粉砕ふんさい)” の例文
旧字:粉碎
「みなさんの調査では、針目博士はからだを粉砕ふんさいして、死んだのだろうという結論になっていますね。ぼくもだいたいそれに賛成します」
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ドクトルはそのあとにらめていたが、ゆきなりブローミウム加里カリびんるよりはやく、発矢はっしとばかりそこになげつける、びん微塵みじん粉砕ふんさいしてしまう。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
天文以来、すでに幾回、干戈かんかのあいだにまみえても、容易に、彼の中核を粉砕ふんさいしあたわぬも、つまりは彼の用兵の妙と、その智謀の並ならぬにある。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
当時の微温的なロマンティシズムの音楽を粉砕ふんさいして新しき理知の音楽へのスタートを開き音芸術の表現力のために気を吐いたことは想像以上である。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
私はまったく、粉砕ふんさいされた気持であった。私にも笹川の活きた生活ということの意味が、やや解りかけた気がする。
遁走 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
かれは、絶体絶命ぜったいぜつめいかんじた。数秒すうびょうのちに、自分じぶんからだが、いくしゃくたかいところから地上ちじょう落下らっかして粉砕ふんさいするのだと意識いしきするや、不思議ふしぎにも、気力きりょくがった。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
頭蓋骨は粉砕ふんさいされ、極度に歪められた顔面は、凝結した赤黒い血痕に依って物凄く色彩いろどられていた。
デパートの絞刑吏 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
人の三倍も四倍も復讐心ふくしゅうしんの強い男なのであるから、また、そうなると人の五倍も六倍も残忍性を発揮してしまう男なのであるから、たちどころにその犬の頭蓋骨ずがいこつを、めちゃめちゃに粉砕ふんさい
その希望が、「どうせ解りゃしません」という簡単な彼の一言いちごんで、みごとに粉砕ふんさいされてしまって見ると、私はわざわざ浅草まで行く必要がなかったのだと、自分を考えない訳に行かなかった。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私も実際うれしかったのです。あんなに頑強がんきょうに見えたシカゴ軍があんまりもろく粉砕ふんさいされたからです。う云ってはなんだか野球のようですが全くそうでした。そこで電鈴でんれいがずいぶん永く鳴りました。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
金博士の頭蓋骨ずがいこつ粉砕ふんさいせられ、こんどこそ息の根がとまったろうと思われたが、あにはからんや、粉砕したのはシャンデリアだけであった。
の古語をんで、一玄蕃を粉砕ふんさいするにも、美濃から引ッさげて来た全軍をそそいだのである。——が、彼はその量をもって妄信もうしんしている愚者ではない。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二人の婚約は、父の怒りの前に粉砕ふんさいされたのも、世の常のことである。二人はかれて監視された。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
のろわばあな二つだ!」と、かれは、いいながら、石塊せきかいげつけて、一げきのもとに、かえるもとかげももろともに粉砕ふんさいして、まえまわしい光景こうけい払拭ふっしょくしようとあせったのです。
が、光秀の前面は、ある程度で停頓ていとんを見てしまった。しかしそれは主隊として、ここで彼が絶対に粉砕ふんさいして見せなければならない——敵の牙城八上との対峙たいじであった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いくらひとあるきをさせてある妹だからといって、顔面かお粉砕ふんさいしてはいるが、身体の其の他の部分に何か見覚えの特徴があったろうし、また衣類や所持品が同じだといっても
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
が、その野心と希望ははかなくも粉砕ふんさいされてしまった。ルービンシュタインやザレンバは苛酷かこくな批評を下して、改作しなければ音楽協会の演奏番組にせるわけにはいかないと宣告した。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
そして、それと知るからは、何のためらいや候うべき、彼の望みにまかせて、すぐにも粉砕ふんさい撃滅を与えてやるが、お味方にとっても、唯一つの御方針と申すしかございません
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どんな方法をとっても、このX号の野心は粉砕ふんさいしなければならないが、さてその方法は——
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「第四艦隊発警報。——敵ノ超重爆撃機二機ヲ、ついニ南方ニ見失エリ。他ノ一機ハ高角砲ニヨリ粉砕ふんさいシ、他ノ一機ハ海中ニ墜落セシメタリ。本艦隊モ駆逐艦一隻損傷ヲ受ケタリ」
空襲警報 (新字新仮名) / 海野十三(著)
何よりも、人間は犬畜生以下ではないぞと、幕府の法規を粉砕ふんさいしてくれたことが、うれしくてたまらない。彼等の士道は、それで充分だ。人間全体にとって、意義がある快挙かいきょだといってよい
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いったい何故なにゆえに第二の爆発が起こったのであろうか。それは前回のものよりもはるかに強烈なるものであって、博士邸をまったく粉砕ふんさいしてしまったのをみても、そのはげしさがわかる。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そのとき夫人の右手が、のびると見る間に、硝子ガラス窓越しに、短銃ピストルが怪物に向ってうち放された。怪物は真正面から射撃されて、その顔面がんめん粉砕ふんさいされたと思いきや、平気な顔をつき出して
人造人間殺害事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しかし、じつは針目博士は、あの爆破事件のとき、粉砕ふんさいしたこの研究室と運命をともになすったように聞いていたのですから、もう博士はこの世に生きていらっしゃらないと思っていました。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「いやいや、まだまだゆだんは禁物きんもつだ。X号は、このうえ何を考えだすか、知れないのだから、なんとかして、あいつをこっぱみじんに粉砕ふんさいしてしまわないと、どうしても安心はできないよ」
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それを原子ロケット砲で粉砕ふんさいするんだ
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)