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きいっぽん
ふりがな文庫
“
生一本
(
きいっぽん
)” の例文
「満州なんかだめだよ、酒は
高粱
(
きび
)
の酒で、
喫
(
く
)
うものは、
豚
(
ぶた
)
か犬かしかないと云うじゃねえか、だめだよ、
魚軒
(
さしみ
)
に
灘
(
なだ
)
の
生一本
(
きいっぽん
)
でなくちゃ」
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
と彼は
一
(
いっ
)
とき腹をかためてはいた。しかし、龍泉殿の
生一本
(
きいっぽん
)
な気性は彼も知っている。取り返しのつかぬことはしてはならない。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その性格が
生一本
(
きいっぽん
)
で、妥協も誇張も、劇的表現さえも、その作品に
採
(
と
)
り
入
(
い
)
れることが出来なかった正直さのためであったらしい。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
あの矯飾していたような中に
生一本
(
きいっぽん
)
な気質を蔵していたということが分って、こんな
些細
(
ささい
)
な事が快く思い出されるのである。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
しかしジャックリーヌは彼らよりいっそうまっ正直であって、
生一本
(
きいっぽん
)
な行動をしていた。一にも二にも
真面目
(
まじめ
)
であり、常住不断に真面目だった。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
やっぱりイギリス製のウィスキーだけありますねえ。これは
英帝国
(
えいていこく
)
盛
(
さか
)
んなりし時代の
生一本
(
きいっぽん
)
ですよ。間違いなしです
毒瓦斯発明官:――金博士シリーズ・5――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ずっと後になって私は、ある新聞記事に「××首相はきょうは夕食に
灘
(
なだ
)
の
生一本
(
きいっぽん
)
でまぐろのさしみを食べた。」
犬の生活
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
生一本
(
きいっぽん
)
に打込むようになると、自分が愛するだけ、他から愛してもらわなければ満足ができないものになってみると、相手はこの上もない大敵であります。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
戦
(
たたかい
)
の
街
(
ちまた
)
を幾度もくぐったらしい、日に焼けて男性的なオッタヴィアナの顔は、飽く事なき功名心と、強い意志と、
生一本
(
きいっぽん
)
な気象とで、固い
輪郭
(
りんかく
)
を描いていた。
クララの出家
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
定基は勿論悪人というのではないが、つまりは馬で言えば
癇強
(
かんづよ
)
な馬で、人としては
生一本
(
きいっぽん
)
の人であったろう。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
生一本
(
きいっぽん
)
の酒を飲むことの自由自在、
孫悟空
(
そんごくう
)
が雲に乗り霧を起こすがごとき、
通力
(
つうりき
)
を持っていたもう「富豪」「成功の人」「カーネーギー」「なんとかフェラー」
号外
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
『ハイ私は
生一本
(
きいっぽん
)
で通します』ッて……マア
呆
(
あき
)
れかえるじゃアないかネー文さん、何処の国にお前、尼じゃアあるまいし、
亭主
(
ていし
)
持たずに一生暮すもんが有る
者
(
もん
)
かネ
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
猛烈に愛した経験も、
生一本
(
きいっぽん
)
に愛された記憶ももたない彼女は、この能力の最大限がどのくらい強く大きなものであるかという事をまだ知らずにいる女であった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
男は純潔な
生一本
(
きいっぽん
)
な少年の心に、這入り切れないほどの重苦しい物を托して行った。自分が明日の朝までに用意して置く返答に依って、自分の将来がどうにでもなる。
二人の稚児
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ホントウの慾得を忘れた犯罪心理……
生一本
(
きいっぽん
)
の出来心から起った犯罪を純粋犯罪というのだそうで、この種の犯罪は世の中が開けて来るに連れて
殖
(
ふ
)
えて来るものである。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それが処女の
生一本
(
きいっぽん
)
の情熱で思い決しているのだから、僕は打たれた。死んでもいいと思った。崇高そのものですよ。君は信じられないかね。これ以上の崇高はないですよ。
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
或は保子さんのあの
生一本
(
きいっぽん
)
な性情から出たことかも知れない。それは兎に角として、横田さんの申出をお祖母さんは非常に喜んだ。そして子供は横田さんの家に引取られた。
反抗
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
まじめな
生一本
(
きいっぽん
)
の男と
対
(
むか
)
っていて、やましい暗い心を抱くとはけしからぬことである。
源氏物語:04 夕顔
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
江戸のおんなが、どんなに
生一本
(
きいっぽん
)
な気持をもっているか知らせてやろう——なあに、あいつが、
肯
(
うなず
)
かねえというなら、そのときは、あいつの敵の味方になって、さんざ泣かせてやるだけだ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
こういう見張り人がそばに控えているので、半九郎も少し言いそそくれたが、
生一本
(
きいっぽん
)
な彼の性質として、自分の思っていることは直ぐに打ち出してしまいたかったので、彼は思い切って言った。
鳥辺山心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
生一本
(
きいっぽん
)
の朝の空気を飲みたい。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
藪蔭から飛び出して、手負いのお通を
庇
(
かば
)
ったのは、旅人の清作でした。役目も、身分も、前後の事情を忘れ果てて、激情に駆られた
生一本
(
きいっぽん
)
の姿です。
天保の飛行術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
一馬は時々
生一本
(
きいっぽん
)
に思いこんで
凄
(
すご
)
むから、私はどうも、つきあいにくい。私は然し、至ってツキアイのいい方だから、何かというとホダされて、どうもいけないタチである。
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
先方の譲り渡しに大きなワナが仕かけられていたのである、我々は
生一本
(
きいっぽん
)
に引受けてしまってから、そのワナに引懸ったのである、それが為に事業は最大級に悪化してしまった
生前身後の事
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼のたれより
生一本
(
きいっぽん
)
な皇室至上の理念とその気位が、尊氏のような武士層に人気のいいいわゆる“あらえびす”にたいしては、危険視が先立って、よくその人間を知ろうともせず
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けっして純粋な
生一本
(
きいっぽん
)
の動機からここに立って大きな声を出しているのではない。
文芸と道徳
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
純真
生一本
(
きいっぽん
)
の恋以外には取上げない運命の神様である。だからその純真生一本の盲目の恋だったらイツ
何時
(
なんどき
)
でも引受る。身分が何だ。財産が何だ。名誉が何だ。そんなものは犬に喰われろだ。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それほど父の母を恋うる心は純粋で、
生一本
(
きいっぽん
)
であった。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「マア、何んて間抜けな調子でしょう。だけど、私は、早坂さんのその
生一本
(
きいっぽん
)
なところが好きよ」
流行作家の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その犯人のそうした執念深い慾望をキレイに
断
(
た
)
ち切って
終
(
しま
)
うかどうかしなければ、どうしても気が済まない、
生一本
(
きいっぽん
)
の娘の心理とが、タマラナイ程深刻に
描
(
えが
)
きあらわしてあった……と云うのです。
復讐
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
邪推とはいわないけれども、筋道の考え方が
生一本
(
きいっぽん
)
に過ぎていました。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「どうせ——は情けねえ、見て下さいよ、
梅寿堂
(
ばいじゅどう
)
の上菓子が一と折、
灘
(
なだ
)
の
生一本
(
きいっぽん
)
が五升」
銭形平次捕物控:088 不死の霊薬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「勿体ないことでございますな、おいやならば私が頂戴致しましょう、お
下
(
さが
)
りでありましょうとも、お余りでありましょうとも、うまい物には眼のないこのがんりき、まして手入らずの
生一本
(
きいっぽん
)
ときては……」
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「とんでもない。岡っ引きが一緒だった日にゃ
灘
(
なだ
)
の
生一本
(
きいっぽん
)
が、大川の水みたいになる」
銭形平次捕物控:053 小唄お政
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
娘の
生一本
(
きいっぽん
)
さ。平次の膝にでも
縋
(
すが
)
りつきたい様子です。
銭形平次捕物控:059 酒屋火事
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“生一本”の意味
《名詞・形容動詞》
純真でひたむきに物事に打ち込む性格。
純粋で混じり気のない酒。単一の製造場で醸造した純米酒。
(出典:Wiktionary)
生
常用漢字
小1
部首:⽣
5画
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
本
常用漢字
小1
部首:⽊
5画
“生”で始まる語句
生
生命
生憎
生活
生涯
生々
生垣
生物
生温
生死