腕車わんしや)” の例文
だい腕車わんしやにん車夫しやふは、茶店ちやみせとゞまつて、人々ひと/″\とともに手當てあてをし、ちつとでもあがきがいたら、早速さつそく武生たけふまでも其日そのひうち引返ひつかへすことにしたのである。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
旅人の行きなやむてふ小仏の峰に近きところより右に折れて、数里の山径やまみちもむかしにあらで腕車わんしやのかけ声すさまじく、月のなき桑野原、七年の夢をうつゝにくりかへして
三日幻境 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
山木剛造の玄関には二輌の腕車わんしや、其のながえそろへて、主人あるじを待ちつゝあり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
十時じふじ出發しゆつぱつどう五十五分ごじふごふん電鐵でんてつにて小田原をだはらかへり、腕車わんしややとうて熱海あたみむかふ、みち山越やまご七里しちりなり。
熱海の春 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
二輌の腕車わんしやは勇ましくせ去れり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
ますよ、さあはやく/\。彌次やじ舷端ふなばたにしがみついてしやがむ。北八きたはち悠然いうぜんとパイレートをくゆらす。乘合のりあひ十四五人じふしごにん最後さいご腕車わんしやせる。ふねすこみぎかたむく、はツとおもふとすこあをくなる。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
上野うへの汽車きしや最後さいご停車場ステエシヨンたつすれば、碓氷峠うすひたうげ馬車ばしやられ、ふたゝ汽車きしやにて直江津なほえつたつし、海路かいろ一文字いちもんじ伏木ふしきいたれば、腕車わんしやせん富山とやまおもむき、四十物町あへものちやうとほけて、町盡まちはづれもりくゞらば
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
人力車じんりきしや——腕車わんしやが、にんべんくるまつた、紅葉先生こうえふせんせい創意さういであるとおもふ。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)