神馬しんめ)” の例文
猿田彦さるだひこが通り、美くしく化粧したお稚児が通り、馬に乗つた禰宜ねぎが通り、神馬しんめが通り、宮司の馬車が通り、勅使が通り、行列はしまひになつたが
住吉祭 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
八五郎のやつは、八幡樣の神馬しんめの生れ變りで、福徳圓滿、富貴望むが儘なるべし——は少し眉唾まゆつばだが、顏の長いところは、馬に縁がないでもない。
まッ先におどりこんできたのは、高尾の神馬しんめ月毛つきげくらにまたがった加賀見忍剣かがみにんけん、例の禅杖ぜんじょうをふりかぶって真一文字まいちもんじ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……覗くと、静まり返った正面のきざはしかたわらに、べにの手綱、朱のくら置いた、つくりものの白の神馬しんめ寂寞せきばくとして一頭ひとつ立つ。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
したしく御覧になれようというもの。そのうえ、腕にまかせて神馬しんめをお彫りなされば、それらの名品と肩を
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ただ一つここで御披露ごひろうしてきたいとおもいますことは、神馬しんめけんで……。つまり不図ふとした動機どうきから小桜神社こざくらじんじゃ神馬しんめが一とうあらたにわれることになったのでございます。
ひとかたまりとなって、たてがみをなびかせた金色きんいろのししの姿すがたとなったり、たかくかけあがる神馬しんめかたちをつくったりして、はるかの青々あおあおとした地平線ちへいせんざして、うごいていたのでした。
空にわく金色の雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
神馬しんめ天馬てんば
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
……覗くと、静まり返つた正面のきざはしかたわらに、べに手綱たづなしゅくら置いた、つくりものの自の神馬しんめ寂寞せきばくとして一頭ひとつ立つ。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それが気にかかるらしく、楼門の石段を降りて、ふかい木蔭の中にある一棟の小屋をうかがってみると、その中には、白い神馬しんめが繋がれているのだった。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
徳川時代にはそれが政治的にまで利用されて、あらゆる神社には僧侶が居り、別当として勢威を揮い、大きな寺には矢大臣を祭り、神馬しんめまでも出たというのです。
ひいさまが今回こんかい神社じんじゃにおはいりなされるにつけては、是非ぜひ神馬しんめが一とうしいとおもいまするが……。』
任は重いぞ、作阿弥! 母と娘のたましいをしずめる、気高き神馬しんめを彫りあげてくれい
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「婆よ、あの神馬しんめ小屋にいる馬は、よい馬ぞよ。加茂のくらうまに出したら、あれこそ第一でがなあろうに」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と坊主が呼ぶと、スツとたたんで、貴女きじょが地に落した涼傘ひがさは、身震みぶるいをしてむくと起きた。手まさぐりたまへる緋のふさは、たちまくれない手綱たづなさばけて、朱のくらいた白の神馬しんめ
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
『ナニ神馬しんめ?』とわたくしはびっくりしまして『そなたはまたうしてそんなことすのじゃ……。』
神馬しんめ大彫おおぼりもの……
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
と坊主が呼ぶと、スッと畳んで、貴女きじょが地に落した涼傘は、身震みぶるいをしてむくと起きた。手まさぐりたまえる緋のふさは、たちまちくれないの手綱にさばけて、朱のくら置いた白の神馬しんめ
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なんと毛なみのうるわしい馬だろうと——それにはなみいるものが、ちょッと気をうばわれたが、よく見ると、名馬のはずだ、これは御岳みたけ神社の御厩みうまやわれてある「草薙くさなぎ」とよぶ神馬しんめである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
というと、巽小文治たつみこぶんじ、ひらりと神馬しんめ草薙くさなぎくらつぼにかるく飛びのった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あの神馬しんめ小屋の軒にぶらさがっている、め組の赤い提灯さ」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
信長は、一領の神馬しんめを、宮のおうまやに献上して
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)