ポンド)” の例文
十万ポンドを時の相場にすればメキシコドルで四十万になるその正銀しょうぎんを、英公使セント・ジョン・ニールに渡してず一段落を終りました。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
これは俸給の前払いの百ポンドです。それからこれは手紙です。向うの所番地をお書とめになって下さい。コーポレーション街一二六番地。
またはギニイ金貨に代って通用するポンド紙幣やシリング銀貨から成り立っていようと、全く同一であることは、疑い得ないところである。
「ああ、今度は火精ザラマンダーか⁉ すると、拳銃ピストルか石火矢かい。それとも、古臭いスナイドル銃か四十二ポンド砲でも向けようという寸法かね」
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
もし毛織布を生産するに、百名ではなく八十名の労働で十分であるならば、毛織布は六、〇五〇ポンドから四、九五〇ポンドに下落するであろう。
「いやほんのぽつちりです。お話しする程のこともありません——二萬ポンドとか云ふ話でしたが——しかし大したものではありませんね。」
むろんアトの八千ポンドはポートサイドへ着いてから渡すという、立派な証文附きだったが、流石さすがの僕もソン時には、チョット頭が下がったよ。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
品質も見たところも二ポンドのと同じなのに、単に底が手縫いだというところだけで、三磅も余計に払って怪しまないのである。
その日教授は私を自分の部屋に呼び、『もう率直にいひますが、それでは研究費として毎月英国貨四ポンドづつ払つて下さい』
日本大地震 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
その時彼は反故ほごでもてるように無雑作な態度を見せて、五ポンドのバンクノートを二枚健三の手に渡した。何時返してくれとは無論いわなかった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
船中の話——ロンドンにイギリスの売春婦があり、日本人専門に商売をつづけているうち、八十ポンドの貯金が出来た。彼女は老齢になったが子供もない。
欧洲紀行 (新字新仮名) / 横光利一(著)
英国の美術館 British Museum は千八百八十二年(明治十五年)英貨三千ポンド(凡そ我が三万円)を
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
オレンジではなかった筈だ、その船室の卓子テエブルの上には四万六千ポンドの紙幣束が積み上げられ、トランクの中にも公債や何かで多額の財産があったのである。
運命のSOS (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
兎に角、私は昨年中に四千ポンド以上は書捲かきまくった。それでなお足りないのだ。サー・ウォルター・スコットを思う。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
エリスは五百ポンドの金を引出すと、直に表へ出た。坂口は背後から声をかけたが、エリスは一向気が附かぬらしく、待たせてあった自動車に乗って疾走はしり去った。
P丘の殺人事件 (新字新仮名) / 松本泰(著)
スコットって人は十何年間というもの毎日毎日五十ポンド入ったそうです。五十磅は日本のお金なら五百円です。三五十五で月に一万五千円、年に十八万円になります。
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
しかし英国人はその根を伝えて栽培し、一盆のあたい往々数ポンドに上っていると書き加えているが、その石蒜がいかなる経路を取ってかの国に伝えられたかは語っていない。
尤も三津浜には早くより不充分ながら砲台が出来ていて、三十六ポンドという大砲をすえ付けていた。
鳴雪自叙伝 (新字新仮名) / 内藤鳴雪(著)
やはり、夜卓の上に投げ出しておいた、かなり多額のポンド紙幣と、巴里のナショナル・エスコートで振出した旅行信用状トラベラーズ・チェックの入った札入などは、手もふれたようすがなかった。
墓地展望亭 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
毎年一万五千ポンド、即ち我が十五万円の収入があったが、その後名声大いに加わり、挙げられて判事となるに及んで、その歳入はかえって約三分の一に減じたということである。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
体力の試験をする。そうしてなんでも五ポンドか六磅の税を取られて証書を貰う。その証書は二つ拵えて、ちょうど昔日本で大罪人に手の判を捺させたように、手の判を捺して取っておく。
平和事業の将来 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
斯んな聖書は誰が見ても悪性に相違ない。責任者は三百ポンドの罰金を払わせられた。
愛書癖 (新字新仮名) / 辰野隆(著)
年五百ポンドの収入と閑暇と静かな部屋とがなければ婦人作家はよい仕事が出来ないというウルフの考えかたも分るけれど、しかし私たちは、自分たちにそんなものはどこにもないという
処が実際二度までも莫迦ばかに安いレムブラントに遭遇した。一度は一ポンドと云ふあたひの為に買はなかつたが、二度目には友人の Gogin にはかつた上、とうとうそれを手に入れる事が出来た。
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
しかし英国人は其根を伝へて栽培し、一盆のあたひ往々数ポンドのぼつてゐる。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
そして維持費として五万ポンドを添えたのであった。
決闘場 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
その袋の中よりは、十万ポンドに近き価格のあるアメリカの鉄道の社債やその他巨額の、炭鉱あるいは諸会社の株券などが発見せられたり。
〇〇〇ポンドの費用で四十名を雇うのであって、第一年目の終りには彼はそれを一〇%の利潤を得て、すなわち二、二〇〇ポンドで売るのである。
そして皇室費が年額一千五百ポンドになっても、社会の大部分はやはり救恤貧民の集団であろう、と主張するに躊躇しないのである。
「廣告なんぞすると承知しませんよ! 十ポンドの代りに一磅しきや上げあげなければよかつた。九磅お返しなさいよ、ジエィン。入用だから。」
赤煉瓦あかれんがの小じんまりした二階建が気に入ったので、割合に高い一週二ポンド宿料しゅくりょうを払って、裏の部屋を一間ひとま借り受けた。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
占め、かつ寝室居間食事に対して週二ポンド半を最も快く支払うべく、その準備全くととのいおるものなり。うんぬん。
一万ポンドなんか無論立消えさ。くそでも喰らえという気で、押し切るには押し切ったが、実のところ寿命が縮まる思いをしたね。……乗客の方は無論の事さ。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
加之しかのみならず本来今度の生麦事件で英国が一私人殺害のめに大層な事を日本政府に云掛いいかけて、到頭とうとう十二万五千ポンドとったとうのは理か非か、はなはだ疑わしい。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ジブラルタルの海事裁判所で幾多の手続きの後デ・グラシア号の乗組員は海上の船体救助に対する法定の賞金として一千七百ポンドを受取り、ボイス船長らの関係する限り
海妖 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
四十二ポンド加農砲キャノン! そうだ支倉はぜくら君。しかし、君がそれを意識して云ったのなら、たいしたものだよ。今度の火精ザラマンダーには、けっして今までのような陰険朦朧もうろうたるものはないと思うのだ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
ココア栽培で一日十ポンドも稼げれば、文学なんか他人ひとに呉れてやってもいいんだが。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
英国の一農夫、或る宿屋に泊って、亭主に百ポンドの金を預け置き、翌朝出発の時これを受取ろうとした。ところがこの亭主は甚だ図太い奴で、金などを御預りしたことはないと空とぼける。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
ホテルの女中がこっそり団体一人の旅費を訊ねたので六ポンドシリングだと答えると、びっくりして云うには、六磅あればカイロから巴里まで行って自分たちは帰って来るのが習慣だと云っていたから
欧洲紀行 (新字新仮名) / 横光利一(著)
それは或男から来た強迫状で、今夜の九時に五百ポンドの金を持ってパラメントヒルへ来なければ、貴女の秘密を公にする計りでなく、娘の生命を奪ってしまうというような事が記してありました。
P丘の殺人事件 (新字新仮名) / 松本泰(著)
この邸には十七万ポンドほどの保険がつけてある。
バットクラス (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
英貨一ポンドの相場が、千五百万麻克マルクである。
南京虫日記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
しかし労働が騰貴し従って一年間百人の労賃が五、五〇〇ポンドに上ると仮定すれば、製造業者は今や躊躇しないであろうことは明かである。
スミス博士によれば二ポンド一一シリング〇・三分の一ペンスであり、一六五〇年以前五年間にはそれは三ポンド一二シリング八ペンスであった。
そしてテーブルの上には、十ポンドの紙幣二枚と、金銀貨併せて十七ポンドシルリングの金が、それぞれ違った額に整頓されて、小さなやまに積まれてある。
「けちんぼうだな!」と彼は云つた、「お金が欲しいといふ願ひをねつけるなんて! 五ポンドお寄越しなさい、ジエィン。」
鹿児島湾の戦争幕府に要求した十万ポンドの償金は五月十日に片付かたづけて、れから今度はその英軍艦が鹿児島にいって、被害者遺族の手当として二万五千磅を要求し
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
タッタそれだけで一万ポンドの仕事になった訳だが、何を隠そうコイツは立派な条令違反なんだ。発見みつかったら最後、機関長の免状を取上げられるどころじゃない。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そんなに非常識に丈夫であることを必要としないし、何と言っても、石油箱の大きなののような、ろくかんなもかけてないぶっつけ箱が一ポンドもするとは驚くのほかはない。
英国の王家が月桂詩人の称号をスウィンバーンに与えないで、オースチンに年々二、三百ポンドの恩給を贈るのは、単に王家がこの詩人に対する好悪の表現と見ればそれまでである。
文芸委員は何をするか (新字新仮名) / 夏目漱石(著)