若干じやくかん)” の例文
彼等かれらのやうなひく階級かいきふあひだでも相互さうご交誼かうぎすこしでもやぶらないやうにするのには、其處そこにはかならそれたいして金錢きんせん若干じやくかん犧牲ぎせいきようされねばならぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
その伊賀いがのアベ(阿拜あはい)は「アハイ」となり信濃しなののツカマ(筑摩)は「チクマ」となつたやうなれいはなほ若干じやくかんある。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
香港ホンコン上海シヤンハイの支那人の中には、偶然この本を読んだ為めに、生涯托氏としを師と仰いだ、若干じやくかんの青年があつたかも知れぬ。
点心 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
渠等かれら無頼ぶらいなる幾度いくたびこの擧動きよどう繰返くりかへすにはゞかものならねど、ひとそのふが隨意まゝ若干じやくかん物品ものとうじて、その惡戲あくぎえんぜざらむことをしやするをて、蛇食へびくひげい暫時ざんじ休憩きうけいつぶやきぬ。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
彼れは透谷の坐りたるかたはらに若干じやくかんの紙幣が紙に包まれて在りしことを発見せり。而して其紙片には失敬ながらいささか友人の窮を救はんとすと云ふ趣意を書きありき。彼れは之を見て感泣したりと云ふ。
透谷全集を読む (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
傳吉は聞及び幸ひ上臺のいへ斷絶だんぜつなげく折柄故其男子に傳吉より憑司ひようじが田地の外に若干じやくかんの地をつかはし上臺の家を相續さうぞくなさしめける眞に傳吉が行ひは孝道かうだうと信義との徳にて無實の罪に落入おちいりたるも死をのがれ一生を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
假令たとひ他人たにんためにはかなしいでもの一じつだけは自己じこ生活せいくわつからはなれて若干じやくかん人々ひとびとと一しよ集合しふがふすることが彼等かれらにはむし愉快ゆくわいな一にちでなければならぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
若し今日こんにちの社会制度に若干じやくかんの変化を生じたるのち、あらゆる童子の養育は社会の責任になりをはらん、この傾向の今日こんにちよりも一層増加するは言ふを待たず。
娼婦美と冒険 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)