また或る人たちが下司な
河岸
(
かし
)
遊びをしたり、或る人が
三
(
み
)
ツ
蒲団
(
ぶとん
)
の上で新聞小説を書いて得意になって
相方
(
あいかた
)
の女に読んで聞かせたり
斎藤緑雨
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
日蔭の冷い
細流
(
せせらぎ
)
を、軒に流して、ちょうどこの辻の
向角
(
むこうかど
)
に、二軒並んで、
赤毛氈
(
あかもうせん
)
に、よごれ
蒲団
(
ぶとん
)
を
継
(
つぎ
)
はぎしたような
射的店
(
しゃてきみせ
)
がある。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
善太郎氏はホッと安心して、寝返りをしようとしたが、オヤッ、何だか掛け
蒲団
(
ぶとん
)
の上に乗っているものがある。ズッシリと重い一物だ。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
尚
(
なお
)
も並木で五割
酒銭
(
さかて
)
は天下の法だとゆする、
仇
(
あだ
)
もなさけも一日限りの、人情は薄き掛け
蒲団
(
ぶとん
)
に
襟首
(
えりくび
)
さむく、
待遇
(
もてなし
)
は
冷
(
ひややか
)
な
平
(
ひら
)
の
内
(
うち
)
に
蒟蒻
(
こんにゃく
)
黒し。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
赤錆
(
あかさ
)
びたトタン張りの
小舎
(
こや
)
が点在して色のさめた洗濯物やボロ
蒲団
(
ぶとん
)
など乾してあるのが哀れに目立つ戦災風景だつた。
老残
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
▼ もっと見る
すぐ土手の煮売屋まで飛んで行って、投げ出した小判で三百両、綱七の棺へは石っころと古
蒲団
(
ぶとん
)
を詰めさせ、死骸を貰って、夜中に松永町まで運んで来た。
銭形平次捕物控:074 二度死んだ男
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
あの
宿駕籠
(
しゅくかご
)
二十五
挺
(
ちょう
)
、山駕籠五挺、駕籠
桐油
(
とうゆ
)
二十五枚、馬桐油二十五枚、駕籠
蒲団
(
ぶとん
)
小五十枚、中二十枚、
提灯
(
ちょうちん
)
十
張
(
はり
)
と言ったはもはや宿場全盛の昔のことで
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
肉
蒲団
(
ぶとん
)
という、支那人の書いた、けしからん
猥褻
(
わいせつ
)
な本がある。お負に支那人の癖で、その物語の組立に善悪の応報をこじつけている。実に馬鹿げた本である。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
彼は薄い夏
蒲団
(
ぶとん
)
を家から運んだ。そして涼しい庫裡裏で半日を午睡に過し、夕方すご/\家へ帰つて行く。
老主の一時期
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
我我は文明を失ったが最後、それこそ風前の灯火のように
覚束
(
おぼつか
)
ない命を守らなければならぬ。見給え。鳥はもう静かに
寐入
(
ねい
)
っている。羽根
蒲団
(
ぶとん
)
や
枕
(
まくら
)
を知らぬ鳥は!
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
高品さん夫妻にさえ話さず、売り残って半ば不用の本の詰った四つの本箱や、机や、やぶれ
蒲団
(
ぶとん
)
や穴だらけの
蚊屋
(
かや
)
。よごれたまま押入へ突込んである
下衣
(
したぎ
)
や足袋類。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
御米が呼びに立とうとするのを、用はないからいいと留めたまま、宗助は炬燵
蒲団
(
ぶとん
)
の中へ
潜
(
もぐ
)
り込んで、すぐ横になった。
一方口
(
いっぽうぐち
)
に崖を控えている座敷には、もう暮方の色が
萌
(
きざ
)
していた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
炬燵
蒲団
(
ぶとん
)
へ横顔を当てながら何気なく、上の一冊をめくってみると、城外の
濠端
(
ほりばた
)
で
覆面
(
ふくめん
)
の男が老武士を暗殺している絵があって、次の絵には、人品のいい乞食が
躄車
(
いざりぐるま
)
に曳かれている、そして
八寒道中
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すなわち、敷き
蒲団
(
ぶとん
)
と掛け蒲団とまた
帷
(
とばり
)
のついた寝所とをそなえていた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
なぜなら彼らは、老後において妻子
眷族
(
けんぞく
)
にかしずかれ、五枚
蒲団
(
ぶとん
)
の上に坐って何の心身の苦労もなく、
悠々
(
ゆうゆう
)
自適の
楽隠居
(
らくいんきょ
)
をすることができるからだ。反対に西洋人は、老年になってからみじめである。
老年と人生
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
手先や身体がほてっていて、重い羽根
蒲団
(
ぶとん
)
に押し
潰
(
つぶ
)
される思いをし、暗闇のために悩まされ圧迫されるような気がしていた。しかし
強
(
し
)
いて身を動かそうともしなかった。彼女は子供の顔を眺めていた。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
山寺や少々重き夏
蒲団
(
ぶとん
)
七百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
二階の六畳の書斎へ入ると、机の向うへ引附けるは失礼らしいと思ったそうで、火鉢を座中へ持って出て、床の間の前に坐り
蒲団
(
ぶとん
)
。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼は遊びに行っても外泊は一度もしなかった。彼は寝具だけは身分不相応のものを作っていて、羽根
蒲団
(
ぶとん
)
など、自分で鳥屋から羽根を買って来て器用に
拵
(
こしら
)
えていた。
老妓抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
次の
室
(
ま
)
つき井菊屋の奥、
香都良川添
(
かつらがわぞい
)
の十畳に、もう床は並べて、膝まで沈むばかりの
羽根毛
(
はね
)
蒲団
(
ぶとん
)
に、ふっくりと、たんぜんで
寛
(
くつろ
)
いだ。……
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
というと
研屋
(
とぎや
)
の五助、
喚
(
わめ
)
いて、むッくと
弾
(
は
)
ね起きる。炬燵の向うにころりとせ、貧乏徳利を枕にして寝そべっていた
鏡研
(
かがみとぎ
)
の作平、もやい
蒲団
(
ぶとん
)
を
弾反
(
はねかえ
)
されて
寝惚声
(
ねぼげごえ
)
で
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“蒲団”の意味
《名詞》
蒲団(ふとん)
座禅で用いる蒲の葉を編んだ丸い座蒲団。
袋状の布地に綿や羽毛、パンヤなどを入れ、座るときに敷いたり、寝るときに敷いたり掛けたりするもの。布団(当て字)。
(出典:Wiktionary)
蒲
漢検準1級
部首:⾋
13画
団
常用漢字
小5
部首:⼞
6画
“蒲団”で始まる語句
蒲団地
蒲団扇
蒲団綿
蒲団縛
蒲団蒸
蒲団部屋