盤石ばんじやく)” の例文
亭主ていしゆこたへて、如何いかにも、へんうはさするには、はるあけぼののやうに、蒼々あを/\かすんだ、なめらかな盤石ばんじやくで、藤色ふぢいろがゝつたむらさきすぢが、寸分すんぶんたがはず、双六すごろくつてる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
寢てゐる病人はまたうなされ出したが、今度は何かの怨靈をんれう盤石ばんじやくの重りを以つて息の根を押し止めようとしてゐるのを、四苦八苦のもがきで逃げようとするやうなありさまがあり/\と見えた。
たゞ他所たしよの者は渋海川しぶみがは氷見こほりみとて、花見のやうに酒肴しゆかうをたづさへきし彩筵はなござ毛氈まうせんなどしきてこれを見る。大小いく万の氷片こほりのわれ水晶すゐしよう盤石ばんじやくのごときが、あゐのやうなる浪にたゞよひながるゝは目ざましき荘観みものなり。
盤石ばんじやくに圧し伏せられし薔薇ばらの花石をはねのけてり深みかも
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
双六すごろくたしかにあり。天工てんこう奇蹟きせきゆゑに、四五六しごろくまた双六谷すごろくだに其処そことなへ、温泉をんせんこえに、双六すごろくはするが、たにきはめて、盤石ばんじやくたものはむかしからだれい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
盤石ばんじやくちかひ堅く
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
其時そのときすはつて蒲団ふとんが、蒼味あをみ甲斐絹かひきで、成程なるほどむらさきしまがあつたので、あだかすで盤石ばんじやく双六すごろく対向さしむかひにつたがして、夫婦ふうふかほ見合みあはせて、おもはず微笑ほゝえんだ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)