いけ)” の例文
そこで、僕は色々考えて見たのですよ。一寸面倒な点があって時間をとりましたが、でもとうとう幽霊をいけどって了いました
幽霊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
こはいかにとてひろく穴にしたるなかをあちこちほりもとめてやう/\くびもいでたり、雪中にありしゆゑおもていけるがごとく也。
烏賊のいけつくりや鯛の塩焼で静かに一本の酒を飲んだ時には、彼等はい心持にならずにはゐられなかつた。
島の唄 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
うまく味わうが為に雉子きじの一羽や二羽のいけづくりが何であろう。風の神にささげる野猪いのししの一匹や二匹の生贄いけにえが何であろう。易牙えきがが子をあぶり物にして君にささげたという。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そりは前へ前へと、とんでいきました。ときどき、そりがとびあがるのは、いけがきや、おほりの上を、とびこすのでしょうか、カイはまったくふるえあがってしまいました。
ウヌいけふざけて……親不孝ものめが、この上にも親の面に泥を塗るつもりか、ウヌよくも……
春の潮 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
いける者へ死は悠然ゆっくりと慌てない
鶴彬全川柳 (新字旧仮名) / 鶴彬(著)
ふたゝびあんずるに、孔子のせいなるもそのれいいける時よりも照然せうぜんとして、そのはか十里荊棘けいきよくを生ぜず、鳥もをむすばず。関羽くわんうけんなるもしては神となりていのるおうず。
こんいけ畜生め、暮れの飯米はんまいもねいのに、博打ぶちたあ何事なにごったって、どなったまではよかったけど、そら眼真暗だから親父と思ってしがみついたのがその親分の定公であったとさ。
隣の嫁 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
花園はなぞの牡丹ぼたん広々とうるわしき眺望ながめも、細口の花瓶にただ二三輪の菊古流しおらしく彼がいけたるをめ、ほめられて二人ふたり微笑ほほえみ四畳半にこもりし時程は、今つくねんと影法師相手にひとり見る事の面白からず
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ふたゝびあんずるに、孔子のせいなるもそのれいいける時よりも照然せうぜんとして、そのはか十里荊棘けいきよくを生ぜず、鳥もをむすばず。関羽くわんうけんなるもしては神となりていのるおうず。
辞世じせいとて口碑こうひにつたふる哥に「岩坂のぬしたれぞとひととは墨絵すみゑかきし松風の音」遺言ゐげんなりとて死骸なきから不埋うづめず、今天保九をさる事四百七十七年にいたりて枯骸こがいいけるが如し。是を越後廿四奇の一にかぞふ。
辞世じせいとて口碑こうひにつたふる哥に「岩坂のぬしたれぞとひととは墨絵すみゑかきし松風の音」遺言ゐげんなりとて死骸なきから不埋うづめず、今天保九をさる事四百七十七年にいたりて枯骸こがいいけるが如し。是を越後廿四奇の一にかぞふ。