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空合
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そらあい
ふりがな文庫
“
空合
(
そらあい
)” の例文
遅々たる春の日、妙に生暖かさが
睡
(
ねむ
)
りを誘って、
陽
(
ひ
)
が西に廻ると、義理にも我慢の出来なくなるような
薄霞
(
うすがす
)
んだ
空合
(
そらあい
)
でした。
銭形平次捕物控:014 たぬき囃子
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
だん/\
漕
(
こ
)
いでまいりますと、
俄
(
にわ
)
かに
空合
(
そらあい
)
が悪くなりまして、どゝん/″\と打寄する浪は山岳の如く、舟は天に
捲上
(
まきあ
)
げられるかと思う間もなく
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
第二図
三囲
(
みめぐり
)
の堤を見れば
時雨
(
しぐれ
)
を催す
空合
(
そらあい
)
に行く人の影
稀
(
まれ
)
に、
待乳山
(
まつちやま
)
(下巻第三図)には寺男一人
落葉
(
おちば
)
を掃く処、
鳥居際
(
とりいぎわ
)
なる一樹の
紅葉
(
こうよう
)
に風雅の客
二人
(
ににん
)
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
もうちと
経
(
た
)
つと、花曇りという
空合
(
そらあい
)
ながら、まだどうやら冬の
余波
(
なごり
)
がありそうで、ただこう薄暗い
中
(
うち
)
はさもないが、処を定めず、時々墨流しのように乱れかかって、雲に雲が
累
(
かさ
)
なると
妖術
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
暫
(
しば
)
らく太吉は熱心に気を笛の方に取られていたが、ふと手をやめて窓から外の
空合
(
そらあい
)
を眺めた。ただ白く雲自身が凍っているように、
眤
(
じっ
)
として空は鈍く、
物憂
(
ものう
)
く、日の光りすらなかった。
越後の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
雨とも見えぬ
空合
(
そらあい
)
なのに、塔の
先端
(
せんたん
)
九
輪
(
りん
)
の根もとから、ザーッと
滝
(
たき
)
のような水がながれてきて、塔の四面はさながら、
水晶
(
すいしょう
)
の
簾珠
(
れんじゅ
)
をかけつらねたごとく、龍太郎の身も小文治のからだも
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この時日は既に
万家
(
ばんか
)
の
棟
(
むね
)
に没しても、
尚
(
な
)
お
余残
(
なごり
)
の影を
留
(
とど
)
めて、西の半天を薄紅梅に
染
(
そめ
)
た。顧みて
東方
(
とうぼう
)
の半天を眺むれば、
淡々
(
あっさり
)
とあがった水色、
諦視
(
ながめつめ
)
たら
宵星
(
よいぼし
)
の一つ二つは
鑿
(
ほじ
)
り出せそうな
空合
(
そらあい
)
。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
薄気味の悪いほど怪しい山の中の
空合
(
そらあい
)
だ。この一瞬時に、自分の願が
叶
(
かな
)
って、自分はまず山の中の人となった。この時「その代り苦しいですよ」と云った原さんの言葉が、妙に気に掛り出した。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ほの黄色い燐の火でも燃えちろめきそうな
空合
(
そらあい
)
であった。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
少し此の日は
空合
(
そらあい
)
が悪くてばら/\/\と降出しましたから、
毎
(
いつ
)
もより早く帰って脚半を取って、山之助お繼が次の間に足を投出して居りまする。
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
雨を含んだ風がさっと吹いて、
磯
(
いそ
)
の香が満ちている——今日は二時頃から、ずッぷりと、一降り降ったあとだから、この雲の
累
(
かさな
)
った
空合
(
そらあい
)
では、季節で蒸暑かりそうな処を、身に
沁
(
し
)
みるほどに薄寒い。
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
日を経て
彼
(
か
)
の五助街道へ掛りましたのが十月
中旬
(
なかば
)
過ぎた頃もう日暮れ近く
空合
(
そらあい
)
はドンヨリと曇っておりまする。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
さるほどに汽船の出発は大事を取りて、十分に天気を信ずるにあらざれば、
解纜
(
かいらん
)
を
見合
(
みあわ
)
すをもて、
却
(
かえ
)
りて危険の
虞
(
おそれ
)
寡
(
すくな
)
しと
謂
(
い
)
えり。されどもこの日の
空合
(
そらあい
)
は不幸にして
見謬
(
みあやま
)
られたりしにあらざるなきか。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と調子に乗って
声高
(
こわだか
)
に談判するを、
先刻
(
せんこく
)
より
軒前
(
のきさき
)
に
空合
(
そらあい
)
を眺めて居りました二人の夜店
商人
(
あきんど
)
が、互いに顔を見合わせ、
頷
(
うなず
)
きあい、懐中から
捕縄
(
とりなわ
)
を取出すや否や、格子戸をがらりっと明けて
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
空
常用漢字
小1
部首:⽳
8画
合
常用漢字
小2
部首:⼝
6画
“空”で始まる語句
空
空地
空虚
空想
空洞
空腹
空家
空気
空嘯
空手