玩弄おもちや)” の例文
危険けんのん機関からくりだで、ちひさくこさへて、小児こども玩弄おもちやにもりましねえ。が、親譲おやゆづりの秘伝ひでんものだ、はツはツはツ、」
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
實は田舍に母親もありますし、その方の世話もしなければなりませんから、矢張やつぱり私はお金で買はれた玩弄おもちやになつて、花が咲かうが、花が散らうが、目をつぶつて暮しませう。
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
雛罌粟色ひなげしいろ薔薇ばらの花、雛形娘ひながたむすめ飾紐かざりひも雛罌粟色ひなげしいろ薔薇ばらの花、ちひさい人形にんぎやうのやうに立派なので兄弟きやうだい玩弄おもちやになつてゐる、おまへは全體ぜんたいおろかなのか、こすいのか、僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
酒でも呑んで気でも狂はせずに、片時かたどきなりと此様こんな馬鹿げた稼業が勤まりますか、俳優々々やくしや/\八釜敷やかましく言ふもんぢやありません、まア考へても御覧なネ、毎日毎夜れ程男の玩弄おもちやになつて居りながら
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
なぶるな。ひと生死いきしにあひだ彷徨さまよところを、玩弄おもちやにするのは残酷ざんこくだ。貴様きさまたちにもくぎをれほどなさけるなら、一思ひとおもひにころしてしまへ。さあ、引裂ひきさけ、片手かたてげ……」とはたとにらむ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
はじめなららず……うこれ今頃いまごろ小兒こどもでも玩弄おもちやにして澤山たくさんつた時分ころだ。
月夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ちゝところ巡廻じゆんくわいしたせつ何処どこ山蔭やまかげちひさなだうに、うつくし二十はたちばかりのをんなの、めづらしい彫像てうざうつたのを、わたくし玩弄おもちやにさせうと、堂守だうもり金子かねつて、とものものにたせてかへつたのを、ほか姉妹きやうだいもなし
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)