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粧
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よそおい
ふりがな文庫
“
粧
(
よそおい
)” の例文
庭は広くないが百坪程の前庭と裏庭がある。それが又老母の心遣いから、帰る度に新しい
粧
(
よそおい
)
をして私を驚きの中に迎えるのだ。
故郷を想う
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
日本一
(
にっぽんいち
)
の無法な
奴等
(
やつら
)
、かた/″\殿様のお
伽
(
とぎ
)
なればと言つて、
綾錦
(
あやにしき
)
の
粧
(
よそおい
)
をさせ、
白足袋
(
しろたび
)
まで
穿
(
は
)
かせた上、
犠牲
(
いけにえ
)
に上げたとやら。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
これからよそへ行くか、または今外から帰って来たと云う風な
粧
(
よそおい
)
をして、次の間から出て来た。宗助にはそれが意外であった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
神橋
(
しんきょう
)
のあたりでは
僅
(
わずか
)
に紅を催すという程度である。剣ヶ峰ではそれは
可
(
か
)
なり色づいてはいたが、中禅寺に来てはじめて秋の日光らしい
粧
(
よそおい
)
が見られた。
秋の鬼怒沼
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
死の天使を
閾
(
しきい
)
の外に待たせて置いて、
徐
(
しず
)
かに脂粉の
粧
(
よそおい
)
を
擬
(
こら
)
すとでも云うような、美しさを性命にしているあの女が、どんなにか岡田の同情を動かしたであろう。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
唯々
(
いい
)
として
来
(
く
)
るべきはずの小野さんが四五日見えぬ。藤尾は薄き
粧
(
よそおい
)
を日ごとにして
我
(
が
)
の
角
(
かど
)
を鏡の
裡
(
うち
)
に隠していた。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
平地から
此
(
この
)
山脈を仰望するに最も適した街道であって、五月下旬、麓の新緑が漸く濃やかならんとする頃、其上に未だ冬の
粧
(
よそおい
)
を脱しない雪山の姿を望むことは
白馬岳
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
迎うるごとく、送るがごとく、窓に
燃
(
もゆ
)
るがごとく見え
初
(
そ
)
めた妙義の
錦葉
(
もみじ
)
と、
蒼空
(
あおぞら
)
の雲のちらちらと白いのも、ために、
紅
(
べに
)
、
白粉
(
おしろい
)
の
粧
(
よそおい
)
を助けるがごとくであった。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
五人の姫たちみなおもひおもひの
粧
(
よそおい
)
したる、その美しさいづれはあらぬに、上の一人の上衣も
裳
(
も
)
も黒きを着たるさま、めづらしと見れば、これなんさきに白き馬に騎りたりし人なりける。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
粧
(
よそおい
)
は鏡に向って
凝
(
こ
)
らす、
玻璃瓶裏
(
はりへいり
)
に
薔薇
(
ばら
)
の
香
(
か
)
を浮かして、軽く
雲鬟
(
うんかん
)
を
浸
(
ひた
)
し去る時、
琥珀
(
こはく
)
の櫛は
条々
(
じょうじょう
)
の
翠
(
みどり
)
を解く。——小野さんはすぐ藤尾の事を思い出した。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ふり仰ぐ尾根上のあたりはまだ古綿のようなちぎれ雲が木の間に
搦
(
から
)
み付いてはいるものの、端からこぼれかかる目覚しい絢爛の
粧
(
よそおい
)
を隠しおおせるものではなかった。
秋の鬼怒沼
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
その松の中へ、白鷺と
梟
(
ふくろう
)
が
塒
(
ねぐら
)
した夢は、ここではっきり覚めました。七宝の
粧
(
よそおい
)
も
螺鈿
(
らでん
)
の
衣桁
(
いこう
)
もたちまち消えて、
紗綾
(
さや
)
、
縮緬
(
ちりめん
)
も、
藁
(
わら
)
、枯枝、古綿や桃色の
褪
(
あ
)
せた
襤褸
(
ぼろ
)
の巣となったんです。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
趙痩
(
ちょうそう
)
と云わむよりは、むしろ
楊肥
(
ようひ
)
と云うべき女である。それが女道士になっているから、脂粉の顔色を
涴
(
けが
)
すを嫌っていたかと云うと、そうではない。平生
粧
(
よそおい
)
を
凝
(
こら
)
し
容
(
かたち
)
を
冶
(
かざ
)
っていたのである。
魚玄機
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
此
(
この
)
頃からして秩父の群山は其
翠緑
(
すいりょく
)
の衣を脱ぎ捨てて、最も目覚ましい絢爛の
粧
(
よそおい
)
を凝らすのである。
奥秩父の山旅日記
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
さやさやと
衣
(
きぬ
)
の音がして葭戸越に立姿が
近
(
ちかづ
)
いたが、さらりと開けて、浴衣がけの涼しい
服装
(
みなり
)
、
緋
(
ひ
)
の
菱田鹿
(
ひったが
)
の子の帯揚をし、夜会結びの毛筋の通った、色が白い上に雪に
香
(
におい
)
のする
粧
(
よそおい
)
をして
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
粧
常用漢字
中学
部首:⽶
12画
“粧”を含む語句
化粧
粧飾
扮粧
薄化粧
時勢粧
盛粧
身粧
厚化粧
行粧
朝化粧
假粧
若粧
御化粧
時世粧
濃化粧
御粧
服粧
淡粧
化粧部屋
化粧煉瓦
...